週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

食と浮世絵のデジタルアートを体験

2017年01月29日 | ★江戸っ子エッセイ★




【蔦重の思いが動く絵の世界】哲露


 「食神さまの不思議なレストラン展」と「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」が本日からスタートした。

 これは日本橋兜町・萱場町を文化で活性化させるプロジェクトの一環。

 古いオフィスビル一棟を、カナダの「モーメントファクトリー」が世界最高峰のデジタルアートで魅せる。

 私の会社もこのプロジェクトに参加しているため、前日の内覧会で体験してきた。






 すべて映像であるため、静止画で伝えるのはむずかしい。

 日本にはない基板が無数に置かれ吊るされ、体験したことのない映像が映し出される。

 体温に呼応して変化する光の粒が新鮮だ。

 巨大なごはん茶碗には200kgの米が入り、手を差し込むことができる。

 幼い頃米櫃に手を突っ込んで叱られたことが、ここでは単純に楽しめる。

 米を触ると、癒しの音の中、水田が優雅に波打つ。 

 実に不思議で、神秘的な体験だ。





 様々な食のデジタルアートの後は、出汁香るレストランが待っている。

 中東氏(野草一味庵「美山荘」)、村田氏(京料理・懐石料理「菊乃井」)、ジョエル・ロブション氏。

 錚々たる料理人が監修した和食が味わえるのだ。







 
 ふんわりとカニ餡をのせた稲庭うどん。

 具沢山のいなり寿司、山椒を効かせた玉子焼きをつまみに、辛口の酒をいただく。

 絶妙だったのが、甘酒。

 爽やかな米麹を、紫蘇、いちご、グレープフルーツの三種の味で楽しめる。

 これは旨い!

 こんな甘酒なら、往時を偲ばずとも現代の夏バテにちょうどいい。






 お披露目では、片岡愛之助氏と乃木坂46松村氏、若月氏が、デジタルアートの声として登壇。

 イベントに華を添える。

 食神さまに続いて、江戸の秘密展へ。





 新吉原の大門を潜ると、花魁道中に遭遇する。

 格子をぐるりと回る。

 360度、当時のスターである花魁が闊歩していく。





 魚河岸のある日本橋には、参勤交代の大名行列がこちらへ続いてくる。

 橋のたもとには、首が晒され、下の犬たちに、男女の心中を見てとれる。

 浮世絵に隠された符丁を読み解くのも一興だ。








 歌舞伎の天井桟敷、役者のブロマイド、版画の再現。

 浮世絵をスーパーデジタルで表現している。

 老若男女、国籍を超えて、誰もが一瞬で理解できる内容だ。

 江戸湾が広がる大海原では、広重やら北斎の世界が潮騒とともに大胆に迫ってくる。

 巨大なLEDが贅沢に使われている。

 隠し絵も用意され、こりゃあ飽きないわ。

 音と相まって、いつまでも見ていたい欲求にかられる。





 地元、大川では梅が紅い香りを振りまいている。

 梅は〜咲い〜たか、桜はまだかいな。

 あっしの仕事であるグルメサイトが監修し、トップシェフによるスイーツの販売も用意している。

 茅場町にはOLさんも多いが、甘いもんのお店が少ない。

 ミシュランの星を持つシェフのオリジナルスイーツは2月20日から始める。

 通常の「見る」だけの展示会でなく、「触る」「聞く」「嗅ぐ」「食べる」といった五感で楽しむ新しいアート展だ。

 この不思議で貴重な体験は春を跨ぐこの時期だけ。

 https://tabegamisama.com

 みなさん、お江戸日本橋をぶらりと渡ってはいかが。


【連載】異国を旅して -韓国篇1(鷺梁津水産市場)-

2017年01月22日 | 【連載】異国を旅して

 

