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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて

2011-03-29 19:48:13 | 会社法(改正商法等)
定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて by 法務省
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/saigai0012.html

 超法規的措置というべきか,救済的解釈が示された。

「特定の時期に定時株主総会を開催すべき旨の定款の定めについては,通常,天災等のような極めて特殊な事情によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合にまで形式的・画一的に適用してその時期に定時株主総会を開催しなければならないものとする趣旨ではないと考えるのが,合理的な意思解釈であると思われます。
 したがって,東北地方太平洋沖地震の影響により,定款所定の時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,会社法第296条第1項に従い,事業年度の終了後一定の時期に定時株主総会を開催すれば足り,その時期が定款所定の時期よりも後になったとしても,定款に違反することにはならないと解されます」

 非常時であるから,決議取消事由の問題を回避するためには,妥当な措置であろう。

cf. 平成23年3月28日付「震災と会社法」


 残るは・・・,

『上記定款の定めがあって,取締役等が定時株主総会の終結の時に任期満了する予定である場合に,「定款に定められた基準日から3か月を経過した後に定時株主総会が開催される」ときは,事業年度の終了後3か月の期間の経過によって,当該取締役等は,任期が満了して権利義務承継者となり,取締役等の変更の登記においては,同じ者が再任される場合であっても,「退任」&「就任」となる。退任日は,「事業年度の終了後3か月の期間満了の日」として登記しなければならない』という従来からの登記実務の取扱いについても,同様に緩和して,定款所定の時期よりも後れて開催された「定時株主総会」の終結の時に任期満了となるという解釈をとるのか,である。

cf. 平成23年3月25日付「定時株主総会の開催時期について」

平成23年3月26日付「定時株主総会の開催時期について(2)」

 上記救済的解釈と平仄をとるには,そのように解すべきであろう。

 とすれば,「登記申請義務の猶予」の問題も解決される。

cf. 平成23年3月28日付「登記申請義務の猶予について」

 ただし,「定時株主総会」が開催されない限り,任期が伸長され続けることになる点に難がある。

 さて,さて・・・。
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Unknown (Unknown)
2011-03-30 11:38:59
 あえて黒いものを白と言わなくても,裁判所の裁量棄却に委ねればよい気もします。純粋に震災を理由とする開催遅滞であれば,十分に裁量棄却事由となるのではないでしょうか。
 法務省がこうした公的解釈を示すことで,個々の裁判官が裁量棄却をしやすくなるという効果はあるとは思いますが…。

 震災による開催遅滞を攻撃するような株主がいるとすれば,震災とは別に,何らかの対立を抱えた会社ということかもしれません。

 雑文失礼しました。
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主眼は (内藤卓)
2011-03-30 12:11:15
 決議取消事由と捉えたところで,争われるケースは,皆無に近いと思います。

 私の問題提起の主眼は,商業登記法第25条第1項の問題であり,また3か月の経過時に任期満了となって権利義務承継者となってしまうという点です。
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Unknown (Unknown)
2011-03-31 15:21:58
確かに法務省の見解に従えば,被災企業がやむを得ず3か月ルールに違反しても,重任登記が受理されるということになりますよね。

登記実務家には,「やむを得ず」の認定が求められるのでしょうか…。
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ご回答 (内藤卓)
2011-03-31 16:01:29
 管轄により無条件に推定を働かせるか,又は「震災により被害を受けた者であることについての本店の所在地の市町村長の証明書」の添付を要求するか,のいずかになりそうですね。
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ご回答② (内藤卓)
2011-03-31 16:06:12
 そもそも定款の添付がないケースでは,「3か月以内」の定めが明らかではないので,フリーパスになってしまいそうです。

 果たして,それでいいのか・・・。
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