週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

大晦日

2019年12月31日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

 

なんと8月以来、更新してなかった。

チェックしてくださった方、どうもすみません。

SNSは、インスタ中心で2アカウントを運用している。

FBは見る専門だけど、メッセンジャーでは時折やり取りが発生する。

ツイッターももっぱら見る専門だが、そこで繋がっている作家たちと交流がある。

このブログを書き始めた頃は、こんな世になるとは思っていなかった。

自分がインスタなんてものを仕事で多用するイメージがなかったと言った方が正しいのか。

インスタと連動できるブログも存在する。

このgooブログはできないらしい。

さてはて、これからどないしよう。

 

閑話休題。

今日は早いもので大晦日。

写真は取材旅行で訪ねた、酒田の【蕎麦切り きち弥】さんの「鴨南蛮蕎麦」。

野生の良質な脂が汁に馴染み、それに負けない山形の手打ちが素晴らしかった。

焼いた根深葱の甘さも特筆もの。

今宵はあちこちで年越しそばを食されるだろう。

一体、この日は何食のそばが消費されるのか。

みなさんは、どこで、なんのそばを食べられますか。

馴染みのそこ、新規のあそこなど。

思いを巡らすのもまたたのしい。

ご訪問くださったみなさん、心から感謝します。

新年もどうか宜しゅうお頼み申し上げます。

良いお年を!

海光拝

 

 


2019_お花見句会_日本橋クルーズ

2019年04月07日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




【曇天の 川面に映える 垂れ桜】鶴輪(天賞)
 


 今年も春が来た。  

 睦月の頃からソワソワし予約した、深川へのクルーズ。  

 朝早くから準備をして、全そ連のメンバーと日本橋の袂へ集結する。

 

【花冷えの桜の枝に鳩の風】薬師如来(地賞)

   


 いよいよ出船だ。

 備え付けの毛布を腰やお尻に巻いていざ深川へ。

     

 鎧橋を抜けると大波が打ち寄せる。



 大河へ出るのだ。

 

 佃島、越中島を横目に、水門を潜る。

 

 大横川へと侵入。



【花冷えの 船に六人 あたたかい】水芭蕉(人賞) 

 


 小さな橋桁が見えると、ガイドさんから首を垂れるよう注意された。

     

 この日は満潮。頭を下げないとぶつかってしまうのだ。

 

 スリルとエンターテイメントのクルーズ。

     

 いくつか橋を抜けると、そこは深川だった。


【春雨に濡れて涙を隠す人】瓜実(入賞)

【それぞれの手の大きさに海苔むすび】瓜実(入賞)

    

 

 和船を漕ぐ女船頭が勇ましい。この和船、なんと二時間待ちとか。

   

 橋の上から手を振る人がいる。

 岸から香る、焼きそばなど焼き物の匂いがそそるなあ。  

 そして、橋を抜けた瞬間の桜並木の見事なこと。


 

【起きなさい母の囀る朝寝かな】不埒(入賞)

   


 両岸へと交互に近づいてくれる。

手を伸ばせば届く距離に、ソメイヨシノの花びらがある。

     

 チェリーの芳しい香りを、目、鼻、心の全身で感じる。

    

 のんびりとたゆたう船上の花見は最高なのだった。

 

 

【散る桜 ちびたサラミを かじりだす】耕実

   
 

 帰路は風が強まった。



 下船し一路、浅草へ。

   

 桜橋のたもとにシートを広げ、吟行の続きをば。

 

 


 桜祭りの会場で、味噌田楽やら焼き鳥やら焼きそばなど購入。



 ここはかつて西城秀樹さんが名曲「 ヤングマン」を熱唱した地だ。   

 腰を落ち着け、ビールや酒で春を祝う。

   

 向こう岸にはスカイツリー、

ここ築山には、満開の菜の花と枝垂れ桜、染井吉野が競演する絶景スポット。

   

 川面を行き交う屋形船なども絵のように映える。


【絵のような小舟で願う桜まじ】不埒

 
 


 さて、各々2つ発句、個性あふれる句が集まった。

   

 天賞は鶴輪。

  

 2018年に続いての天賞は見事だ。



 平成最後に、おめでとう。

   

 冷えてきたところで、六区へ移動。

   


 同級生が営む水口食堂。



 ここはなんでも安くて美味い店。

   

 ホタテフライやらカニサラダ、ナポリタンなどつまみに俳句の講評を行う。

   

 旧交温め飲むのもいいが、即興で楽しめる最小の文学はやっぱり面白い。

   


 ご入賞の皆さん、どうもおめでとう。

   

 ご参加してくれた皆さん、ありがとう。

   

 参加できなかった皆さん、令和の春にお会いしましょう。

   




 職として一年ちょい続けたインスタ。

 フォローしてくれるお優しい方は10,000を超えた。 

 日頃からご愛顧、ありがとうございます。

 これからもあっしなりの発信を続けてまいりやす。 

 それでは、またの機会に。ごきげんよう。


2018年の暮れ

2018年12月31日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




【またひとつ 暮れに消えゆく 昭和かな】酒上乃不埒


 浅草龍泉町。

 かつて樋口一葉が暮らした町。

 ここに浅草ならぬ太い麺を供す蕎麦屋があった。

 それが【角萬】。

 名物は冬でも「冷やし肉南蛮そば」。

 気の短い下町っ子は略して「冷肉」とか大盛りを「冷大」と呼んで注文していた。

 浅草らしくない甘辛い汁、野暮な太い麺、甘い千住ネギと手頃な豚肉といたってシンプル。

 これに七味をたっぷりかけて食べるのがあっしのスタイルだった。

 一階は回転の早いテーブルと小上がり、

 二階は大座敷で、将棋など置いてあり、ゆるりと一杯やれるのもよかった。
 





 こんなに地元に贔屓にされ、繁盛していたこの店の灯が消えてしまうとは。

 何処も後継者がいない、このことよ。

 行ける時に行く。行きたい時に行く。思い立ったら行動する。

 歳とともに行動力は低下気味だが、このことを肝に命ずる年の瀬だ。

 若造の頃は、暑い日も、寒い日も冷大ともりをセットで食べていた。

 角萬さん、長年ご馳走様でした。 





 10年連続ミシュランを獲得した、江戸蕎麦【ほそ川】。

 ほそ川の親方もこの蕎麦を好んだと聞いた。

 そばの内容はまったく違えど、食べたいもんが好みなのよ。

 ああ、九州から取り寄せる穴子天は、サクッと軽快で、香り高いそばにぴったり。





 京橋から銀座に移った【山形田】。

 この店の名物は板そばとこの「冷やし地鶏そば」

 透き通った汁に、コリコリした地鶏と三つ葉が決め手ね。



 本日は大晦日。

 大祓いを済ませ、何といっても年越しの蕎麦がたのしみだ。

 今宵は地元で愛される町の蕎麦屋で鴨をいただく所存。

 皆さんはどんな年でしたか。

 行く年来る年。

 どうぞ良いお年を。 


秋もいろいろと目白押し

2018年10月21日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




【やぶ久】の「ネギ蕎麦」ざんす。

 大ぶりのネギを焼いてのせてある。白髪ねぎとダブルなのも嬉しい。

 三つ葉も洒落てるね。
 
 ここはカレー蕎麦が有名な老舗なんだけど、この時期これオススメだす。

 そして、もうすぐ御酉さま。

 季節の移り変わりの早さに圧倒される毎日。

 今週末には、季節風の大会がある。

 一年で最も大切にしている二日間。

 なのに、仕事でハロウィンのイベントが入り、遅刻が決定。う〜〜ん。

 その翌週には、赤坂サカス「TBSラジフェス」がある。

 江戸蕎麦の巨匠にお願いした、絶品の鍋が目玉!

