Altered Notes

Something New.

岡田斗司夫氏へのたった一つの提言

2023-05-09 02:30:50 | 人物
岡田斗司夫氏である。説明の必要もないほど名の知られた、押しも押されぬ言論スター界(*1)の1人である。映画やアニメーション作品の評論では裏事情にも詳しく興味深いデータの提示と解析は他の追随を許さないほどのものがあり、筆者もよく参考にさせて頂いている。

筆者にとっての岡田斗司夫氏の最初は1980年の日本SF大会であるTOKON7(第7回東京コンベンション)で見た「関西SF芸人」の二人組の片割れとして、であった。ちなみに相方は武田康廣氏であり、後にガイナックス関係者となる人たちであった。この時代、この二人が関わったDAIOCON3や4のオープニングアニメが入ったビデオソフトを岡田氏と武田氏が創業したゼネラルプロダクツから購入したのはいい思い出である。TOKON7会場(浅草公会堂)では、生の手塚治虫氏・新井素子氏・吾妻ひでお氏、星新一氏などを間近に見られたのも思い出(手塚治虫氏と廊下ですれ違っただけで感激していた)だが、されはさておき、ということで・・・。

で、岡田斗司夫氏だが、博識であり、各分野に精通しており豊富な知識をベースとした語り口は普遍的妥当性を感じさせるものであり、納得して聞くことのできる言論であるのだが、海外の政治や国際関係と日本の立場等々に関してはやや無知というか、多少の偏りと、知識・情報が不足しているように感じているところだ。だた、博識である事は間違いなく、各分野の専門家・科学者達と対等に話し合えたというSF作家の小松左京氏を思い起こさせるところもあり、立派であることは間違いない。

ただひとつ・・・。

唯一、岡田氏が「全く駄目」な分野がある。

それは「音楽」である。

はっきり言うが、岡田氏に音楽センスは1ミリも無く基礎知識も持っていない。皆無である。これはきっぱりと言える。

映画評論・アニメ作品の評論等で岡田氏が説明の途中で映画作品中の音楽を声で歌い出す時がある。これが酷いのだ。「超」が付くほど酷い。聴かされるのが苦痛である。例えば「カリオストロの城」に出てくる大野雄二作曲の音楽など、岡田氏が歌うとまるで違う曲になってしまう。それだけ音楽の成り立ち・構成・技術等々に疎いのであり、そもそも「音楽を語る為の言葉を知らない」ので説明が稚拙なのだ。そして歌ったはいいが、明らかに我々が知っているメロディーとは異なる旋律を歌い出す様は、音痴の延長上にあるものだが、どう聞いても原曲とは違うそれになっており、しかも歌唱センスも無いので、聴かされるこちらは耐え難いほど苦痛なのだ。こうした不都合な客観的実態に本人が全然気が付いていないのは悲惨としか言いようがない。それでいて本人はきちんと音楽を再現出来ていて視聴者に伝わっているつもりでいるのがあまりにもあまりにも痛すぎるのである。

岡田氏の音楽的なセンスは完全にゼロだ。そこまで酷いなら、歌うことをせずに音楽を得意の論理的な言葉でしっかり言語化して説明すればいいのに、と思うのだが、それもできないのだ。音楽の言葉、音楽の世界で使われる言葉を知らないので、適切な説明が全然できないのである。音楽をきちんと語り、表現することができないのである。「音楽を語る言葉」を知っていて使いこなせれば、例えば久石譲氏の音楽と宮崎駿氏・高畑勲氏の映画との関係性についても具体的で深い解説や解釈ができたであろうに…。岡田氏の音楽へのアプローチは現状では完全に「無知な素人」である。

もうひとつ。

準音楽的な領域だが、岡田氏は話しながら(或いは対談相手と会話しながら)突然笑い出すことがある。その笑い(「あははははは!」「ぎゃははははは!」等々)がサウンドとして「うるさい」のだ「耳障り」で「不快な音声」として鳴り響くのである。話なら話だけ聞きたいのだが、途中でこの大きな笑い声が入る時は苦痛である。こうした「音楽」「音声」「オーディオ」系統の分野については岡田氏はまるで素人。しかも無神経極まりない素人感をむき出しにしてくるのだが、もちろん本人は気づいていないのだ。


言論界のスーパーマンも全てのカテゴリーにスーパーな訳では無い事がよく分かる。

なので、岡田氏への提言は、音楽をこれからも扱う(触れる)つもりならば「音楽を勉強して頂きたい」、である。少なくとも映画に伴う音楽の評価に必要な最低限の知識は持っているべきであり、旋律を言論の途中で歌いたいのなら、少しでもボイストレーニングして西洋音楽の基礎的な音階ぐらいマスターしてからにしてほしいものである。現状は、岡田氏が歌い出すと「騒音公害」でしかないのが実情だ。かなり恥ずかしいレベルである事を自覚して頂きたいところだ。悦に入っているのは本人だけである事に早く気がついてくれれば…と思うものである。




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(*1)
筆者は「影響力のある言論人」を「言論スター」と呼んだ事はないが、岡田氏自身が使っていた言葉なので使用した。


<付記>
全くの余談だが、岡田斗司夫氏は映像機器にも疎い。彼のYouTubeチャンネルの動画には一瞬だが大きなビデオカメラを構えるフリをするシーンが出てくる。その構え方がビデオカメラというハードウェアを知らない(触ったことのない)人の拙さが現れているのだ。岡田斗司夫氏がカメラ等の映像機器の素人であることが良く分かる。