Altered Notes

Something New.

池上彰氏の間違った解説は試験なら赤点レベル

2022-05-06 03:46:46 | 放送
池上彰氏が社会・政治・国際問題などを解説する番組「池上彰のニュースそうだったのか!!」は事実と異なる言説が多く、また、池上彰氏自身が学生時代から左翼学生運動に血道を上げていた(*1)事もあり、その言論も左翼のプロパガンダ的な色彩を帯びたものが多いことで知られている。

さらに、番組で池上氏が語っている内容の多くは他の専門家に取材した内容であり、池上氏自身の知識や情報ではない事が既に広く知られている。取材は番組スタッフが行うが、スタッフはしばしば取材内容を「池上の方針で池上の意見として紹介したい」として取材対象者であるジャーナリストや大学教授などの怒りを買っている事が明らかになっている。

情報や知識をテレビや新聞からしか得ていない、いわゆる情報弱者と呼ばれる人々から見れば「池上さん、何でも知っていて凄いわねぇ」と見えるのだろうが、実際は池上彰氏の知識量や幅ははさほど多くなく広くない。前述のように、他の専門家に取材した内容を番組ではさも池上氏の知識であるかのように装って紹介している事が多いのである。

その池上彰氏がまたやらかした。(いつものことだが…)

2022年4月30日にテレビ朝日で放送された「池上彰のニュースそうだったのか!!」では「急速に進む円安の実態と生活への影響」について池上氏がレクチャーする、という内容であった。だが、ここで池上氏がレクチャーした内容の多くが間違いであり、試験ならせいぜい30点止まりの低レベルであったのである。

これは、結論から言えば池上彰氏自身が経済を理解していない事と、番組(テレビ局)も理解していない上に生徒役の芸能人たちはもっと無知で無教養なので、全体としてデタラメが蔓延するとんでもない番組内容になってしまったのである。

今回はここで「円安」について間違ったレクチャーをした池上氏の間違いを正す意味で数量政策学者の高橋洋一氏の解説をベースに記してゆく。


まずは、池上解説以前に基礎となる情報を記す。

アメリカが利上げをしているのだが、アメリカ経済を見る時に「なぜ利上げをしているのか」、である。もちろん単なる利上げではない。これは総需要と総供給の関係で見なくてはならないのである。総需要が総供給を上回っている、という状況があるのだ。だから過熱してインブレ率が高くなっているので、過熱を少し抑えようという意味の利上げなのだ。だから経済が成長していないのではなく、逆に猛烈に成長し過ぎてヒートアップしているので、だから利上げをする、という話なのである。

なので、利上げの仕方として「過熱を抑えるレベルであれば成長する」、ということなのである。仮にこれで過熱を抑えるどころか、逆に経済を冷え込ませる猛烈なレベルで利上げしてしまうとアメリカ経済も疲弊してくるであろう。しかし、今の程度の利上げであれば「過熱を少し抑える」程度であり、適正なレベルであることが判るのだ。その意味では「成長している」と言えるのである。ここが日本とは全く異なるところだ。

では、日本はどうなのか?

日本の場合は総需要と総供給の差があって、GDPギャップ(*2)はまだあるのだ。そこまで達していないのが実情であって、従ってなかなか加熱するレベルにまで達していない。過熱したならば少し冷やすのは当然のことだが、それ以前に「過熱している」ということは「経済がすごく良くなっている」事を意味しているのはお知りおきいただきたい。

では、日本とアメリカでどうしてこんなに差ができたのであろうか?

アメリカでは財政出動(*3)を盛大にやったからであり、それに依って総需要が総供給を上回ってしまったのだ。この差は明らかに財政出動の差が原因である。財政出動をして総供給を上回るくらいに総需要を作ると少し過熱が進む事になる。過熱するということはう少しだけ冷やせばいいだけである。だが、それ以前に過熱しているということはすごく景気が良い、ということでもある。だからアメリカでは失業率がとても下がったのであり、それ自体が景気が過熱している事の証明と言えよう。ここが日本とは全く違う事を示しておく。

ここで池上彰氏の番組(「ニュースそうだったのか!!」4月30日放送分)を俎上に上げる。この番組で池上氏は「なぜ円安になっているのか」について説明をしていたのだが、その内容があまりにもデタラメで支離滅裂だったので高橋洋一氏は笑い転げてしまったそうである。高橋氏いわく「全くアホな事を言っていたのでびっくりした」。

池上氏は「円安の理由が3つあります」と言って説明した。下記の3点である。

1.戦争に依る原因
ウクライナへの侵攻に依り戦争が長期化するので日本経済が駄目になる。

2.貿易赤字があるので円安になっている

3.日米の金利の差

この説明を大学教授である高橋氏が採点するなら、1.と2.は全くあり得ない、ということなので「✕」が付く。間違いである。ただ、3.は概ね当たっている。つまり、3.にしか点数は付けられない事になる。その意味では池上氏の説明は30点程度ということだ。

番組には生徒役として坂道グループのアイドルも含めて芸能人たちも出演して池上氏の解説に興味深そうに頷いていたのであった。だが、高橋氏に言わせれば「あんなバカな講義受けちゃいけないよ」と憤りを顕にするほど酷い内容だったのだ、池上解説は。