 インスタ映えスポットもご用意しているので、11/3(祝)4 (日)の両日ぜひお越しを。

 ここだけで食べられるオリジナルの2色パンとおやきも2種提供。

 いずれも100円〜200円と儲けなしのサービス価格。

 朝一のナイツから爆笑問題、バナナマンまで、パーソナリティーも目白押しだ。

 あっしは朝から出張ってます。


 そんなこんなで、ブログ更新遅れておりやした。

 午後はレポートを再度見直そうと思う。

 もっと小説を書く時間が欲しいこの頃である。

 新蕎麦も新米も美味しい秋。

 さて、ひとつずつ片付けて参りましょう。

 いまさら、コンビニ人間読んでいる秋の空。

 いろんな書き方があるんだなぁ。
 

 海拝 


  


花見の句会 2018

2018年04月07日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★



「 天賞 鶴輪 」


 2018年、今年の染井吉野は早かった。

 花見句会も急遽メンバーを招集し、例年より早めに。

 冒頭、腕を上げた鶴ちゃんの一句。

 写真との対比、自然体がいい。

 鶴輪、天賞おめでとう。



 

 さて、お昼前のこと、桜吹雪が舞う中、各々浅草の乗船場へ集まる。
 
 朝のランついでに整理券をもらっといたので、一番に乗船できた。

 両国からこちらへ移って初めてで心配だったのよ。

 よかったわ。

 船に乗り込むのってワクワクするね。






 船に揺られながら見る、桜とスカイツリー。

 幸せな日曜日が始まった。

 早速、ビールを開ける。

 ぷっ、しゅわわ〜〜。










 築地市場の移転が決まった。

 海側からの眺めもこれで見納めか。

 東京タワーを浜離宮越しに見る愉悦。

 贅沢なひととき。

 日本酒、ワインと次々と開けていくのだ。

 お酒足りるかしらw





 二時間のクルーズから下船した。

 晴れの日が続き、花見客も分散したおかげか、

 ソメイヨシノの下、シートをはる場所がすぐ確保できた。




「地賞 耕実」



 「人賞 鹿嬢」

 2年ぶり、作家の耕実さん、 地賞おめでとう。

 初参加の鹿嬢さん、これを契機に立派な狩りガールになってちょ。

 季語はないものの、みんなのハートを掴んだね。

 鹿嬢、おめでとう(^^)



「変態翁」                「水芭蕉」

「酒上乃不埒」              「肉舞」

「薬師如来」               「玉酔姫」


「酔徹」


 仕事柄スマホアプリを多用している。

 数年前は、コンビニでプリントした写真に俳句をあてた。

 便利なことに、撮ったその場で画面に俳句をのせることができる世の中なのだ。

 若い人が多いから、こんな趣向でやってみた。

 これはこれで面白い。




「PHOTO賞 周知乃酒毛」


 ラストは、絶妙な飛ぶ海苔を撮ったパパに。

 見事なカット、周知乃酒毛、フォト賞おめでとう。

 かわゆい娘に桜の豆皿を。

 よく一日付き合ってくれたね。

 娘ちゃんに乾杯。



 

