週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

ツクツクボウシと、夏の酒。

2014年08月24日 | ★江戸っ子エッセイ★




 夏真っ盛りでんな

 このところ、職場飲みが続いている。

 強制退去的に切られた派遣社員Hさんは、さらに別の派遣先で首切りにあったが、その発端となった正社員の仕事ぶりがわるく、再び声がかかった。しかも正社員で。これだから、世も捨てたもんじゃないのだ。

 その就職祝いを兼ねて、池袋のもつ焼き屋で飲む。

 久しぶりに見る彼女は、溌剌とした印象そのままの笑顔であった。こういう酒はうれしい。

 神様も、ヒトも見ているのだ。




 先週は新卒から勤務していた後輩Mが去り、その送別ということで大塚りらくで飲んだ。

 「卒業おめでとう」「いい会社だったらよろしくね」

 お決まりのはなむけの言葉がいつもながらの微妙ではあるが。

 もう彼のプリッとしたお尻が見られないのかと思うと、微かながら淋しい。



 まだまだ夏だというのに、こういうときに秋の風を感じる。

 思えば、私も過去転職したのはこの季節だった。 

 そして、週末はあの頃と同じ阿波踊りが町を練る。




 ラガーをしこたま飲んだ後、冷酒に、黒霧をロックで飲んだ。

 普段、話さない本音のトークはそれなりに面白かった。

 それにしても、よく飲んだ。



 二次会、いつもの中華でもロックで飲む。

 胡瓜の豆板醤和えに、糸豆腐を食っては飲む。

 もうすでに、話しの内容なんか誰も憶えちゃいない。

 終電前に帰ったが、案の定、翌日はやる気なし男。

 朝食、昼食を家族分こさえ、家中に叩きをかけて掃除した。

 たっぷり汗を流した後、淹れたてのコーヒーをアイスで飲む。

 それでもカラダ中が火照っているので、隅田プールにプカプカと浮かぶ。

 日本選手の活躍が眩しい世界水泳。

 かつての選手は300mで、エネルギーが切れた。

 波乗りのパドリング、己の筋力に自信をなくす夕べなり。



 魚や一丁という居酒屋がある。

 社会人一年目に、北海道へ教師として永住する覚悟で渡った友人が連れてってくれた懐かしの店だ。

 本場の石狩鍋を初めて食った。それももう二十年まえ。

 北海道のチェーン店なのに、新宿、銀座、気付いたらオフィスの町にも出来ていた。

 北の家族の居抜き、これもまた時代なり。





 イカソーメンに、コーンバターとベタな北海道を食う。

 糞暑い真夏に、職場の編集部はビルをまるごとの大移動。

 楽しいはずの宴が、愚痴100%の飲みになっちまった。

 せっかくの思い出の居酒屋も、これじゃあ悪酔いしますわ。

 発散も必要だが、最小限にして愉快な話題がよいよね。

 土曜は町に打楽器の音が溢れていた。

 例年より早い、浅草サンバカーニバルだ。

 町内会では、吉野公園で子供フェスティバル。

 泥鰌掴み、的当て、花火。

 子供たちの歓声。

 生ビールを手にする大人たちの顔をふわりと優しくする。

 夏休みもラストウィークである。

 よい子、やんちゃな子。

 素敵な夏の思い出を


 
【ツクツクと蒸れる緑や水かぶり】哲露
 

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三崎坂に眠る

2014年08月16日 | ★江戸っ子エッセイ★



 連日、中東の太陽と東南アジアの蒸し風呂を掛け合わせたような殺人的な猛暑が続く。

 一年中でこの季節が最も好きな私だが、さすがにこの時期の力仕事には参った。

 業者に頼らず、社員のみでのビル移動に、汗まみれの埃まみれ。ひとっ風呂浴びなきゃ、ビールすら飲む気も起きやしねえ。

 それも旧盆に入り、ようやくのひと休み。

 定時+1hの残業、珍しく明るいうちに自転車に飛び乗った。

 朝の通勤帯、山手線はガラガラだが、帰る夕刻は東京見物のヒトで案外の混みよう。 

 お盆の都内は至極快適で、チャリ通にはもってこい。家から会社まで三つの山越え。

 運動でかいた汗も、坂を下る風に吹き飛ばされる。心地よい。

 

