週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

【連載】異国を旅して -韓国篇7 熱狂-

2017年07月02日 | 【連載】異国を旅して




【七夕の短冊代わり願い込め】哲露


 イムジン河から戻る。 

 若者の街、明洞。

 楽しげに買い物している一方で、政治に関心のある若者たちが集まる。

 ここはソウル。

 日本ではない。






 朝の広場に戻ると、すでに大勢の市井の民が結集していた。

 ものすごい数だ。

 反原発の国会前どころではない。

 この国民性の違いはなんだ。

 逞しくもあり、そのパワーの源を知りたいと思った。







 


 とにかく、ソウルの街の中心部のあちらこちらで集会が行われている。

 楽器が鳴り、呼び声が高らかに、プラカードも様々だ。

 夕暮れが近づくにつれ、みんなの祈りを込めたLEDの明かりが灯る。





 わたしは幾つもの駅に渡り、歩き、立ち止まり、この目と体で人々の熱を感じた。

 広場や川辺、どこへ行っても朴政権への抗議。

 群衆を突き動かすエネルギーは怒りか。

 東西南北、360度。

 人、人、人。

 全方位からも人の波が押し寄せる。

 若者も多いし、老若男女切れ間ない。

 それは日が落ちても止まらない。







 この騒ぎがあっても、朴政権は反省の弁を述べて、地位に止まる発言を繰り返した。

 それはかの国の政治家と同じ。

 違いは、わたしが咋秋帰国後も、大規模のデモが続けられたことだ。

 そして、民衆は政治を動かした。

 継続することの重要性を目の前で突きつけられた。

 わたしは何をしているのか。

 諦めたら終わり。

 けだし、代わりはいない。

 だったら、私たちで作っていくしかない。

 諦めたら、真にお終いなのだ。





 この日は一人、北へ行き、大挙のデモの熱を浴びた。

 激烈な人々のエネルギーを肴に、一人静かに酒を傾ける。

 国民性の違いをまざまざと感じながら、我が国の、子供たちの行く末を想う。

 過去に学び、自分で思考し、毅然と行動する。

 このことの大切さを、異国で学んだ。

 ソーメンのように細い、牛骨スープの冷麺を啜り、感傷を噛みしめる。

 付け合わせのキムチはどこまでも旨い。

 店だけでは飲み足りず、発酵マッコリをひと瓶買い、宿で飲み続けた。

 酒だけは以前飲み続けている。

 はて、文学とはいかに。

 デモの喧騒から離れるほど、心の襞にその焦燥が襲って来る。

 白濁の酒精をチビチビと舐めながら、異国の夜が静かに更けていく。

 7月2日。

 今日は都議選だ。

 未来への一票を欠かしてはなるまい。

 平和を願う皆にとって、良い日曜になるといい。

 心からそう祈る。

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【連載】異国を旅して -韓国篇6 北へ-

2017年06月25日 | 【連載】異国を旅して




【凍てついたイムジン河の秋も枯れ】哲露


 市場から一夜明け、広場へ向かう。

 ロッテの免税店の先。

 抜けるような青空が清々しい朝だ。





 早朝のソウル中心部。

 民衆が少しずつ集まっている。

 今夜のデモの準備がもう始まっているのだ。

 国境へ向かう待ち合わせがホテルのトラベルセンター。

 割とまともなホテルのロビー。

 びっくりするほどデカいカップ麺をすする西洋人。

 マナーもへったくれもない。

 同じフロアでは、高級な朝食を供している。

 彼は残った汁をどうするんだろう。

 トイレが詰まるんだろうなぁ。

 なんて、余計なことを考えて待つ。





 これが国境ツアーのバス1号車。

 あっしは一番後ろの席を贅沢に陣取る。

 並びは、日本人の女性二人。

 見事な日本語のガイドさん。

 さあ、いざ北へ。





 高速のドライブイン。

 ここでトイレ休憩。

 この光景はどこの国でも変わらない。

 まだこの時点で緊迫は感じられない。

 なぜ、あっしはここにいるのか。





 ソウル中心部から板門店へ、国道沿いをゆく。

 電波の心配があったが、GPSは賢い。

 どこまでつながるか。





 車窓から有刺鉄線が見えてくる。

 監視カメラも見える。

 殺風景な景色が北へ向かう実感をもたらす。





 映画でも見た、JSA。

 韓国とアメリカを中心とする国連軍と北朝鮮軍が共同で警備を行なう800m四方の共同警備区域。

 撮影の場所は限られるが、写真も撮れた。







 背の高い兵隊さんの後ろ。

 この建物の間のコンクリが、幅20cmほどの軍事境界線。

 なんとも頼りない。

 