 最高の天気に、素敵な仲間と。

 知命の歳。

 穏やかな海風に吹かれ、淡い花びらが降る。





 大好きな酒を酌み交わす仲間がいる。

 平和が一番。

 下手な俳句もご愛嬌。

 もう昇天してもいい、そのくらい気分のいい日曜の昼下がりでござんした。

 全そのメンバーの皆さん、笑顔をたくさんありがとう。

 以上、花見句会のレポート。

 お後がよろしいようで。 


秋の吟行【深大寺篇】

2017年11月26日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★



【深大寺 紅に見惚れる 蕎麦路かな】哲露

 久しぶりに吟行に出かけた。

 馴染みの作家仲間を引き連れて、秋を愛で、蕎麦を食う。





 新宿から特急で3駅ほど。

 調布駅からバスに乗ったら紅葉が目に飛び込んできた。

 いざ、参道へ。





 まずは、鬼太郎の茶屋へ。

 この地は、水木しげるが暮らした町。

 古今東西の妖怪たちが待っている。





 鬼太郎グッズ、妖怪のあれこれが並んでいる。

 百円払うと、妖怪の館も見学できる。




 先の戦争で片手を失った漫画家水木しげる。

 彼が胸に抱き続けた、笑いや悲しみがここに凝縮している。





 妖怪の館の二階からこんな素敵な秋を見つけた。

 深大寺、ええなぁ。





 藁葺きの山門をくぐり、寺に詣る。

 観光地とはいえ、まだ素朴な佇まいが好ましい。





【新そばに ついさそわれて 深大寺】優女


 参道からすぐの蕎麦屋に入る。

 ここは蕎麦屋が各所に点在。

 あっしの大好きな蕎麦がてんこ盛りの深大寺。

 なんて素敵な場所だ。

 新そばに舌鼓を打ちながら、姐さんの心地良さが現れる一句。





【七五三 四半世紀後 仲間酒】弾前


 男前の作家は、気持ちの良い一句を。

 彼女らしい発想に、思わずニンマリ。





 小滝が流れる風流な一角を陣取った。

 深大寺門前そば【八起】さん。

 そりゃあ、名句が産まれるってことよ。

 姐さん方、心構えはよござんすか。

 おっと、まずは一杯か。





 今度は吉祥寺へ河岸を変えて、もう一杯。

 かの地の名物【いせや総本店】で、ガツ刺しとモツを食いつつ。

 朝鮮漬けが辛くて旨いこと。

 食い物で交流すれば平和なのにね。





 外の風が吹いてきた。

 体が冷えてきたので、ハーモニカ横丁へ。

 目移りするばかりの路地は魅惑の町。





【CAVAを呑み 紅葉冷やかす ハモニカ路】哲露 天賞


 路地の交差する二階のビストロへ。

 もはやお腹は満たされたので、ナッツ、レーズン、スモークチーズなど飲んべのつまみオンリー。

 弾前さんのリクエストで、CAVAのスパークリングを。

 散々飲んだのに、結局二本開けちゃいましたわ。

 今日の日をそのまま綴って、天賞をいただく。

 心置きなく、森羅万象を語れる良き仲間たちがいる。

 ただ飲むだけでなく、文字で遊ぶ昨今では極めて優雅な戯言。

 優女さんと弾前さんとのご縁に、改めて感謝する秋の一日。

 ありがとう。

 姐さん、またやりましょ。 


雨上がりの花見句会

2017年04月09日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




 4月初めの桜祭りは冷たい雨により、一週延期。

 こんなに遅れる花見も珍しい。

 平日の穏やかな日は上野で花見し、i-Phoneの液晶を割った。

 この日もあいにくの雨。

 朝一にチケットを手にいれる頃は、まだしとどに降りしきっていた。

 その割れた画面で皆に連絡をし、花見の句会を開いた。

 土曜の昼下がり。

 たくさんのアルコールと食い物を持って集まる。

 奇跡的に雨も上がり、無事水上バスに乗り込むことができた。







 天 「そよ風に 頬赤らめる 酔いさくら」笑嬢

 
 大量の酒に、持ち寄ったツマミもバッチリ。

 席が埋まるほどの観光客も羨ましいがる酒宴の始まり。

 若い衆が酒を注ぎ、ツマミを配置してくれる。

 素晴らしい活躍。

 なんとも心強いことだ。






 

 地 「曇れども 花見に集まる あたたかさ」花形

 
 毎度のビギナーズラックはあるものの、後輩二人のワンツーは見事。

 ビールも切れ、早くも吉野杉香る一升瓶もなくなる。

 お肉の遣い手、テリー肉丸差し入れの、チャーシュー1kgとメンマもあっという間に空。

 船の間に、白ワインまで到達する。

 笑い上戸の笑嬢さんの差し入れ、イチジクがこれまた辛口の白に合う。

 それにしても、まだ、午後14時なのよ。みんな、よく飲むこと。








 人 「川舟や ぼやり流るる さくら雲」純恋

 
 艶っぽい和服の姐さんも、さらりと人賞に。

 さすが児童文学からAV男優まで幅広い執筆をなさるだけある。

 あっしも見習わねば。
 
 一同、桜橋で上陸。酔って降り過ぎるとこやった。あぶねえ。

 雨の降るなか、朝から陣取りしていた若者たちの勇姿はすごい。

 彼らの根性に、日本人の桜へ対する執拗な想い、これぞ大和魂を感じる。 

 とはいえ我々には悪天候が功を奏し、いつもの築山にシートが引けた。

 ああ、絶景かな、絶景かな。

 





 「散り濡れも 桜花乱舞に 心舞う」肉舞


 本日の集い、なんと独り身が多い。

 そこで、縁結びの神さま、今戸神社へ参詣にお連れした。

 ここは沖田総司終焉の地とも噂され、今戸焼発祥の地とも言われる。

 パンパンっ、と懸命に祈る独身の姿に、日本の良い心を見る気がする。 

 絵馬を冷やかす心は下世話なもんだが、江戸の頃より人の噂話が戯作や芸術になった。

 神社の清廉で、凛とした空気は人の心を癒してくれるってこと。








 「舟遊び ゆらりゆらりと 散る花や」哲露


 一葉も通った墨堤をテクテクと吟行す。

 空は曇るが、皆の心は晴れやかだ。

 スカイツリーをバックにパシャり、菜の花と桜花をバックにパシャり。

 酔っているから、代わり映えのない絵ばかりになっちまった。

 それも愉快から来るご愛嬌。





「辻岡は 桜と眠る アーティスト」水芭蕉


 陽も落ち掛ける頃、恒例の稲垣へ。

 いよいよ句会である。

 〆切は19時までよ、と声をかけると、口数も減る。

 これもいつものごとし。

 質こそ低調だが、明るく心のある句が目立つ。

 転写を手伝ってくれる後輩も現れた。

 モチっと、本気で発句にも力を入れねばなるめえ。

 ご入賞した皆さん、おめでとう。

 ご参加の皆さん、ありがとうござんした。


「初めての 人と観る 花見かな」薬師如来

「船着きて 和服美人は 春めきて」変態公


「花の雲 我を想う日 誕生日」酔徹






 
昨年は王子山で流感にかかり、日本橋川の花見も凍え震えていた。

 今年はこんな笑顔に包まれ、あっしは幸せもんざんす。

 一日一生。

 今日も鼻を啜りながら、同人の作品を読む。

 雨の中、創作への想いを巡らしてみる。

 参加くだすった、 皆さんに感謝。

 紫陽花が露濡れる頃、またやりたいもんだ。 

 次回まで御機嫌よう。

 またよろしゅう。


チンチン電車の小さな旅

2015年04月05日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




【君の肩こぼるる花の一二片】 優女 天賞


 4月初っ端の土曜日。

 わが全そ連恒例の花見の句会でござんす

 起きたてに隅田川をRUN♪ 桜の花をチェックする。

 きっとこの週末が見納め。

 築山にユリカモメが舞う。

 大川の桜の空はいつでも美しい。


 


【すみだがわ流れる色は散る桜】瑞芭蕉 


 ここリバーセンター脇でも桜祭りが開催されている。

 日曜は水前寺清子さんがゲスト。

 隅田の両岸では、町会が露店を出している。

 たこ焼き、焼きそば、焼き鳥、モツ煮、安いおつまみが充実。

 これじゃ花見客もひっきりなしだわ。





 この日は、都電荒川線のちい散歩。

 一日乗車券を購入すると、乗り放題で400円なり。

 こりゃお安いバカンス。 

 下町の旅は、お財布にも優しい。






【春うらら仲間とうたげ楽しいな】 和女 会長賞
 

 始発は三ノ輪橋。

 妙齢のカメラ小僧の集団がシャッターを切る。 

 プロ顔負けの機材が凄い。 

 駅には懐かしの看板が望郷を誘う。

 さぁ、みんなの待つ飛鳥山へ、元気ハツラツ!レッツらゴー!





【チンチンと汽笛が通る花の道】 哲露 人賞


 心地よい汽笛が鳴る。

 小さいな家々の間を、右へ左へ都電が縫っていく。

 チンチン♪ チンチン♪

 ちっちゃい頃、これ、鳴らしたかったのよ。

 25分ほどで王子駅。

 飛鳥山は目と鼻の先。

 駅前の東急ストアでツマミと酒を買い入れる。ケーブルカーなど乗らず、天頂を目指す。




 山を登り顔を上げれば、桜の絵が広がる。

 恵比寿のヒト、ラガーのヒト、ブラックニッカのヒトもそろって乾杯!