【忘却の異国を胸に秋の朝】哲露


 職場の移籍を機に、再びの国を目指す。

 海外は11年前、前職占い本のバブル真っ盛り、社員旅行で行ったラスベガスが最後。

 そして、前回韓国を旅したのは、15年ほど前だったか。

 明洞の早朝、旨そうな匂いに誘われて入った韓国語だけのローカルの店。

 オムニの笑顔、優しいコムタンの味を鮮明に憶えている。

 後のことは大概忘れてしまったから、五感の中でも味覚、嗅覚というのは侮れない機能なんだと思う。

 12年勤めた会社とおさらば。

 新たに10年パスポートを手に入れた。

 束の間、神様からの休暇。





 成田へ向かう途中、同行するはずの友人からキャンセルの報。

 予期せぬ、ひとり旅に、ちょっぴり心細さを憶える。

 ええい、ままよと、限定恵比寿で乾杯。

 しばし、グッバイ、わが祖国よ。

 いざ、イムジン河の国へ。






 玉突きの滑走路を飛び立つ。

 霞ヶ浦を一望し、気流の安定しない千切れ雲を抜ける。

 果たしてそこは、眩いばかりの雲海。

 雲上の愉悦、久しぶりの海外。

 乱気流に機体は上昇下降を繰り返す。

 気弱が徐々に消え、かつての無鉄砲、突進ぶりが蘇り、胸の高ぶりが始まる。

 エジプトから陸路でイスラエルに向かった、あの感覚。

 不安より期待。

 旅が始まったのだ。


 


 空港であらかじめ、DLした簡易韓国語、ソウルの地下鉄MAP、翻訳アプリを眺める。

 アラフィフのメモリーは、すぐに機能しない。

 通路側に寝ていた女性が化粧を始めた。

 脱いだ靴の上に、マリオの靴下が載っている。まさか阿部さんのファンではあるまいな。

 イミグレーション用紙に記入するのに、その女の子にペンを借りる。

 機内では、韓国語、日本語のアナウンスがある。

 感覚を取り戻せ。





 空港から市街への直通列車に乗る。

 15年前にはなかった未来がそこにある。

 ソウル駅で乗り換え、東大門へ向かう。

 仁川空港で借りたwifiは、快調!

