週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

帰ってきたヒトラーを観て

2016年07月03日 | ★映画★




 帰ってきたヒトラーを観た。

 時空を超えて、ヒトラーが現代へ蘇ってくる話しだ。

 劇中(本物の)ヒトラーが当時の考えそのまま真面目に語れば語るほど、大衆はコメディと捉え、社会問題、政治問題への風刺に笑いが止まらない。

 もちろん、それは芸と信じているがゆえだ。

 アメリカでトランプ現象が起こり、英国の国民投票でEU離脱が決まるこの世に、彼の言動が共感を呼ぶ。

 どこかの国の首相より数億倍上手いそのスピーチは、資本主義の行き着いた末の利己主義、排他主義の世にあって、たしかに支持されるものかもしれない。

 民族浄化はいまの移民問題に直結する課題なのだ。

 現代に蘇った独裁者の言葉が、メディアやSNSを通じて狡猾に広がっていく様は痛快で、そして不気味だ。

 ヒトラーは映像を撮る旅の中で、ドイツ国民と真面目に対話し、その不満を吸収していく。

 大衆の不満を代弁することがすなわち政治行動の発端とすればまさに的を得ている。

 カメラはドキュメンタリータッチで撮っているようで、本気で俳優のヒトラーに食ってかかるもいる。

 日本人より戦中の行為に向き合ってきたと言われるドイツ人だが、ヒトラーとユダヤの問題は風化しているわけではないのだ。 
 
 蘇ったヒトラーはテレビで受け、執筆した本がベストセラーになり、映画化される。

 原作では最終的に緑の党に共闘を申し入れるなど政治活動にまで進展していく。

 世界中でテロが増え、平和に根ざした理想郷EUが揺れている。

 ヒトラーの愛国心は本物だからこそ、いつの世も大衆の心に響くのだろう。それが行き過ぎたものに変質するまで人は気付かないふりをするのだ。




 
 戦争という大義を掲げた殺し、破壊行為、虐殺は絶対に許されることではない。

 だが、誰の心の中にも圧倒的な力に委ねたいという欲求があることを忘れてはならない。

 かの日に独裁者を選び、支持したのもまた大衆であり、国民なのだ。

 ヒトラーは我々の心の奥底にある。

 娯楽の合間でもいい、この夏は政治について真剣に向き合うべきではないか。

 街へ出よう、そして投票をしよう。
 
 若者の、子供たちの未来のために。 

 治安が維持される平和な国を誰しもが求めているのだから。

 方法論は人の数だけ様々だろうが、

 大勢の目指す理想がそうであることを願う。

 この夏必見の映画。

 痛快で、考えさせられること多し。 



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