 北の風を避けて、山の裏へ。

 吉宗公も慈しんだ花を愛でて廻る。

 散る淡い花びらが行く手に流れてゆく。

 北島サブちゃんもビックリの、花吹雪は生と死のコントラストを演出している。

 たった一週間の花の命。

 この世の無常観がたっぷり。 


【行く春を告ぐるが如き花筏】 酔徹 幹事長賞




 
 あちこち小さな山の起伏が、古来からの名勝を贅にみちびく。

 太閤の愛でた西の山桜の賑わいを彷彿とさせる造り。

 武士たちのみた壮観を、目を閉じ、想像してみるのも一興だ。

 紙の博物館の隣に、渋沢栄一展もやっている。

 優女さん曰く、深谷のヒトだという。

 へえ、毎度才女の博学から知ること多し。

 お勉強になりやす。




 ヒトも車も行き交う街中に、やはり都電は似合う。

 幼い頃、仁丹塔の安全地帯に立ち、父に手を引かれて乗車した記憶が蘇る。 

 チンチン♪ チンチン♪

 車両の貸し切りが、たった13,820円なり。

 安くないすか。

 いつか仲間で、貸し切り宴会。

 やってみたいわ。


 

 飛鳥山から乗り込み、癒しの行楽地へ。

 荒川遊園地への道も、桜並木がつづく。

 モヤモヤサマーズばりのノリで、流れるプールを見ている、盥のようなボートがぷっかぷか。

 それはフーラフラと不安定そのもの。だが、女の子たちは無邪気で楽し気。

 春になっても、水はまだ冷たいだろう。

 懸命なうちらオトナは、誰もチャンレジしなかった。

 若くないのね。




 
 園内も桜がいっぱい。

 200円の入場料で、じつにのんびりできるのだ。

 ここで同期組が合流し、総勢11名で豪快に乾杯!

 持ち寄ったつまみがテーブルに並ぶ。

 たちまち園内の一角が、和みの空間に。





【絨毯の如し河面の桜帯】 鶴輪 地賞 


 敷き詰めた薄紅は迫力があるわ。

 生け簀への流れそのものが淡いピンクに染まっている。

 まさにサクラの絨毯。

 やはりこの花は散り際がうつくしい。

 いつの日か、私もこんな散り様が出来ようか。





 いい歳したオトナがハシャグのが素敵じゃないか。

 カップル、薔薇族、いろんな組み合わせで観覧車は廻る。

 振り向いた鶴ちゃんの不安げな顔。

 いってらっさいまし。


【しゃぼん玉陽光の花集めけり】黒い編隊





 空中の花見とはお洒落やね。

 隅田の支流を花筏が永遠の帯をひく。

 この高さだから楽しめる景色もある。

 ジェットコースター、作るも乗るもあっしにはまったく意味がわからん。

 ああ、でも、おいら、観覧車は好きやで。 


【春の日に荒川ゆうえんよかったね】 75歳紳士


 
 ブラタモリっぽい?

 男の子はいつだって、鉄道模型に夢中。

 女子はまったく興味なし。

 これが男女の意識の差。

 だからこの世は面白い。 





 ふたたび、三ノ輪橋まで戻り、青木屋で千住名物を薦める。

 揚げたてのコロッケパンは、コロッケが二つは入る青春の味。

 少年たちはぺろっと食べてしまうが、おじさんたちは持て余している。

 モヤモヤの小さな旅。

 このあと、ふるさと資料館で、荒川区の歴史をお勉強。

 ここ千住は松尾芭蕉の奥の細道の出立の地。

 宿場町もあったかつても賑わい、息遣いを感じることができる。

 たった100円の学びは、オススメ!


【桜餅お茶の香りのほほんと】 30代歌姫





 
 もう一度、都電荒川線に乗って、東尾久三丁目まで。

 ローカルの手打ち蕎麦屋【実】に寄る。

 馬刺、胡瓜とミョウガ和え、糠漬け、マスターの差し入れイカの薫製の天ぷら、浅蜊蒸し、鳥わさ。。

 ビールに、ぬる燗に、トマト酎ハイが飛ぶようにすすむ。

 酔う前にと、すかさず、用紙を配る。
 




【呑み干せば酒の肴か花一輪】 草露


 総勢11名による、春の句会。

 桜にちなんだ、有田焼を用意する。

 俳句などまるで浮かばない。

 燗酒をあおり、今日一日を憶う。

 みんなの句作を転写していく。

 クスッとしてしまう素直な句。

 さーて、発表!

 個性溢れる句が並ぶ。

 玄人、素人、選者も同じだからオモロイのだ。

 気になる結果は!? 

 おっと、ビックリ!

 意外なことに、人賞をいただいた。

 その日その場を詠む。それしか考えずに投じた。

 発句の要諦はまさにこれなんだな。

 同期も会長賞を取った。

 また一つ、素敵な思い出。

 仲間がいるってえのは、ありがてえ。





 マスターの手打ちのセイロ。

 ボリューム感もあり、歯ごたえもしかり、汁の辛さもほどよい舌触りだ。

 山葵も本物。

 いい店を発見したわ。

 店の外までお見送りしてもらう。

 マスター、女将さん、美味しい蕎麦を、ごちそうさん。




 
 75歳の俳人が連れてってくれる、怪しいスナック【みっちゃん】。

 船長さんと淡路恵子ばりのママがいい味出している。

 焼酎のみがお約束。それで、1500円の飲み放題歌い放題。

 さすが、町屋は侮れないわ。

 地元の先輩方に感謝。


【流れゆく新し出会い花いかだ】恭花


 今年も愉しい花宴でござった。

 全そ連の仲間たち、地元の同期組の仲間たち。

 優女さん、初の天賞おめでとう!

 鶴ちゃん、あの盃は羨ましいぜえ。

 帰りはチンチンの終電。

 たくさんのご参加と笑顔に、多謝!

 皆さん、お疲れさま
 
 


オトナの遠足!

2014年12月03日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




【灯し火や夕焼け小焼け旧き町】哲露  地賞


 ずっと行きたかった町。

 町と言っても、ここは造られた町。言ってみればオトナのテーマパークだ。

 三丁目の夕日みたいでしょ?

 季節ごとに夏祭りやら、正月飾りやら様々な装飾がされるとか。

 広大な小金井公園のなかに、旧い建物が移築されて形成されているのだ。

 226事件で射殺惨殺された高橋是清の豪邸もある。えらいもんでっせ、みなさん。

 敷地面積は約7ヘクタールってわからんよね。とにかく広いのよ。

 江戸から昭和の初めまでに建てられた30棟の復元建造物がたーくさんあるわけさ。

 

 これは伊達家の立派な冠木門。

 門番の控え所も立派やった。

【踏みしめし落ち葉の冷たき音ひとつ】草露


 
 
 私の地元にある日本最古の居酒屋の旧い建築物だす。

 その名も鍵屋。

 いかにも鬼平に出てきそうでしょ?

 根岸にあるその店には、銅製のチロリや昭和の古看板があって味があるのよ。

 ただね、女子だけでは入れんのさ。

 どうしても行きたいって女子は、どうぞ海光まで言うて。

 いつでも同伴いたしまっせ。



 懐かしい六角形の交番。

 夕刻にはコスプレ姿のおまわりさんが立って、お客さんのカメラ攻めに遭ってましたわ。

 この時代のおまわりさんは、町の正義やったと思う。子ども心だからそう思ったのかな。どうなんやろ?