 現地の友人にLineで到着の旨を伝える。

 全く便利になったもんだ。






 地下をかなり歩き、宿泊ホテルの出口へ。

 帰宅ラッシュに遭った。

 不意に韓国の日常に飛び込んだ感覚が微妙に嬉しい。 





 ホテルでシャワーを浴びて、街へ出る。

 交差する駅近で待ち合わせした友人が連れてきてくれたのは、鷺梁津水産市場。

 巨大な海のマーケットは、新旧入り混じり、どこまでも続く。

 ベテランとニューフェイスが隣り合わせの市場ビルを歩くと、築地の移転を連想してしまう。

 昭和のおっさんは、歴史を感じる旧市場に惹かれた。






 大きな水槽から海が溢れ、宇宙人のような生ダコのえぐい迫力に視覚を奪われる。

 いやー、食好き、料理好きはいつまで見ても飽きないね。

 大小の魚をアレソレと、売り場のおっちゃん、おばちゃんと会話を楽しむ。

 大ぶりの生牡蠣、生ダコ、アイナメを一尾買う。

 ここで買った海の幸を、切り分け、調理して、二階の食堂で味わえるのだ。







 二人では多すぎる牡蠣、山盛りの丸ごと一尾のアイナメの刺身、踊る生ダコ。

 醤油わさびもあるが、韓国流に、辛子味噌が通っぽい。

 Hiteビールで喉を潤し、ソウルでの再会に乾杯す。

 市場の喧騒以上に、食堂のサラリーマンたちの咆哮がすごい。

 呑んべえは、万国共通、新橋と変わらんね。






 この国で嬉しいのが、どこでも付け合せのキムチがサービスなことだ。

 そう考えると、日本の居酒屋でも、漬物サービスが欲しい。

 ノロなどなんのその、海のミルクたっぷりの生牡蠣にかぶりつく。

 舌に吸い付く生ダコの吸盤、捌きたての白身の新鮮に酔う。

 これに甘すぎない微炭酸のマッコリがよく合うのだ。 





 マッコリに飽きたころ、合成酒のチャミスルに。

 やはりあっしは、甘味の入らない酒が好ましい。

 けだし、郷に入れば郷に従え。

 へえ、心得ておりやす。





 さすが市場だけにアラも無駄にしない。

 ほっちゃる骨、頭を入れたアイナメ鍋で、脳が停止するほどお腹がいっぱいに。

 その辛いスープをメウンタンという。

 酔い覚ましに、夜の街をぶらつく。

 東京の治安の良さはよく言われるが、一見隠微に見えるこのあたりも平和そのものだ。







 結局、呑んべはダメね。

 夜灯りにつられ、今、韓国で人気という店へ。

 あんだけ飲み食いして、二次会は揚げたチキンで飲むという。

 韓国人のタフさに悲鳴をあげつつ、今度はCASSという銘柄のビールへ突入す。

 なるほど、見た目よりあっさりした胸肉のスパイスに、酒が進むのね。

 財布に優しい韓国の食材、訪韓初日にすっかりハマった。

 夜は更ける。





 ホテルに戻る道すがら、街のイルミネーションが美しい。

 眠らない街、ソウル。

 明日からどんな出会いが待っているだろう。

 ホテルのTVに、韓流スターのドラマやバラエティーが流れる。

 ハングルをBGMに、沢木耕太郎の深夜特急を読む。

 アンニョハセヨ、ソウル。

 再会に乾杯!

 韓国の旅はまだ続く。



2017年高校サッカー決勝戦

2017年01月15日 | ★江戸っ子エッセイ★




【成人になる前の汗芝を蹴る】哲露


 1月9日、埼玉スタジアム2002に向かった。

 第95回になる、高校サッカー選手権の決勝なのだ。

 昨年はKING KAZU、今年の顔は岡崎選手。

 気温はいつもより暖かい。





 浦和美園駅を降りて、楕円の競技場へ一直線に歩く。

 巨大な建物にありがちで、目の前にデンとあるのに、なかなかたどり着けない。

 ラスベガスに行った時も、あっちのホテル、こっちの劇場、そっちのカジノと遠かった。






 やはり広いし、天然芝の競技場は見るだけでも素敵だ。

 この日は、4万人以上の満員御礼。

 大学サッカーの決勝の閑散に比べて、人気のありようが伝わる。





 選手権の今年の歌は、家入レオが熱唱。

 心地よい声が、スタジアムに響き渡る。

 闘いの気分が盛り上がってきた。





 青森山田 vs 前橋育英。

 前半は、前橋優勢。

 パスも、ドリブルも上手いし、連携が取れて気持ちいい。

 ただ、決定力に欠けた。

 そうしてるうちに、青森が対策を立て直す。

 そして、1点、2点と入っていく。





 終わってみれば、青森の圧勝。

 大学選手権の日体大同様、大味な試合になってしまった。

 かつては、追いついての大逆転、もつれてPK戦が多かった。

 これはどうした傾向だろう。

 こういう結果だと、みている方はつまらない。

 圧倒的な格差。

 まるで今の社会を写したよう。

 会社は少しずつ慣れてきたが、何処も課題は山積みだ。

 とはいえ、刺激をいっぱいもらっているよ。

 高校生の汗、もっと感動をもらえるような試合が見たい。

 おっさんも、もう少し汗を流すことにしよう。
  

  


