司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

認知症JR事故訴訟~家族に責任なし(最高裁判決)

2016-03-01 17:48:48 | 民事訴訟等
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/ASJ2X0VW5J2WUTIL028.html?iref=comtop_6_01

 最高裁で逆転。認知症者が起こしたJR事故に関して,同人の妻や子は,監督義務者にあたらず,損害賠償責任はないとされた。


最高裁平成28年3月1日第3小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85714

【裁判要旨】
線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の妻と長男の民法714条1項に基づく損害賠償責任が否定された事例

「精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない」

「法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条に基づく損害賠償責任を問うことができるとするのが相当であり,このような者については,法定の監督義務者に準ずべき者として,同条1項が類推適用されると解すべきである(最高裁昭和56年(オ)第1154号同58年2月24日第一小法廷判決・裁判集民事138号217頁参照)」

cf. 原審 名古屋高裁平成26年4月24日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=84175
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テレビ会議をご存じですか

2016-03-01 13:26:09 | 民事訴訟等
テレビ会議をご存じですか by 裁判所
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/H2803kouhou.pdf

 裁判所におけるテレビ会議システムの活用例の紹介。
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月刊登記情報「『株主リスト』を添付書面とする商業登記規則の改正案等について」

2016-03-01 13:15:45 | 会社法(改正商法等)
 「月刊登記情報」2016年3月号(金融財政事情研究会)に,拙稿「『株主リスト』を添付書面とする商業登記規則の改正案等について」が掲載されている。
http://store.kinzai.jp/magazine/AT/index.html

 パブコメがスタートしてわずか3日後に入稿したものであり,浅い議論に留まっている感はあるが,「株主リスト」の証明書例を紹介する等,検討を加えたものである。また,登記所における「不正な登記との闘いの歴史」も紹介している。ぜひ御覧ください。
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組織再編における「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義等(2)

2016-03-01 10:28:26 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成28年2月29日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85709

 こちらも,ヤフー事件。

【裁判要旨】
1 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義及びその該当性の判断方法
2 新設分割により設立された分割承継法人の発行済株式全部を分割法人が譲渡する計画を前提としてされた当該分割が,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとされた事例
3 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義

「同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,法人の行為又は計算が組織再編成に関する税制(以下「組織再編税制」という。)に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであり,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又は計算が,通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり,実態とは乖離した形式を作出したりするなど,不自然なものであるかどうか,②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮した上で,当該行為又は計算が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当である。」

「本件計画を前提とする本件分割は,組織再編税制に係る上記各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものとして,法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たると解するのが相当である。」

「同条にいう「その法人の行為又は計算」とは,更正又は決定を受ける法人の行為又は計算に限られるものではなく,「次に掲げる法人」の行為又は計算,すなわち,同条各号に掲げられている法人の行為又は計算を意味するものと解するのが相当である。
 したがって,本件計画を前提とする本件分割が,本件各更正処分等を受けた上告人の行為ではなく,本件分割の分割会社(同条1号)であるb社の行為であるからといって,同条による否認の対象とならないとはいえない。」
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組織再編における「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義等(1)

2016-03-01 10:10:56 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成28年2月29日第1小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85710

 ヤフー事件である。

【裁判要旨】
1 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義及びその該当性の判断方法
2 甲社が乙社の発行済株式全部を買収して乙社を完全子会社とし,その後乙社を吸収合併した場合において,甲社の代表取締役社長が上記買収前に乙社の取締役副社長に就任した行為が,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとされた事例
3 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義

「組織再編成は,その形態や方法が複雑かつ多様であるため,これを利用する巧妙な租税回避行為が行われやすく,租税回避の手段として濫用されるおそれがあることから,法132条の2は,税負担の公平を維持するため,組織再編成において法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われた場合に,それを正常な行為又は計算に引き直して法人税の更正又は決定を行う権限を税務署長に認めたものと解され,組織再編成に係る租税回避を包括的に防止する規定として設けられたものである。」

「同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,法人の行為又は計算が組織再編成に関する税制(以下「組織再編税制」という。)に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであり,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又は計算が,通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり,実態とは乖離した形式を作出したりするなど,不自然なものであるかどうか,②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮した上で,当該行為又は計算が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当である。」

「本件副社長就任は,組織再編税制に係る上記各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものとして,法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たると解するのが相当である。」
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2月28日発行の印鑑証明書の有効期限は?

2016-03-01 10:00:02 | 不動産登記法その他
 今年は,閏年である。さて,2月28日発行の印鑑証明書について,3か月の有効期限が問題となる場合,それはいつまでか?

民法
 (暦による期間の計算)
第143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 場合分けが必要である。

(1)うるう年の場合 → 同年5月28日まで
(2)うるう年以外の年の場合 → 同年5月31日まで

 4年前にも取り上げました。

cf. 平成24年2月28日付け「2月28日発行の印鑑証明書の有効期限は?」

 今年は,2月28日が日曜日だったので,官報公告等が問題になることはないが,債権者保護手続等で「1か月」が問題となる場合は,

(1)うるう年の場合 → 同年3月28日まで
(2)うるう年以外の年の場合 → 同年3月31日まで

である。
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