【さざんかの花のこぼれや冬支度】優女 同地賞 




 デ・ラランデ邸にて、ドイツ麦酒で乾杯。

 言わば地ビールやね。

 癖のある味、癖になる味。



 その名もピリ辛ジャーマンライス。

 一緒にいった優女さんが怒って?いたが、どこがジャーマンやねん!

 でもね、ピクルスやヨーグルトもついて、ビールのツマミには最高どした。



 和傘がぼんやりと彩る商家。

 素敵ざんす。



【キャンドルの光の中で温もり五つ】瑞芭蕉

 本物のローソクは、太古の魂を揺らし、現代にあってはそれだけで贅沢なものに映る。

 初デートできたら、きっとあの娘もイチコロやね。



 紅葉とライトアップがこの三連休だけのイベント。

 屋台で熱燗のワンカップ、ホットワインを手に入れ、豊潤な時間を過ごした。



 〆はやっぱり、武蔵野の蕎麦やろ。

 五日市街道沿いの【田吾作】まで歩く。

 熱燗とチェイサーのビール、蕎麦屋のツマミでグビッと。

 ここの姐さん(若いけど)のあしらいがなんとも粋で、笑顔に吸い寄せられた。

 会社の近所やったら、間違いなく通いますわ。

 この後もまた、東小金井でワイン三昧やったんやけど。

 タクシー反則乗りをしたせいか、武蔵小金井でなく、東小金井へ降ろされる。

 やられたわ。

 夕刻から同人の姫と、音楽業界の経営者になった私の従兄弟も加わって、ここで句会を。

【小金井は武蔵と東で大違い】樹音  天賞
  
 全員の気持ちを、この素直な一句が代弁してくれた。

 従兄弟が天賞でがす。 

 懐かしの地、小金井は天変地異のごとく変化していた。



 ゆったり、まったりと回るオトナの遠足は、私の酸素であり、水である。

 久しぶりに味わう中央線の長旅、あの頃はよう通ったな~。

  

 望郷とノスタルジーの漂う駅とバス停。

 金のない学生は歩いて通ったとです。

 秋の全そ吟行。心許せる仲間との時間はかけがえのない宝物だね。
  
 明日からまたがんばろっと


浅草川に浮かぶ。

2014年04月06日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★


         墨堤の桜


「それぞれに春来にけらし隅田川」博乱 天賞


 花の命は短い。

 厳しく長い冬が過ぎ去り、ようやくお江戸に春が到来した

 各所で満開になった染井吉野。

 大川端の両岸に、風雨に耐えた健気な薄紅色が映える。

 春麗らかな土曜日、全その仲間たちが集った。

 私は6時に起きて、地元の名所築山に座席をキープ。

 この早駆けがのちの被害をよぶことになろうとは………。



 爽快な春の陽の下、花たちが華やぐ。

 めいめい両国の乗り場に集合。


「まどろみと現実を生きて春の川」草露 地賞





 9時50分定刻に出船。

 迎え酒の先輩たちは、早速北海のあたりめで恵比寿をすする。

 飲んでいるのはわしらだけ。


「河の香に匂ふ思い出首都高の」千姫


 



「対岸の小町に見とれ酒こぼし」哲露


 墨堤、深川、石川島、佃島、日本橋、新富町、築地と岸際の桜並木が美しい。

 ときおり、花を撮り、眺め、談笑しながら、河口へ向かう。

 台場に古めかしい灯台がみえる。

 幕末のお城の面々の困惑を思った。



 築地市場をこの角度からみられるのは、舟上ならではの特権。



 かつて両側にそそり立って開いた勝鬨橋の堅牢な橋脚が頼もしい。



 どこかの国の運河に迷い込んだよう。

 浜離宮で吟行したときの話に咲いた。

 この庭園もいまが絶好であろう。



 隅田川を封建の人々はかつて大川と呼んだ。

 古くは宮戸川、吾妻橋のこの辺りは浅草川とも言われて、名産だった海苔にその名を残す。

 東武の鉄橋を越えたところで上陸。

 いざ、花見会の場へ向かう。

 


「ソ連でも領地取られる花見かな」鶴輪 人


 朝7時の時点で仲間に送った証拠写真。

 不思議なことに、別のシートが張られ、知らない若者が音楽を聴いている。

 新品のシートに書いた全そ連の文字も憫れ、場所は無惨にもなくなっていた。

 晴れの日に、争うことも空しい。


 


「花を見て歳を重ねつと想う宴」酔徹




 いろいろな難局を乗り越えた大人は品やかで柔軟だ。

 いっときの仮住まいの後、小雨がパラついて撤収した場所を陣地として再確保。

 越後の酒が我々の結束を守ってくれた。

 ここで登山サークルの女神が合流。

 小洒落た彼女手製のつまみに、ワインが進む。




「花見客行き交う人も酔い仲間」栃乙女

 
 花見客を取材するもの、縁結びの神社に参拝するもの、露天の食べ物を買いに走るもの、各々吟行という名の花見を楽しんでいる。

 早起きの先輩たちは、ぽかぽかの日だまりの下、昼寝に興じた。

 まことの極楽とはこのことかいな。

 墨堤を歩き、やれひょうたん池や、牛島神社やと屋台を冷やかしつつ、本所へ向かう。

 いつもの定店で、五七五のお遊びを愉しむ。これぞ大人の連。





 朝から飲み食いがつづくせいか、軽いつまみで俳句をひねる。

 組を三々五々にしてのチーム戦。

 直木賞の選考委員よろしく、選者の講評が間近に聞けるのがことさら可笑しい。



 そうそう、このとき花見会に賞品を忘れる失態が発覚した。

 ショックに立ち直れない私。

 解散後、花見の会場に戻ったら奇跡が起きた。

 なんとそのままの形で、賞品を入れた袋が残っているではないか。

 神がいた。




「墨堤や風の名残の桜かな」優女


 心許せる仲間との花見会。

 新しいメンバーも、違和感なくとけ込んでいる。

 花びらの舞が無常観たっぷりに、浮世の寒風を和ませてくれた。

 これがあるからやめられない。



 仲間がいる。このことに感謝した一日だった。

 来春は兄貴たちのお膝元に決定。

 皆さん、ホントお疲れさんでした

 


柴又吟行(参道~本所吾妻橋)

2013年12月07日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

  

         矢切りの渡し


「あぜを行くわだちでよれて秋の道」 海光 (人)


 前篇のつづき

 畦道を東へ、ふたたび渡しに乗ってエッチラオッチラ。

 長閑な昼下がりでござる。



 

 句会の賞品を、この日は現地でご調達。

 お腹の空いた面々は気持ちのままに、高級漬物やらお煎餅やら買い込んだ。

 おばちゃんとの掛け合い。

 散々試食を摘んで、みんなでやいのやいのと、参道店を冷やかすのもまた楽しい。
 





 目当ての蕎麦屋、やぶ忠にご到着。

 目抜き通りにありながら、良心的に旨いそばを食わしてくれる。

 前回に来た時に食べたうどんも本格的な手打ちの本物なのだ。 

 冷えたエビスが嬉しい。

 大人の遠足に、かんぱい! 
 