「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」と「ローグワン」

2017年01月08日 | ★映画★





【摩天楼夜明けにかける魔法かな】哲露


 元日は、恒例の映画の日。

 今年は、二本はしごした。

 一本目は、「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」。

 ハリーポッターの世界観の続編くらいに思っていたから、その面白さに驚いた。

 新作の舞台はニューヨーク。

 お馴染みのテーマ曲がかかる中、摩天楼をゆく一人の男。

 英国人であり魔法使いの、主人公の野暮ったさが胡散臭く好感が持てる。

 主人公は、「リリーのすべて」で気持ち悪いほどの女装役を好演していたエディレッド・メイン。

 魔法動物学の魔法使い、ニュート・スキャマンダーを演じている。

 目を合わせて話をしない、シャイとも斜に構えたとも言える演技もなかなかのものだ。

 ティナことポーペンチナ・ゴールドスタイン役のキャサリン・ウォルターソンがいい。

 とても35歳とは思えない、可愛さだ。 

 また、パン屋さんを目指すノーマジ(イギリス的にマグル、人間)コワルスキー(ダン・フォグラー)がいい味を出していた。 

 ティナの妹のクイニーと終盤交わすくだりには、ほろりとしてしまった。

 また、MACUSA(アメリカ合衆国魔法議会)の長官、グレイブスこと、コリン・ファレルの悪役とは面白い。 

 物語自体はわかりやすい設定ではあるが、期待以上に楽しめた。





 5分休憩し、「ローグワン」を観る。

 前作のキャスティングが秀逸だったので、この作品も楽しみにしていた。

 やたら戦闘シーンが多く、人が殺し殺される場面が続く。展開も早い。

 零戦は、大和人の特権という認識が多数だが、アルマゲドンやインディペンデンスデイにも見られた現象がここでも。

 スルスルとリーダー格になったジンアーソに、最後はついていくキャシアンアンドーのセリフが忘れられない。

 大義がなくなったら、これまで反乱軍のために犯してきた数々の汚れ仕事が報われない。

 ISに流れる若者の言葉を聞く薄ら寒い気持ちになった。

 収穫もあった。

 チアルート・イムウェ役のドニー・イェンがカッコいい。

 わしは、イップマン以来のファンだ。

 これはネタバレになるが、ラストの終わり方は、これまたディープインパクトと同じやんけ。

 期待しないで観た方が○ということか。

 予期せぬサプライズが、人生の花束としたら、フラッと立ち寄るのが通というもの。

 それは、映画鑑賞も、飲み屋も、ある種男女の出逢いも変わらぬセオリーかもしれないね。

 それにしても、レイア姫こと、キャリーフィッシャーが亡くなって悲しい。

 そしてお母さんがデビーレイノルズとは、新聞で初めて知った。

 時代は移っていくものとして、年を経る寂しさを最近身にしみている。

 次は単館ものがいいな。

 成人式あたりは、いつものごとく冷える。

 さて、雨雪が降る前に走ろっと。

 

 


2017年の幕開け。

2017年01月04日 | ★江戸っ子エッセイ★





【陽を浴びて澄みし大気に並ぶ顔】哲露


 A Happy New Year ☆ 2017

 1月1日6時に目覚め、体をアップする。

 聖水を飲んで、いつもの隅田川RUNを開始する。

 胸のすくほど蒼い空を見上げれば、踏み出す足も軽やかになる。

 吸い込む大気はさほど凍てついてもいず優しい。

 いいスタートだ。





 江戸を戦火から救った立役者の一方、勝海舟が未来を指す。
 
 勝が、坂本が、山岡が闊歩した街に住まう。

 彼らは往時何を語り、何を思っていたものか。

 はて、我々はどこへ向かう。

 おいらはただ前を向くばかり。





 駒形橋で上がりかけた陽が、吾妻橋辺りで輝きを増す。

 欄干には人々が立ち並ぶ。

 老若男女、みんな笑顔で溢れる。

 そしておもむろに、スカイツリーの背後から後光が下町を照らしていく。

 歓声が上がり、シャッター音が鳴り止まない。

 2017年が明けたのだ。






 川沿いも、雷門も、笑顔で溢れている。

 初詣に夜通し行列の絶えない仲見世だが、ここらはいちばん空いている時。

 これから三が日は故郷の街に、世界中から観光と参拝の人々が集うのだ。一年中だけどね。

 おいらは、喧騒のわずかな合間を縫って走り抜ける。

 何処も、スマホを構えているから、ファインダーから逃れるのも忘れない。





 寝る前に、家族揃って氏神様である、熱田神社で初詣を済ませている。

 早朝は、浅草寺、浅草神社、浅間神社を巡り、身を清め、思うところを祈る。

 穏やかな朝だが、参拝で動きを止めると、途端に汗が冷却されて震えだす。





 知らんかった。

 浅間神社に、浅草富士が建っていた。

 いつの間に、びっくりぽんや。

 頂上に登り、わが街を眺めた。

 ヤッホー!






 たっぷりの昆布出汁、鶏肉、三ツ葉のあっさりとした雑煮が我が家流。

 おいらが一年に一度、餅を食う珍しい日。

 おせちもいいけど、あったかい汁が体内をゆくと温まる。

 わしも子どもたち、悩めるオトナたちの心がほっこりする物語を描きたいものだ。

 だけど、焦りは禁物。

 じっくり自分のペースで、一歩ずつ歩いていきますわ。

 元日は、恒例の映画の日。

 次回、感想を書いてみるつもりだす。

 みなさん、2017年もよろしゅうお頼み申し上げます。

 
 海光拝