司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

商業登記等手続事務取扱準則の一部改正

2015-03-18 12:40:44 | 会社法(改正商法等)
商業登記・株式会社の代表取締役の住所について(平成27年3月16日)by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00086.html

「昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答の取扱いを廃止し,本日以降,代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとします。」

 上記に関連して,「商業登記等事務取扱手続準則の一部改正について(通達)」〔平成27年2月27日付法務省民商第21号〕が発出されている。

 準則第7条に新たに第3項及び第4項が追加されているが,重要であるのは,第81条第1項の改正(括弧書の追加)である。

商業登記等手続事務取扱準則
第81条 登記官は,その職務上過料に処せられるべき者があることを知ったときは,遅滞なく,別記第53号様式による通知書に登記事項証明書を添えて,その事件の管轄地方裁判所(登記記録に過料に処せられるべき者の日本国内の住所が記載されていないときは非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第8条の規定による最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所)に通知しなければならない。
2・3 【略】

非訟事件手続法
 (管轄裁判所の特例)
第8条 この法律の他の規定又は他の法令の規定により非訟事件の管轄が定まらないときは、その非訟事件は、裁判を求める事項に係る財産の所在地又は最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。

非訟事件手続規則
(法第8条の最高裁判所規則で定める地の指定)
第6条 法第8条の最高裁判所規則で定める地は、東京都千代田区とする。


 というわけで,管轄地方裁判所は,東京地方裁判所であるとされた。

 しかし,果たしてこれで過料の実効性が担保されるわけでもない。
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空き家問題で「悪質商法」

2015-03-18 10:40:35 | 空き家問題&所有者不明土地問題
毎日新聞記事
http://mainichi.jp/select/news/20150317k0000e040174000c.html

 不動産業者が,空き家の所有者に対して,「ご対応いただけない場合は,近隣の方々のご要望により,しかるべき対処をさせて頂きます」とDMを送付し,練馬区から「文面が行き過ぎており,悪質な商法」と注意を受けたそうだ。

 商魂たくましいでは済まされないですね。
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平成27年税制改正による租税特別措置の動向

2015-03-18 10:19:29 | いろいろ
 平成27年3月13日,衆議院を通過して,参議院に付託されている。

cf. 衆議院HP
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DBD2FE.htm

 衆議院では原案どおり可決されており,このまま参議院で可決され,成立する見込みである。

cf. 平成27年2月19日付け「所得税法等の一部を改正する法律案」

(9)次に掲げる租税特別措置の適用期限を2年延長することとする。
1.土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72関係)
2.住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72条の2、第73条、第75条関係)
3.利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第 77 条関係)
4.信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第78条関係)
5.特例事業者が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第83条の3関係)

(10)会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止することとする。(旧租税特別措置法第81条関係)

cf. 所得税法等の一部を改正する法律案
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g18905003.htm
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代表取締役の辞任を巡る諸問題

2015-03-18 09:51:03 | 会社法(改正商法等)
 今般の商業登記規則の改正(平成27年2月27日施行)により,印鑑の提出をしている代表取締役又は代表執行役の辞任の登記申請について,辞任届に押印した印鑑に係る印鑑証明書の提出又は辞任届に届出印での押印を求めることとされた(商業登記規則第61条第6項)。

 すなわち,代表取締役等(登記所に印鑑を提出した者に限る。)の辞任による変更の登記の申請書には,当該代表取締役等が辞任を証する書面に個人実印を押印して当該印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付するか(改正後の商業登記規則第61条第6項本文),当該代表取締役等が登記所届出印を押印した辞任を証する書面を添付する必要がある(同項ただし書)。

 辞任する代表取締役が株主総会又は取締役会に出席していること,並びに席上辞任の意思及び辞任の時点が述べられたことが当該株主総会又は取締役会の議事録から明らかであって,当該代表取締役が当該議事録に登記所届出印を押印しているのであれば,当該議事録は,「退任したことを証する書面」(商業登記法第54条第4項,商業登記規則第61条第6項)として取り扱うことができると解される。
※ 辞任の時点が明確である必要がある。

 また,登記の申請人が,印鑑証明書の添付が不可能又は著しく困難であるとして,例えば,代表取締役等の辞任届は受領したものの,印鑑証明書を受領する前に当該代表取締役が死亡した旨又は行方不明となった旨を記載した上申書とともに,当該代表取締役等の死亡診断書,戸籍事項記載証明書又は警察署が発行した失踪届受理証明書等を提出した場合には,市区町村長作成の印鑑証明書が申請書に添付されていないときであっても,当該申請は,受理される。
※ 辞任届を提出した代表取締役が,その所在は判じているものの,印鑑証明書の交付を拒んでいる場合は,どうする?という問題は残る。

 以下に「辞任」を巡る過去の投稿をまとめてみました。

cf. 平成27年2月21日付け「代表取締役等の辞任を証する書面」

平成26年11月27日付け「代表取締役の辞任届」

平成25年2月25日付け「取締役の辞任の「時点」」

平成21年10月23日付け「取締役の辞任による退任を証する書面」

平成21年2月27日付け「取締役の辞任と定款の添付の要否」

平成20年5月23日付け「取締役の辞任を証する書面について」

平成19年10月26日付け「NOVA、取締役の辞任は効力を生じている(?)」
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