  
       寅さんのポスター





 囲炉裏端のテーブルに座れた。

 ぐるりと顔を揃えて、自家製の刺身コンニャクをつるり。氷にのった薄切りが絶妙の喉越し。

 野趣たっぷりの葱が効いたソバ味噌に燗酒がすすむ。

 柴又揚げはぷりぷりと歯ごたえがたまらない。

 酒飲みの頬が緩むツマミが庶民価格なのが嬉しいね。
 


 天麩羅も素材を活かした職人技が光る。

 塩でもよし、醤油でもよし。

 新鮮な油で揚げた証拠なり。


 

「河越えてのどの渇きに蕎麦湯かな」 草露

 

 そして、お待ちかねの手打ちである。

 香り豊かな新蕎麦を味わえる贅沢は晩秋ならでは。

 恵みの季節はやはりありがたい。

 

 じつは初回の俳句が酷いもので、二度目に詠んだ句を掲せたのだ。

 のどかな散策に、少人数の気楽さ、油断したメンバーみんなが絶句した。

 初回を知りたい方は個人的に連絡を。

 

 本所に移って、二次会はいつもの稲垣へ。

 モツと稲グラタンに舌鼓を打ち、芋焼酎が空いてゆく。

 クリスマス色に灯ったスカイツリーを背景に、記念のショット!

 小春日のなか、気持ちのいい休日になった。

 師走に入り、今日は大寒。

 永田町はとんでもないことになったが、 今こそ本物の民主主義への脱皮のとき。

 今月17~19日は、浅草寺で羽子板が開催される。

 せいぜい風刺の板を楽しんで明日に備えよう。

 全その皆さん、お疲れさんでした


柴又吟行(矢切の渡し~野菊の墓編)

2013年11月29日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

   
           車寅次郎こと渥美清の像


 「河川敷寅に金八スカイツリ」 鶴輪


 久しぶりの吟行である

 秋晴れというより、小春日和といった感の土曜日は凛とした空気に包まれている。

 お馴染み、寅さん像で待ち合わせ。

 ここでも人気の寅さんは、ご年配方からカメラ責めにあっている。

 雨にも風にも負けず、男はつらいよ、なのだ。

 
 

 駅前の出店を冷やかし、帝釈橋を越える。

 緩やかな陽射しのなか、風情たっぷりの参道を行く。

 なんともはや、いい休日だ。
 

  
 

 こちらが「男はつらいよ」の舞台になった団子高木屋さん。

 よもぎの利いた苦味が餡と合うのだね。

 この場で食うのもいいし、お土産にもぴったりだ。


  

 蕎麦屋まで待ちきれないと、作家は揚げ餅を頬張る。

 甘塩っぱくモチモチとした食感が癖になるとか。

 お腹が溜まっては、ビールの味が落ちると、私と呑み助の先輩らは我慢。

 でも、軒に連なる買い食いは日本人のDNAでもあって、ちょっぴり羨ましい。


  
         帝釈天 

 和尚姿の笠智衆さんがふらりと現れそうな趣だ。

 重厚な木造の門をくぐって、帝釈天に参る。

手水場にいらっしゃるのが、これも有名なお蛇さま。

これぞ、金運。

ああ、ありがたや、ありがたや。



 想像もつかないような年月を経たお松さまがお出迎えなり。

 手を合わせ、名所の庭と彫り物を見学し、お寺を抜ける。

 土手の先に見ゆるそこは、豊富な水を湛える江戸川。

 
 
              矢切の渡し 

 

 「名作の出来る所以や墨田川」 酔徹 (天)


 完全武装がアホらしくなるほどの陽気に、顔もホクホク。

ギィーコ!ギィーコ!

和舟を漕ぐ音が広々とした波間にひびく。

 花見に似合う陽光が眩しい。風もなく、ゆるりとした波にいい按配だ。 

鬼平もこんな気分で大川を渡ったのだろうか。

 

 この日の吟行のお目当ての一つは、野菊の墓。

 そう、1906年1月、雑誌「ホトトギス」に発表された伊藤左千夫の小説である。

 劇場版は、山口百恵さんと、松田聖子さん主演のものが記憶に浮かぶ。

 私が生まれるより以前にも「野菊の如き君なりき」というタイトルで二本撮られている。

 年代により、映像のイメージが違うと思う。

 皆さんの目には、どんなモノクロームが浮かぶのだろうか。
 

 
               野菊のこみち

 
                矢切ネギ畑 

矢切り葱というネギを筆頭に、キャベツやらワケギなど広大な畑が広がっている。

そんな農道が、野菊のこみちと名付けられていた。

土の柔らかさと、長閑な風に吹かれていると、ここが都会にほど近いというのを忘れてしまう。

少々遠回りしたが、これぞ大人の遠足。

童心に戻って、凸凹道をえっちらおっちら、野菊の丘を目指す。

なんてことない日常に愛おしさを胸に刻む行軍となった。

ああ、野菊や~、矢切ネギや~、お民さ~ん♪

しょうもない端唄の一つも出ようというもの。

耕作のご苦労を肌で感じ、日頃口にできるありがたさを吸い込んだ。
 




                        野菊の墓の文学碑

 丘の上には、小さな掘っ立てと碑がある。

 伊藤左千夫の生家や墓の写真も展示してあった。

 本作を書きながら、小説家自らが泣いたという。

 それが名作といわれる所以であろうか。


 
                   野菊 

坂道で、優女さんが偶然みつけた野菊。

文学の神様が心と目に宿ったかな。
 

  

帰路は舗装路で。

土手の見事な枝垂れ柳に、吉原の見返りを想う。

いつかこんな風情を戻せたらいい。





 「柴又や来てみたけれど吾亦紅」 優女 (地)

 
 江戸川のたゆたう流れに任せ、われ何想う。

 前編は、優女さんの逸句で〆よう。

 蕎麦処、やぶ忠の句会、後編につづく

 
 
 

春嵐の句会!