では、池上解説のどこがどのように酷かったのかを記してゆこう。

上述の3つの「円安の理由」について説明する。

まず、1.については、「ロシアのウクライナへの侵攻に依って戦争が長引くから日本経済に悪影響が及ぶ」と池上氏は言うのだが、ロシアとの取引については遥かにヨーロッパの方が大きいのは明らかである。ヨーロッパやアメリカの方が影響が大きい一方で日本には影響は少ないのだ。そもそもその影響の度合いを間違って理解している事で池上解説は「✕」である。

よくある誤解として、「経済が悪くなると円安になる」という人が居るが、それは全く違うのだ。そんな因果関係は全く無いのである。「経済が弱くなるから日本売りで円安だ」と説明する人が居るが全く違うのである。

2.の貿易赤字云々だが、これはそもそも「貿易収支と為替は全く関係ない」ということが既に証明されているのだ。その理由は、貿易収支に依って結果的には「ドルをもらって円に替える」「円をもらってドルに替える」という動きがあるのは事実だが、そのウェイトは全体の為替取引の数十分の一である。数%しかないのだ。それ以外はみんな資本取引と言って金融の取引である。その意味では貿易収支が為替に影響を与えるというのは40~50年くらい昔の話なのである。・・・それで終わり、ということ。(笑)従ってこの部分の池上解説も「✕」である。

3.の金利差についてはそれなりに当たってはいる。なぜかと言えば、為替がどうやって決まってくるかに非常に関係する話だからである。為替というのは「2つの国の通貨の比」である。例えば円=ドルだったら1ドル=何円に相当するかという2つの通貨の交換比率である。これは計算で言うと、「日本の円の総量÷アメリカのドルの総量」で割り算をすると1ドルいくらに大体なるのだ。円の総量やドルの総量は金融政策を緩和するとそれぞれ増えるので、金融政策の差という説明も可能である。金融政策の差だから円が多い時には金利が少し安くなったりするので金利差で置き直す事は少しは可能だ。その意味ではこの池上解説もちょっとは当たっている…という意味では3.は「△」もしくはギリギリ「○」といったところだろうか。

高橋洋一氏から見れば、なぜこんな簡単な話が分からないのだろうか、と不思議に思うようだ。正しい知識を持っている人から見れば、池上氏が間違った解説を社会に流すことで誤った知識や情報が一人歩きをしてしまうのは日本社会にとって有害無益にほかならないのである。

番組の内容から見て、池上彰氏自身やスタッフ達がこの分野について全く理解できていないことがよく判る。まるで判っていない事をさも「教えてあげましょう」と言わんばかりに長々とレクチャーすることのナンセンス、である。そのデタラメさは喜劇的だが、間違った解説をばらまかれる日本社会にとっては悲劇である。しかも池上解説を真面目に聞いているのは無知な芸能人たちである。高橋氏から見れば「全然分からない人が、分からない人に向けて説明している」ようにしか見えなかったそうだ。全く教育になってない、と。説明する以上は講師は当然ながらきちんと理解していなければ駄目である。ただ、高橋氏が言うには「あのジャーナリストの人(池上氏)には無理だろう」とのことである。

なぜか。

冒頭部でも書いたように、池上彰氏は「他人から聞きかじった話をただ喋るだけ」の人だからだ。いま喋っているテーマについて全然理解していない上に説明も上手とは言えない。一見、淀みなく喋っているのでもっともらしく聞こえるかもしれないが、内容は全然デタラメであり、ちゃんとした知識のある人から見れば、サンドウィッチマンの富澤氏が言うように「ちょっと何言ってるかわからない…」なレベルなのである。


池上氏は「円安になって大変だ」…という言い方をするのだが、実は「円安になるとGDPが伸びる」という事を池上氏は知らないのである。ちなみに円高になるとGDPは下がるのだ。これは世界各国それぞれにモデルがあって、例えば円安の場合はGDPがどれぐらい大きくなるか出ているのだ。期間などのパラメーターによって違いはあるが概ねそういう事でありGDPがプラスになることは間違いないのである。

実は安倍政権でのアベノミクスの出だしは正にこれだったのである。安倍政権以前には悪夢の民主党政権だった訳だが、民主党の時に円高になって大変だった状況をひっくり返したのがアベノミクスである。それで日本経済は持ち直した。これは厳然たる事実である。だが、池上彰氏はこれも理解していないのだろう。

当記事で「池上彰氏が…」と言っているが、はっきり言えばそもそも「マスコミが分かってない」のである。池上氏も番組前の取材で恐らくマスコミ関係者にしか取材しないので、結局いい加減な情報・間違った情報しか得られないのであろう。所詮この程度のレベルなのである。(蔑笑)




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(*1)
学生運動が盛んだった時代には社会主義青年同盟(社青同)という旧社会党系の学生組織に所属していたようである。

(*2)
「GDPギャップ」:国の経済全体の総需要と供給力の乖離のこと。 「需給ギャップ」とも言う。 総需要は国内総生産(GDP)、供給力は平均的な水準で生産要素を投入した場合の総供給(潜在GDP)を使用する。

(*3)
「財政出動」:景気の安定・底上げを図る経済政策のひとつ。 税金や国債などの財政資金を公共事業などに投資することによって公的需要・総需要を増加させ、国内総生産(GDP)や民間消費などの増加促進を図る。 需要の増加による失業者の雇用機会の創出も見込まれる。 不況期の景気刺激策として用いられる政策。