 駒込から谷中へ抜ける団子坂を下ると不忍通りにぶつかる。そこを越えると、三崎坂だ。

 春先には谷中一帯に桜の花が咲き誇り、初夏には紫陽花が目に鮮やか。

 その坂の中程に、全生庵がある。

 幕末、明治の名人円朝が眠る。 



 通りかかると、ちょうど円朝まつり。怪談を得意とした師匠の幽霊画が八月いっぱい展示されているとか。

 禅、剣、書の達人、山岡鉄舟もここに永眠している。

 西郷隆盛と勝海舟の会談により、回避された江戸炎上。

 遠路敵陣に飛び込んだ鉄舟の行動力と交渉力、そして胆力なくしてはあり得なかった。

 西郷をして、金もいらぬ欲もいらぬ、命すら惜しくない誠に始末に負えない男、と言わしめたとか。

 まさにこの男が江戸を救ったのだと思っている。


【寺町に蝉降りしきる終戦日】哲露




 鉄舟の由縁か、座禅の禅寺として有名で、中曽根元首相から勧められた安倍首相も訪れる。

 青年実業家の友人と行こうと約束しているが、いまは、テレビでも話題になるほどで、予約が随分先まで取れないとも聴く。

 ブームが好きなわが同胞。落ち着いた頃にいったほうがよさそうだ。



 本日はこれから、この寺で寄席も催される。

 夏の雨が煙ってきた。

 世界から絶えない争いの根に、達人も涙しているのかもしれない。

 昨日、水戸藩邸のあった富坂を下ってお茶の水へ行くと、街宣車と大勢の機動隊が町を封鎖していた。

 物々しい有様を見て、どこにいても、いつ如何なる時でも、心静かに平和を願うほうがよっぽど好ましいと思う。

 目指す方法は違えど、家族を失いたくない想いは万国万民共通の願いと信じたい。

 さて、ローストビーフが焼き上がった。肉汁を入れたソースも出来た。

 小説も料理のように着実に仕上がるといいのだが。

 コツコツとやるしかないのだな。 

 へいへい、凡凡なり

 偉大なる先達に、合掌


  

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新吉原二調鼓

2014年08月09日 | ★江戸っ子エッセイ★




【涼やかに太鼓の音色水を打ち】哲露


 山谷堀に、蝉しぐれが鳴りやまない

 いよいよ旧盆に入ろうかというのに、盛夏とはこのことか。

 新暦になっても、無理に旧暦の行事を当てはめるからおかしな感じがするのは私だけ?

 40℃近い暑さなのに立秋と呼ばれる暦のなか、今週仙台では七夕祭りが行われた。これぞ皮膚感覚で、織姫と彦星が一年に一度の愛を確かめる季節に合ったものはないではないか。ちなみに、浅草では先月のはじめに七夕祭りがあった。

 この地ではこの日から盆踊り大会やみちびき祭りが盛んだ。浴衣姿も花火大会からかなり見受けられる。年季の入った先輩の和服も素敵だが、この季節、若い人の浴衣姿もまたいい。

 浴衣にPORTERのバッグを斜め掛けするのはご愛嬌でござる。彼女の手前気張ったお兄ちゃんを、微笑ましく見守ってくりょ。

 

 レトロモダンな外装に戻った東武浅草地下街で先輩らと待ち合わせる。

 昭和の焼きそばと酎ハイの横で、素朴で有名なタイ料理屋が立て込んでいた。

 先輩らと仲見世を横ぎり、地元の角打ちへご案内。

 リーズナブルな値段で飲めるお店でまずは一杯。

  

 久しぶりの会津桐の下駄をカラコロと、炎暑の石畳を往く。

 ドアーを開ければ、そこは冷房のオアシス。

 扇子をパタパタと仰ぎながら、まずはローカル生ビールをぐびりッ!なのだ。

 喉が潤った頃、そろそろお時間。またしてもカラコロと浅草寺へ向かい、地元御用達のあんですマトバへ。あんぱん世代の先輩ら、嬉々とお土産を選んでいる。こういう衝動買いもまた浅草散策の愉しみである。

 観音裏を進み、アニマル浜口、京子親子の道場の前を通る。

 和のお稽古やJAZZなど様々な催しを開く【花の辻】はその並びだ。

 先輩らと記念撮影をパチリッ!