2013年04月07日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

   
                       カンザン

  〈 独り寝の心乱れて春嵐 〉 草露 (天賞)


  
                姥が池公園 

 4月6日、愉しみにしていた花見の句会の日が来た

 ピンポイントで到来する春の嵐。日頃の行いか、恐ろしいほどのタイミングである。

 二天門ちかい、姥が池のカンザン桜は満開である。

  〈桜散り花びら集う隅田川〉 恋狼 (地賞)


  

 旅人を殺して生計を立てている老婆、見かねた娘が旅人の身代わりとなって死ぬ。それを知った老婆が悲しんで身を投げたので、この名前がついたと云われる。

 前日から幹事長として、一人悶々と悩んだ末の決行でござる。

 数ヶ月前からの招集、そして諸々の予約や準備。そんな心配が杞憂と思えるほど、お昼前の浅草は穏やかそのもの。

 安心してもらおうと、桜花をみんなにメールして、水上バスのチケットを求めに走った。

  〈今宵散る桜花の姿刻み込む〉 鶴輪 (人賞)


    

 リニューアルした東武松屋ビルの屋上から神輿とセットでスカイツリーが撮影できる。

 今や全そに欠かせない頼りになる男前だ。

  〈散る花を水面に残す風の跡〉 酔徹 

  
            隅田公園の一葉さくら

 来週、花魁道中が行われる一葉通りの桜はすでに葉が出始めた。隅田公園の一葉さくらはいまが見頃である。

  〈その先の笑顔届けて花散らし〉 心筋

     
             山の宿の渡し跡

 2013年は二天門乗り場、この川岸から出船だ。

 ここは、言問橋が渡されるまで、かつて渡し舟が地元浅草の民と向島の村人の日常の足であった。

 花まつりの会場、竹屋の渡しと千住に向けて、いくつも舟付き場が存在した。

   
  
           東京水辺ライン〈あじさい〉

  〈花と舞う春の嵐やすみだ川〉 博乱

  
〈花嵐波立つ酒に酔いしれて〉


  

 全その面々も順々に乗船する。

 寝坊したと連絡のあった会長。新雑誌の入稿作業でどうやら徹夜明け。間に合ってよかった。

  〈暑シ寒シと人も桜も右往左往〉 倉女

  

  〈嵐来て春の鴨女も酔いしれる〉 海光


  
      
 向かい合わせの船内で、大人しく!?静かに、宴会を始める。

 クラシックラガー、特別純米酒、スペインワイン、スパークリング日本酒、芋焼酎桜島とどんどん胃の腑に収まっていく。

 やはり通常時より、波間が大きい。その揺れに負けじと、酒に酔う。

  〈花びらを鋭く射抜く春嵐〉


   
         北海道の酒〈國稀〉

 前号でお伝えした、優女さんの差し入れ、特別純米〈國稀〉を2本開ける。

 上品過ぎない武骨で微かな琥珀が、本物であることを証明している。

 雑味は一切ない。

 口に含むと、北の壮大なる田を渡る爽快が広がる。

 あっという間に、空になっちまった。

 優女さんの親身な気っ風に感謝!!

  〈小夜嵐白き白壁春は老い〉 優女


  
                 永代橋

 江戸湾へ近づくと、悠々たる大川の流れが心地よい。

 封建にはない、レインボーブリッジを頭の上に見上げ、こんな角度で見ることはないよなと頷き合う。

 顔をふれば、すっかり主役の座を奪われた感の東京タワーがデンと、格好いい!


       
 数年ぶりに会う旭嬢は、俳句の先生に付いて臨んだ。親友丹丹さんのキャラが明るい話題になっていた。

 

 舟を降りて、仲見世を冷やかした。

 暴風雨に備え、大提灯が畳まれている。珍しい写真は、三社祭の時以来かな。


              五重塔前

  
       三社祭の本社神輿三基そろい踏み

 来月は三社祭だ。この三基を中心に、町内の大人神輿、子供神輿が町中を練り歩く。

 本社のお神輿は、当日サラシを巻いての喧嘩神輿仕様となる。絢爛な装飾が見られたメンバーたちは幸運だった、と思う。

  
              助六と美女たち

 勧進帳さながらポーズを決める全その美女たち。どこにいても、スカイツリーが映える。

 小雨のなか、舟酔い!?醒まし。銀座線の怪しい地下街は昭和の匂いが立ち込める。
 
 さ、いよいよ吾妻橋を渡って本所に入る。

  
           本所〈稲垣〉

 ぞろぞろと、押上のツリーを見上げ、地元もつ焼きの雄〈稲垣〉の暖簾をくぐった。

 ここはアニマル浜口さんが若い頃から通う。楽太郎師匠もよく訪れる店だ。

 博乱兄も到着し、いよいよ句会へと突入す。

  
        離れの二階座敷

 舟で散々飲んだけど、歩いた後のビールがノドに応えるな。

 稲垣自慢の怒涛のコースの始まりだ。

  〈花惜しむ嵐の夜の句会かな〉 丹々

 
 
 
 

 突き出しはとろろにトビッコをあしらったさっぱりしたもの。

 刺身の盛り合せに、肉厚のもつ焼き、天ぷらの盛り合せとつづく。

 特注したのは、名物の稲バーグと稲グラタン。どちらも女子が好む味。

 濃厚なもつ煮は一人ひとつずつのボリューム満点。箸でつまめるほどのトロ味が魅力だ。


 「はい、では、18時半に投句締切ります」 と声をかけると、

 「…………」

 男前も姐さんも、皆の衆、とんと黙り込む。

 寝ているのか、詠んでいるのか、途方に暮れているのか…。

 冒頭から紹介した俳句は、こうして真面目な呑んべたちから生まれるのだ。

  〈乱々と読んだ俳句は嵐々と〉 弾前

 

 貼り出した俳句は、割り箸で挟んだ。

 なければないで、知恵が出るものでござる。


  

 天賞の会長、さすがでござる。狙って取れる男ナリ。

 賞品は、遠赤外線効果のあるスモークができる土鍋。ししゃもも、ウインナーも、チーズも5分で褐色のいいツマミに。独り寝のお供にどうぞ。

  

 地賞は恋狼。神谷バーのグラスと電気ブランをセットで。

 ブランはギンギンに冷やして飲んでくださいまし。 

  

 人賞は、浅草薬研堀の春の限定セット。

 名物の七味はもちろん、お茶漬けや佃煮がいろいろと愉しめる。

 春の嵐をものともしない、全そのみんなの情熱があってこそ。

 発表が済んだあとは、気楽なもの。

 こちらも名物餃子鍋に、〆のラーメンを入れて、一同すする。

 皆の衆、ご参加ありがとう。

 優女さん、倉女さんもメールでの投句に感謝。

 最後は、全そのエンジェル、天女さんの希望の句で締める。

 
 〈春荒れて明日を思う希望花〉 天女


 こうなれば、秋の北海道遠征句会、なんとも実現したいものである。

 ではひとまず、ご機嫌よう 
   


黒湯温泉、新春句会。

2013年02月17日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

 

  

 歳をとると暇になると思っていた

 どうやらそれは妄想だったらしい。

 15歳は→時速15km、45歳は→時速45km、70歳になると、なんと時速70kmという体感スピードになるという説がある。

 人生とはそういうものらしい。

 風説はともかく、ITや通信の発達で至極便利になったのと引き換えに、 平成の世は妙に時間に急き立てられるようになってはいないか。

 現代人に必要な贅沢とは、時計を外すゆとりではないのか。豪華寝台特急が売り出した瞬時に売れ切れになるのは、まさにその渇望を埋める典型とも云える。

 そこで、そんな気分を楽しもうと、都心から出やすい〈綱島温泉〉へ向かう。

 黒湯の湧く源泉は、とろりとして丸みのある体に優しいお湯である。

 ご覧の中庭が、どこの休憩場からも観賞できるようになっている。

 これぞ、昭和のリズムなのだ。


    「綱島の 春空を往く 雲一筋」 鶴輪


  
             街道沿いの綱島温泉


   「如月に 巡る寒暖 春遅々と」 酔徹 (天賞)


