嵐山つづき。
祝って飲んで走った翌日の朝。
旅館の朝飯を食らう。
これぞ正しい日本の朝ごはん。
鮭の干物、納豆、漬物、梅干し、がんもどき、温泉卵、白いご飯とお味噌汁。
もはやいうことはない。
しばし二人には広すぎる部屋で寛いでから、また渡月橋へ。
レトロチックな車両に乗って、嵐山を発つ。
バイバイ、嵯峨野よ。
また逢う日まで。
さらにローカル線叡山電鉄へ乗り込む。
かねてから行ってみたかった貴船の納涼床。
電車内では、岩手とコラボした写真コンテストが行われていた。
南部鉄を使った風鈴は我が家にもある。
見た目涼やかな江戸風鈴もいいが、澄んだ音色は南部鉄器にはかなわない。
盆地の夏に涼感をもたらしてくれた。
貴船口の駅を降りて歩く。
男の旅は、なんといっても歩きなのだ。
川の瀬音をBGMに、ホタルの岩を通過する。
見えてきた、きた。
あれが夢にまでみた納涼床か。
いくつかお店があるので、下から吟味していく。
テレビで見た神社を参拝。
やはり映像で見た清水につけて占う光景を目の当たりにする。
俺たちはやらなかったけどね。
道を歩くと思わぬ発見がある。
巨大な大木に女性が。。。
ついに来ました、納涼の床体験。
まだまだ歩いて登ると汗を掻く九月初旬の気候。
床に座ると、それだけで感じる温度が違う。
【床の下流るる水に今昔】哲露
納涼といったらビールでしょ。
昨日も散々飲んだのに<これだから酔っ払いは嫌ね。
なはは。
定番の鮎の塩焼き、葉唐辛子の漬物、胡麻豆腐、具の入ったソーメン。
これで十分。
これだけでビールを何杯も飲んでしまう。
ああ、この世の極楽たぁこのことよ。
川の流れが足元を落ちていく。
まさに自然のクーラー。
思えば、利江子姐さんのお祝いがあっての極楽浄土。
都会のストレスあれこれ。
光化学スモッグの大気。
せせこましくみみっちい飼われた犬の性根。
すべてを洗い流してくれた、そんなひと夏の休暇でござった。
可愛い子には旅をさせろ、とはよく言ったもの。
幾つになっても、旅はいい。
京都よ、また来るぜ。
おいでやすぅ、と聞こえてくるわ。
皆さま、ご愛読感謝!
嵐山の宿を早朝から飛び出す。
前夜の酒もなんのその、離れて暮らす友との朝RUNもこの旅の楽しみで来た。
涼しい山の朝とはいえ、まだ夏の名残で気温は高い。
軽いストレッチ後、軽快に走り出した。
天龍寺を駆け抜け、桂川に出る。
山と川の霊気が生の喜びを与えてくれる。
鷺が潔く立ち、鮎釣り師がぽつぽつと長い竿を操っていた。
名所の渡月橋は遠景から眺めるのがよろしいようで。
渡って戻って、嵯峨野の竹を目指す。
台風の影響で雲が怪しいけど、天上の蒼さが清々しい。
この辺り、ランナーやバイクリストも多い。
自転車で回っても気持ちいいだろうな。
船着場の先に、静止画のような川面が輝いている。
天と水に森の緑が鮮やかだ。
風の少ない朝の特権だろう。
猿ってこんなに凶暴なのか。
人が他の生き物たちの行き場を奪って、何を言っているという本末転倒だ。
人間様の行いの業は深い。
【青竹のすっくと伸びる秋の涼】哲露
憧れだった、嵯峨野の竹林。
まさに自然界のナチュラルマイナスイオンのシャワーを浴びる。
汚れきった都会の排気ガスやらストレスやらが溶けて落ちていく。
涼しい冷気が笹を揺らす。
駆け抜ける足音だけがざっくざくと木霊する。
洛西随一という、野宮神社のじゅうたん苔。
京都駅の喧騒から近いところで、こんなものに遭遇できるのが古都の魅力の一つだろう。
鳥居は黒木で、樹皮がついたまま建っている。
これぞ原始の慣いそのものだ。
嵯峨野の宮恐るべし。
宿に帰って風呂を浴びる。
朝飯で、名編集者のご夫婦と挨拶を交わした。
市内を散策するという。
熱中症にお気をつけを。
あっし達は、貴船神社の納涼床に向かう。
次号も乞うご期待。
利江子姐さんのお祝い会の後、嵯峨野へ向かう。
嵐山駅を降りて踏切を渡る。
懐かしい景色に心が和む。
どうにか尼崎の友と合流し宿へ。
虹が出迎えてくれた。
【七色の人生駆けて嵐山】哲露
あった、あった。
出版健保の京都の奥座敷。
前回はクリスマスに来たから、この季節の雰囲気は初めてのこと。
柔らかい夕日が旅の疲れを癒してくれる。
秋に入ったせいだろう、広い部屋に通された。
男二人には贅沢なほど。
湯に浸かり浴衣に着替える。
昼酒を控えていたので、温泉後のビールの旨いこと。
友との泊まりがけは20代以来か。
せっかくなので、近所を散歩する。
嵐山駅がライトアップされていた。
くまモン列車に、京友禅の光林が映える。
駅はキモノフォレストという粋な装い。
不思議な球体を囲む光の柱が遠目に幻想的だ。
大学のイベント、ナイトハイク。
夜通し歩いた友は今やRUN友。
何でもあっしがフルマラソンを走ったことが刺激になったとか。
元陸上部だから、とっとと抜かれてしまう。
この歳になってのRUNは記録ではない。
それぞれのペースで走ろうとする気持ちが大切なんだ。
明日の朝も走るつもりだ。
渡月橋の灯りに吸い寄せられるように人が集まっている。
久方ぶりの泊まりがけに酒と話しは尽きない。
理系の彼、文系の俺。
あの頃のように彼と旅に出たら愉快だろうな。
そんな日が来ることを願って飲んだ。
学生時代の友ってのはありがたいね。
嵐山の夜に乾杯!