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緊急事態宣言発出の真実

2021-01-09 17:57:57 | 社会・政治
中国コロナウィルス感染拡大(第3波)を受けて緊急事態宣言が発出された。この緊急事態宣言の発出とその真実について経済学者で大学教授の高橋洋一氏が解説しているので、その内容を紹介する。


いろいろな人が「遅い」とか「手遅れだ」などと文句を言い、菅総理は小池さんにいいようにやられたのではないか、とも言われている。確かに小池氏にしてやられたという側面はあるのだが、そのような話は政治家の世界であるが故に「よくあること」である。政治の話なのだから我々はファクトだけをきちんと押さえたほうが理解しやすいだろう。

昨年11月下旬くらいから中国コロナウィルスの感染が拡大しているので、東京都などは飲食業に対する営業時間の短縮の要請をずっとしていた。「要請を受託してくれたら協力金を払います」という形でやっていたのである。そして12月中旬頃に期限切れになって延長するかどうか検討していた時に
政府と東京都の間で揉めていたのは事実である。

小池都知事の方はもう営業時間の短縮はしたくないという姿勢である。政府の方は状況から見て営業時間短縮の継続を求めた。結果的には政府の意見を聞き入れて小池都知事は渋々営業時間の短縮を延長したのだ。それで延長したものが今年1月の頭に期限切れになるのだが、その先をどうしようか、という問題はあったのである。

小池氏は次に検討する時にはもう止めるという選択ではなく、東京都だけではなく周辺の千葉・神奈川・埼玉の3県知事を引き連れて「緊急事態宣言発出」の要請をしたのである。自分だけでなく周辺の県知事を巻き込んだのが政治家としては上手いところである。

これは「お金」の問題なのである。

どういうことか。

東京都だけは営業時間短縮を要請して協力金を払うことは出来る。それだけの財政はしっかりしているからである。だが、首都圏の神奈川・千葉・埼玉といった3県は財政的に厳しいので協力金の支払いは正直難しいのだ。

3県にとって財政が苦しく東京都と同じことをするのは難しい、ということで3県の財政事情を知っている小池都知事が3人の知事を引き連れて政府へ乗り込んで「金くれ」と要請したのが緊急事態宣言の本当の話である。

緊急事態宣言の話となると内容について色々な人が様々な意見を述べるのだが、何が最も重要なポイントになるかと言ったら

「政府が金を出すか出さないか」

これだけがポイントなのである。最大のポイントだ。

そして政府は今回の要請に対してさっさと引き受けたのである。

政府はなぜ受けたのか?

これは簡単な話で、政府の中で「補正予算などの準備が終わっている」からである。

12月に政府と東京都が揉めている時に政府の方は実は補正予算や来年度予算を用意していたのだ。少し前まではしょうがないから東京都の方に営業時間短縮の要請をしていたのだが、その後はもう弾込めは完了しているので「どうとでも来てくれ」という事で政府は要請を受けたのである。実はそこについては小池都知事の側も知っていたのである。だが、東京都だけで政府に乗り込むと「東京都には金は払わないよ」と拒否されてしまう。だから周辺の(お金のない)3県知事を引き連れて行ったのである。政府の方は4人の知事で来られたら、小池都知事だけではないので、それなら「お金出しますよ」ということになるのだ。政府の方もお金を出す事を覚悟の上で補正予算など大きなものを付けたのである。そうなると菅総理より小池知事の方が上手だったとかは関係ない。政府の方も実は予め予算をつけて待ち受けていたからである。

その予算であるが、緊急事態宣言という形をとらないとその予算の使い方が上手くいかなくなる可能性がある。以前の予備費を使わなかったのと同じように、である。1月から3月の間で5兆円が残っているのだ。それを使わないとしょうがない、という話であり、先般の経済対策にも「予備費はきちんと使うこと」と記されているのだ。「使うこと」と記されているということは「”5兆円は使う”と判っている」ということだ。余談だが、そもそも予算というのは使う前提で組まれるので、わざわざ「使うこと」と念押しのように記されている事に違和感を持つ…というかおかしい。(笑)

それに対して小池知事一人で行くと支障があるので首都圏の3県知事を引き連れて行った、ということである。これは小池知事の政治的なカンということであろう。政府は政府で5兆円をどこかで使わなければいけないので、首都圏の知事連がまとめて来てもらっても大丈夫、無問題、ということだ。

要するに・・・

結局「政治というのは金を動かすだけの話」であるから当たり前なのであって、その意味に於いてはどっちが勝ったとか負けたとかの話ではない、と。

政府の方は準備した予算をこのまま何もしないで使い残したら酷いよな、と考えていたのだが、実は小池知事も他の3知事も知っていた筈なのである。だから「それならお願いしに行こう」となって揃って政府に要請しにでかけたのである。政府の方も「いやぁ、いい時に来たな」と…そういうことなのだ。

マスコミ報道では「緊急事態宣言発出によって経済にダメージが発生する」などと言われているが、ダメージが大きくならないようにする為の5兆円であり、3ヶ月間で5兆円なので非常に大きいのである。

3ヶ月間のGDPはおよそ120兆円くらいであるが、今回の5兆円というのはGDPの大体4%くらいになる計算である。この予算を使うだけでGDPを4%引き上げることが可能なのだ。