 一見、流行りのスーパー銭湯のような外観だ。

 だが、中身は三橋美智也も唄い通ったという、昭和モダン建築そのもの。

 かつての三業地の名残か、周辺に淫靡なホテルもちらほらある。

 れっきとした宿泊施設の宿は、数年前に廃業したという。花街の衰退で現代は豊かになったのだろうか。

 この温泉、持ち込みOKなので、駅前の東急ストアでしこたま買い込んだ。

 大量の酒とツマミを両手に持って、旧式の自動ドアーをくぐる。

 圧巻の下駄箱が待っていた。

 入口で900円の入場料を払う。2時間以内で帰る方には、半金ほどの返金がある。

    
                銭湯の下駄箱

 建物の規模と同等の下駄箱の陳列がうれしい。

 巨大な施設は、これだけの数の人が入っても、まことに広々としたものだ。


   「寒なごり 湯けむりに舞う 春の雪」 天女 


    
          コカ・コーラの瓶の自販機

 懐かしいガムや、コーラの自販機。もちろん、牛乳や瓶のジュースが完璧だ。

 鰈の煮付けから、豚足、みそラーメンまでリーズナブルな品々が並ぶ。

 買い出しもすることないくらいの充実に目を瞠る。


  「水仙の 四五本咲きし つなしまや」 優女 (人賞)


   
              2階大広間の一つ

 温泉場や調理場がある1階から2階にかけて、無数の広間とテーブルがある。

 1階の広間では、ステージで懐メロを披露するお歴々の目が輝き、厚く皺の刻まれた手から乾いて重厚な手拍子が鳴る。

 いまや会の要、T女史が北海の幸と酒精を差し入れてくれた。

 恵比寿ビールで新年を祝った後、冷えた金沢の銘酒〈常きげん〉で乾杯。

 ニシンの粕漬けやら、山海の珍味が鄙びた風情にぴったりと合う。

 常連らしき、和服の踊りも見られて、言うことない。


  「運命(さだめ)だと 踊る女や 春浅し」 草露 (地賞)


 〈常きげん〉で上機嫌になって!?、つい俳句も忘れてしまうほど。

   
      ホースラディッシュと山廃純米

 皆さん、真面目に詠みましょう、と天女さんから一言。ごもっともでありんす。

 そこで、めいめい思索に耽る。

 黒湯に浸かったのは、会長とおいらのみ。鉱泉の効果か、体の芯からポッカポカ。すこぶるいい気分でござる。

 館内の合図とともに、温泉場を後にする。

 幹部たちだけで、買い出し前に綱島古墳を散策しがてら下見した、やきとん屋へ直行。

   
          やきとん〈川柳〉

 小体な造りは、ちょっとした料亭の趣。

 三業地が急行も止まる新興住宅となって小洒落てお高い店の多い中、庶民的な料理を財布に優しく味わえる店である。

   
          一尾丸ごと唐揚げ

 初めて訪れた、綱島温泉。

 いまや失われつつある、昭和にどっぷり浸かれる空間は貴重だと云える。

 川柳では、各々が詠んだ一句一句を、合評した。

 下の句をちょっと改編するだけで、想像の世界が広がった。

 詠みっぱなしでない、文学への探求が、最上級のツマミなのだ。

 気取らない愉快な仲間たちと、セピア色に飲めた。

 このとっておき、行かない手はござんせんて


  「街道の 春風感ず 黒湯かな」 海光

 
 
 〈次回予告〉

 4月6日(土) 大川の水辺ライン&築山の花見句会が決定

 ご参加希望の会の皆さん、奮ってご参戦くださいまし。
  


  


庭園のあるお蕎麦屋さん!

2012年10月03日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

  
               水神苑の二階からの眺め


       「武蔵野のゆく夏淋し深大寺」 酔徹 (地)


 〈深大寺のつづき〉

      

 吟行には参加できなかったものの、深大寺となるやその日のうちにロケハンしてくれた博乱兄が合流。すでに潤っている我々に追いつくために、まずは生をド~~~ンと!!!

          

 前号の景観とは打って変わって、何やら格式のある句会場所ではござらんか。

 和服美人が丁寧に構ってくれる。

 窓越しに見える庭園を見やれば、白鷺が舞い降りて一同たまげた。俳句の神、ご光臨ってことでしょうか。

  

 全そ句会史上初の、豪華な突き出し。

 なんだか凄すぎねえかい。兄貴、お会計は大丈夫??

   
  

     「驟雨来て涼風立つや深大寺」 博乱 (人)

  
  

 店名の水神の名を冠した冷酒は、べたつかず、辛口の大人たちの舌を洗ってくれる。

 情け嶋なる焼酎に切り替えて、俳句を吟ずる。

 吟行ですっかり息の合ったワシらは、ことごとく似通った句に、思わず笑み。

 ヤッパリ水の寺町。湯葉の味が濃い。大豆の濃厚が冷酒をそそる。

   

 それでもこんなに真剣に詠んでいるのだ。

    天賞の会長  

 深大寺焼きを一緒に選んだのはオイラ。

 会長は欲しいものは必ず持っていく。さすがでござる。

    地賞の酔徹

 目玉オヤジと一反木綿のマグカップは有田焼き。

 うらやましい~。

    人賞の博乱

 こちらも深大寺焼きのお猪口。

 魚の絵がカワイイのだ。お似合いです。


      

 参加賞は、オイラが地元で手に入れたもの。

 天女さんには朝顔市の入谷鬼子母神で限定の半被形の手ぬぐい。

 江戸嬢と鶴輪には、鳥越祭りでしか打っていない手ぬぐい。千貫神輿の絵柄には、江戸っ子の粋が表現されている。

 オイラは、深大寺参道で見つけた、蛙と亀の縁起モノをいただいた。

   

 絞めは、天女さんの一句で。

        「深き水心潤う緑力」 天女


 送迎もしてくれる水神苑さんに甘えて、三鷹経由で吉祥寺へ。

   

 ピアノの弾き語りをしてくれるマスターは、村松友視氏「武蔵野倶楽部」の舞台そのもの。

        

 店をあとにすると、雨が上がっている。

 昼夜で交代した鈴虫の音に心安らぐ。

 寝る人、ハグする人。

 武蔵野台地の夜はどこまでも優しいのであった。



 
 いつものいい仲間たちに感謝。武蔵野の夜に感謝。

 はて、次回はどこにしよ。

 みなさん、おつかれさま