 中学の同級生であり、立教大学の教壇に立つ、安原さんがまずは挨拶を。

 和の伝導師、望月太左衛さんは打ち水のようなスキッとした声で会を取り仕切ってくださった。

 お次は新吉原伝統の二調鼓の芸を、唯一継承する二三松さんの登場だ。

 

 大小の太鼓をセットするのも、芸子のたしなみだったとか。

 みなこ姐さんと組んで、お座敷に出ていた二三松さん。半玉の頃はさぞ旦那衆に可愛がられたことだろうな。

 背筋がしゃんと、立ち姿が美しい。

 この後、私たち観客も二調鼓を打たせてもらったが、姿勢が悪いと良い音が出ないのだそうだ。

 私は幾度か音を確かめることができた。手首のスナップを効かせ、凛と鳴る音色には恍惚となる妙味がある。旦那、病みつきになりまっせ。

 当時はこの準備中におしゃべりしていることが、若い半玉さんたちの愉しみのひとつだったらしい。それをのんびりと眺める旦那衆にも余裕があったのだろう。

 休みなしに立ち働く昔のヒトは、些細なことを遊びにし、そんな僅かな息抜き時間が貴重だった。 

 最後は生ビールで懇親会。二三松こと、吉田さんのお話が聞けて実り多い会だ。

 

 柳通りへ戻り、さくまを通って、馬道へ出る。

 先輩たちを連れていきたかった縄のれんの丸太ごうしにお邪魔する。

 夕刻の早い時間だから、席は選び放題。

 

 富士のミネラル水で割った麦焼酎をたのむ。

 生鰹の刺身、夏の薬味がたっぷりと入ったぬたや糠漬けでさっぱりとご相伴。

 ここのメイン、おでんを頼むと、名物のご主人が女将さんと喧嘩している。

 お客本位のご主人の人の良さが透けて見えて嬉しかった。


 

 仕入れた氷も見事で、女将さんとご主人が交互にお代わりを入れてくれる。今日三度目の酒宴もホイホイ進むわい。

 積もる話しはあっちに飛び、こっちへ流れ、あっとうい間に日が暮れてしまった。

 五重塔に灯が点る頃、ほろ酔い気分で、浅草駅へ。

 神田結びから貝の口へ結び直した白帯もこなれ、着流し風に裾がめくれている。

 ああ、なんとも気持ちい宵の口だこと。

 先輩らを駅で見送った後、カラコロと紙洗橋へ帰る足取りも軽かった。

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 この猛暑に会社はまさかの引っ越し。腰を痛め、身体はぼろぼろなり。

 そんな残業帰り、谷中の三崎坂を登り、古巣の上野中学校から寛永寺の墓を横目にチャリでいく。

 月夜をぼんやりと眺め、坂を下ったケーキ屋で息子のバースデーケーキを購入。 

 もう14歳。

 子供の若さに、老いを感じるのも幾度か。

 焦っても、いいことなどない。

 できるときにやる。

 結局これしかないのだな。

 皆さんも、いい夏休みを

  

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隅田川の花火

2014年08月02日 | ★江戸っ子エッセイ★

 


 7月最後の土曜日

 夏の風物詩、隅田川の花火に興じたのだ。

 昨年は突然のゲリラ豪雨に、えっ! とまさかの中止にがっかりした。

 昭和53年の大川に復活してはじめての取りやめだった。

 私が産まれる前、昭和36年まで両国の川開きと封建時代と同じ呼び名だったようだ。

 その伝統の花火が空を焦がし、見上げる人々を魅了する。

 

 夏至が過ぎて陽は短くなっているものの、開始直後の暮れ六つ頃はまだ明るい。

 枝豆にビールを用意した。夕空を眺めていると、夏の空は徐々に背景が黒に包まれ、火花が浮き出すように映えていく。

 町に、た~まや、か~ぎや~と旧い花火師たちを称える声が響いている。

 
 


 テレビ東京で恒例の放送。地元に配られた花火コンテストの名前を調べていると面白い。こんなにゆったりと観賞したのはいつ以来だろう。

 ハート、ピカチュー、ピース様々な形の花火が夜空を飾る。きっとこれを見ている小さな子供たちの記憶に刻まれていくのだろうな。

 それにしても不思議。どうしてこんな形が造れるのだろう? 伝統を受け継いだ花火師の技に唸るばかり。

 往時は両国橋に溢れんばかりの人だかり、涼風を求めて屋根舟、屋形舟が大川を埋め尽くしたようだ。

 お江戸に夏が来た瞬間である。

 


「弾け飛ぶ七色の音に胸こがす」哲露

 
 はや、7月も終わり、8月に入る。

 今年まだ海に入っていない。

 取材に明け暮れた20代、釣りとカヤックに通った。波乗りにハマった30代。海からこんなに遠ざかってしまうとは思わなかった。

 子育ても佳境か、ピークか、まだ先があるのか。

 粋を気取って真白い帯を新調した。

 今日は、これから浴衣を身につけ、奥観音の花の辻へ、中学時代の友人が主催する二調鼓を聴きにいく。

 新吉原唯一の継承者が奏でてくれる。

 留守にするので、家族分のおにぎりも握った。

 会津桐の下駄を鳴らして、いざ出陣なり。

 さて、今日はどんな酒を飲もう

 
  

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