司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「株主総会の招集手続が開始された場合」とはいつ?(2)

2015-03-08 14:04:11 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2015年3月5日号に,「会社法施行規則等の一部を改正する省令の解説〔Ⅱ〕」が掲載されている。

 そのうち,「株主総会参考書類の記載事項に関する規定の改正」の「13 経過措置 (1)経過措置の原則」において,「株主総会の招集手続が開始された場合」の解釈が示されている。


会社法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年法務省第6号)
附則
 (会社法施行規則の一部改正に伴う経過措置)
第2条 【略】
2~4 【略】
5 前三項に定めるもののほか、施行日前に招集の手続が開始された株主総会又は種類株主総会に係る株主総会参考書類の記載については、なお従前の例による。
6~8 【略】

会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号)
附則
 (会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定に関する経過措置)
第15条 施行日前に会計監査人の選任若しくは解任又は会計監査人を再任しないことに関する決議をするための株主総会の招集手続が開始された場合における会計監査人の選任若しくは解任又は会計監査人を再任しないことに係る手続については、新会社法第三百四十四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。


 上記の各条項における「株主総会の招集手続が開始された場合」の意義については,株主総会の議題や株主総会参考書類記載事項を含めて会社法第298条第1項各号に掲げる事項が取締役(取締役会設置会社においては取締役会)によって決定された時点をいう(上掲旬刊商事法務18頁以下)。

 いわゆる「招集事項の全てが決定された時」であるとの解釈が示されている。

 なお,この意義は,上記以外の「招集の手続が開始された」という文言を用いた経過措置の全てにつき当然に及ぶものではない(上掲旬刊商事法務19頁)。

cf. 平成27年2月27日付け「「株主総会の招集手続が開始された場合」とはいつ?」

 というわけで,敢えて明示されている改正省令第2条第5項及び改正法附則第15条以外の経過措置については,一応,「必ずしも,そのすべての決定事項について決定がされることは要しない。すなわち,株主総会等の開催の日時および場所が決定されたにとどまる場合であっても・・・招集の決定として欠けるところはない」(郡谷大輔編著「会社法施行前後の法律問題」(商事法務)190頁以下)との解釈であると思われるものの,いずれの解釈が当てはまるのかは,各別に判断されることになるようである。
コメント (1)