この予算の使い道について検討していた政府であるが、飲食業関係の休業補償と設定すればとても簡単なお金の使い方にはなるのである。本来こうした予算はもっと異なる使い方があるのでは?という議論は可能だが、今は時間がない。すぐにやらなければいけないのである。そうなると種々の新しいことはやりにくいので今回の5兆円は休業補償に回すのが適切、というところに落ち着く。「補償」という名のもとに各所にお金を配布すれば良い、と考えたのである。


マスコミの報道では緊急事態宣言発出によって「潰れる店が増える」と言われているが、それは「補償が来ない」という前提で言っているのである。

「予算はある」という事実を知らずに喋るからそのような報道になってしまうのである。「弾はたくさんあるのだから撃ちまくればいい」ということで落着なのだ。撃ちまくれば景気も悪くならないし休業に拠る閉店も出ないであろう。なにしろ「予算は大丈夫」という事が一番重要な話なのである。

しかし、そこが報道されないのは摩訶不思議である。マスコミはどこを見ているのか、と。昨年の4月~5月に10兆円の予算を用意したのだがそれをまだ使い切ってないのだ。

予備費は「新型コロナ対策で使う」ということになっているのでこうして使うことは当然である。マスコミの報道に於いては「予備費を使う」ということを把握していないのだろう。「マスゴミだからしょうがない」と言ってしまえばそれまでだが、そのような知識を持っていないのだろう。マスコミの報道はいつも視点が近視眼過ぎて目の前の事案についてああだこうだとそればかりである。だから全体像の話で「お金をどこにどういう風に払ってどう使えばいいか」という総合的な視点が皆無だ。そういう事を見ずに常に目先の事で「今、これが大変です」とばかり喚いているのだ。

マスコミ報道の意見は非常に単純である。

マスコミが「GoToは駄目だ」と大声で叫べば政府の方は「それじゃ」というので「取り敢えず止めました」となる。だがしかし、GoToの件は実態を見る限り全国民の移動の中で1%も無いので「いや、これは関係ないだろう」と考えるのが普通である。それでもマスコミが大声で「駄目だ」と怒鳴るから「止めた」ということだ。

さて、そうなると今度はマスコミの方は散々「止めろ」と主張していたことが実際に止まってしまったのでやることがなくなってしまった。それで今度は「緊急事態宣言しないのはけしからん」と言い出して、そちらに火が移っただけなのである。そして「緊急事態宣言を出します」となったらなったで「あ、そうなんだ」となって、今度は何を攻めようかな~と考え中・・・それだけ。それがマスコミの程度なのである。(蔑笑)

マスコミは政府が緊急事態宣言をやるとなった時に、それと同時に「お金も出します」という事実を報道しない。さらに緊急事態宣言に協力しない店や企業名を公表する、となった時にもお金の話は出てこないのだ。非協力的な企業名を公表する、というその理由は「協力金は多めに割り増しして出す」という前提がまずあって、それでも協力してくれないのは酷いですよね、という事なのである。この大事な部分が全然伝わっていないのはマスコミが真実を全く報道できていないからである。協力金を増やすことは当然なのだ。国がお金を一切出さずに緊急事態宣言を出す訳がないのである。

こうした事実をマスコミ自身が理解できていない、ということなのだ。人間は理解できてない事は話さず伝えないであろう。だからマスコミ報道を見聞きしていたら国民はわからなくて当然なのである。

高橋洋一氏は以前から政府の政策解説に於いて「5兆円も予備費が余っているのだからそれを1~3月の間で使います」、と述べている。だが、マスコミの報道だけを聞いていたらわからないし伝わらないのだ。能力が低いマスコミ人の意見を聞いたところで出てくる情報は極めて少ないのは当然であろう。高橋氏からすれば「そもそも簡単な話なのに、皆が何をいきり立ってるのかわからない」…ということなのである。

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ここからは筆者の意見だが、予算があるということならば昨年と同様に個人に対して一律の特別給付金を出す事を期待したい。国民は政府が考える以上に疲弊しているのだ。事業に対する給付金だけでは足りないと思う。手をこまねいている場合ではないのである。



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<2021年1月20日:追記>
麻生財務省は国民一律の給付金は出さない事を明言した。財務省は国民からお金を巻き上げる方策ばかり考えている役所であり、国民に給付するお金は出したくない、というのが本音である。この緊急事態に於いてもそれは同じ。官僚とはこれほど「心のない人間達」なのである。
また、感染者に使用できるベッド数が極端に少なく、それが原因で医療崩壊の危機などと言われている。なにしろ日本の病床数の総数は160万であるのに対して中国コロナ感染者に使用できる病床数はたったの3万しか用意されていない。そして、現実にPCR検査で陽性判定が出て重い症状も出ているのにも関わらず入院できる病院が見つからない為に自宅療養を強いられている人が多い。重傷者にとっては正に生命の危機である。昨年の1~2月に医療用防護服を33万6千着も中国へ贈ってしまった小池東京都知事。小池知事にとっては都民の命はそれほど重要ではなさそうだ。東京都の無為無策はそのまんま。1年経っても何も学習していないようだ。情けない。東京都の無為無策のツケは都民がその命で払わされるのである。強烈な憤りを感じる事実だ。




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