【お囃子の粋な音色も盗聴か】哲露
今年も三社祭の季節がやってきた。
平日に祭囃子が聴こえるともういけねえ。
浅草っ子の血が騒ぐのだ。
仕事なんかしてられっか、てやんでえ。
町会神輿に神様を祀る。
浅草神社まで、神様を運ぶのだ。
こりゃ気合い入るわな。
残業続きで頑張っている後輩に声をかけたら、ぜひ三社の神輿を担ぎたいという。
そんなこと言われたら、おっちゃん、なんとも嬉しい。
いつものごとく、浅草寺裏手に神輿が百基ほど結集する。
これ壮観よ。
市川團十郎の像のある広場。
新門辰五郎の建てた稲荷も見える。
さて、いざ神社へ。
三社様に参拝し、境内を出る。
浅草寺前は人ごみの嵐。
この大勢の観客の中、担ぐ肩にも力が入る。
この日は30度近い真夏日。
ビールも旨いが、水も旨い。
熱中症に気をつけて担ぐような気候は珍しい。
後輩がずっと入ったまま出てこない。
初めての神輿に、ちと不安になる。
でも、若さとは素晴らしい。
疲れを微塵も感じさせず?、ビールやハイボールを飲んで帰った。
六町会連合の夜神輿。
ライトアップされた六基の神輿が一斉に上がる。
これ、鳥肌が立つのよ。
翌日、日曜はいよいよ本社の宮神輿の登場。
今年は思いの外、思いっきり担げたわ。
試験前で遠慮してた息子も、サッカーの試合後駆けつけて担ぐ。
祭りはいいな。
今年も終わった。
以後、お富士さんの植木市、朝顔市、七夕祭り、花火大会、サンバカーニバルと祭りはつづく。
監視社会なんてまっぴらだ。
夏はもうそこに来ている。
【戦場を北へ南へ鯉悠々と】哲露
GWのある日、荒川をママチャリで走った。
芝生が青々と茂り、河川敷に少ない柳もたわわに風に揺れていた。
行政かボランティアが植えたのだろうか。
純白、極赤や紅、黄、紺、紫など、花々は目にも艶やかに咲き誇っていた。
天空は筑波山まで遠く、広い。
海へと流れる川面の上を、降ろし風が滑っていく。
少年たちが白球を追いかけ、カラフルなボールを蹴っている。
老若男女が色とりどりのウェアで淡々とRUNしている。
外国製の高級自転車がその横を唸りを上げてすり抜ける。
わたしは、その同じロードを黙々とママチャリで走っていくことにした。
子供の日も近い。
川の上を、希望に膨らんだ鯉が登っていく。
東向島から海へ。
海から山へ向かう。
赤羽が近づくと、ゴルフ場のグリーンでパット中。
かつて、フルマラソンで走ったコースを自転車で走るのは気持ちいい。
水門がみえる。
岩淵水門だ。
大雨、台風など増水時には、この水門を閉じ、隅田川への流入を防ぐ。
徳川さんの成した水害対策事業が、ここでも活かされている。
封建の偉業が現代の繁栄を支えているんだ。
なのに、政は後退するような報道が続いている。
偽政者は、文学部の存在を軽視し、歴史に学ばないことで自分の思い通りにしたいということか。
ここで茶を飲む。
水面の輝きが心なし色を失くしたようだ。
時の政治は、市井の民度に比例するという。
このままでいいわけはない。
未来ある若者たちのためにも、僕らは学び、声をあげ、行動すべきだ。
たとえ、小さな一歩でも。
河川敷を50km走りながらそんなことを思う。
思いの丈を、書き続けよう。
【醜悪な心も変わる五月晴れ】哲露
美女と野獣。Beauty and the Beast。
連休の初めに鑑賞。
言わずと知れたディズニーの不朽。
Wikipedhiaによると、1740年ガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ作が初とある。
現在私たちが知っているものは、短くした1756年ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン版らしい。
人に迎合しないベル。それは芸術家であり、不幸な過去を持つ偏屈な父親の影響とも言える。
その彼が仕事帰りに摘み取った一輪のバラから物語が走り出す。
誰もが知っている話し。
安心してみるも、演技者とミュージカルがその主軸だ。
ところがどうだ。
演技とあいまった丁寧で巧みな表現力を前に、落涙してしまった。
人物にしっかりと感情移入したということ。
アリアナ・グランデの歌にも魅了される。
ベル役のエマ・ワトソンもハマり役だった。
そして、野獣より醜い心の悪役を演じたガストン役、ルークエバンスの演技が光っていた。
筋をわかってても、泣けてしまう。
こんなエンターテインメントを作れたらどんなに素晴らしいだろう。
シンプルで、人の醜さと再生が全てが込められいる。
観終わった後、考えさせられた。
そんなことを思う、GWの午前である。
みなさん、リラックスした休日をお過ごしくださいまし。