 彼の立っているところが北朝鮮の土地だという。

 微動打にしない兵隊さんを気の毒に思う。

 韓国では2年間の徴兵制がある。

 そういうことだ。


 日本は戦後の歩みの中、どこまでも平和なんだ。

 それにしても、ここにはイケメンの兵隊さんが多い。

 あっしも北の土地を踏んだ。







 こちらが北朝鮮の施設。

 ちなみに韓国側の建物は撮ってはいけない。

 カメラを反転させて撮っていたら止められた。

 この国境ツアーの場所で、アメリカ兵が打たれ、今は立ち入りが禁止された第3トンネルのような場所も存在する。

 日本では見られない緊迫がここにはある。





 帰路に立ち寄った国境付近の施設、臨津閣(イムジンガッ)観光地。

 断ち切られた家族を思い、人々が悲しい歌を唄う。

 肉親に会いたい気持ちは万国共通。













 1950年の今日、6月25日に朝鮮戦争が始まった。

 そこから分断された韓国と北朝鮮。

 北緯38度線。


 非武装地帯であるDMZ(Demilitarized Zone)は境界線を挟んで南北それぞれ2km、幅4kmにわたる。

 1953年に締結された朝鮮戦争の停戦協定。

 かつては両国を結ぶ鉄道も通っていた。

 錆びた車両。

 不思議なことに、半世紀一般人が立ち入っていないことにより、

 原生の自然が残り、貴重な野生動物が生息するという。

 人間の営みは自然に反するといういい例。

 人間とはなんと愚かな生き物なのか。







 板門店ツアーについている、プルコギ鍋。

 同伴を持たないあっしは、やはり一人参加のおじさんとお姉さんと鍋をつつく。

 西洋人につられ、わしもビールを。

 韓国在住のM嬢のおかげで、入国後美味い飯ばかりだった。

 さすがに、このツアーの食事は美味くも不味くもない。

 非武装地帯の味として、一生舌に残るのか。






 映画パッチギで流れた、イムジン河の唄。

 枯れた景色、悠久の流れ。

 この河を何人の人が渡り、死んだのか。

 極寒の地、凍てついた河の水。

 同じ人間、同じ血、同じ民族を打つ不条理。

 ああ、イムジン河。





 明洞の街に戻る。

 買い物に興じる若者たちがわんさといる。

 その一方で、朝の広場には群衆が集まっている。

 もっとも換金率のいい両替がある。

 そそくさと両替し、街をぶらつく。

 朝の広場へ行くと、有識者たちがあちらこちらで大きな声を張り上げている。

 アーティストたちが唄う。

 朴槿恵大統領を弾劾するデモだ。

 この国のエネルギーの源はなんだろう。

 怒りの放出は老若男女問わず、若さなのかもしれない。

 次回は、この旅でたまさか立ち会えたデモをレポートしやす。

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【連載】異国を旅して -韓国篇5(広蔵市場へ)-

2017年06月18日 | 【連載】異国を旅して





【活気ある南の胃袋スンデかな】哲露


 韓国の旅、5回目。

 二日目の晩酌に広蔵市場へ連れてってもらう。

 地下鉄1号線の鍾路5街(チョンノオーガ)駅を降りる。

 そこから、ひょいと入るとアーケード。

 日本の地方都市でもあるような気軽さで歩いた。

 そこでとんでもない風景に出会う。





 


 それがここ。

 広蔵市場(クァンジャン・シジャン)。

 とにかく屋台の集合体の規模が巨大。

 様々な食材で作られたキムチ漬けはもちろん、豚の腸詰やら餃子やらアレヤコレヤ。

 お土産屋も豊富に揃うが何より、

 ここで生活する市井の人々のエネルギーに圧倒される。

 



 この広大な迫力。

 あちらで嬌声、こちらで怒号のような掛け声。

 麺屋からは湯気がモウモウと、揚げ物の音がジュージューと木霊する。

 ソウル市民になったつもりで、おもむろに屋台へ腰掛た。

 早速、hiteを頼む。




 
 ピンデトッは、緑豆の生地に野菜や肉が入ったお好み焼き。

 食感がしっかりと楽しめて、玉ねぎが大胆に入ったタレにつけると美味い。

 hiteの生に続けとばかり、炭酸の効いたマッコリにすすむ。





 キムパッはミニ韓国海苔巻き。

 具は沢庵、ほうれん草、人参と素朴。

 日本で韓国風海苔巻きといえば、太巻きのイメージであったが本場はこれだ、とあっさり突きつけられた感じだ。

 わさびでも唐辛子でもなく、特製の洋風辛子をつけて食す。

 シンプルな味がリピート必至ということで麻薬キムパッの異名がついている。

 あっしは土産ももらい、翌日の朝食にした。

 まさに癖になるお味だ。





 活きテナガダコの刺身(サンナッチ)。

 ウニョウニョと、生蛸の生きたままを口に入れる。

 残酷だが、究極の鮮度を誇る。

 韓国海苔が贅沢に盛られ、また、いい酒肴となる。

 それにしても、口中でもよく動く。





 このスンデ(豚の腸詰)が、Mお嬢さんのオススメ。

 美女は血の塊がお好きなようで。

 ソウル思い出の味とインプットする。





 日本では見たことない形の餃子。

 世界は広し。

 他に、ユッケやトッポギと、ソウルのおっさんと語り合う。






 最後にうどんを頼む。

 熱いのは美味いが、すぐに冷めてしまう。

 ソウルの冬が厳寒だ。

 冬はこの市場、閉鎖するの? と聞いたら、俄然盛り上がるとか。

 マイナスの気温の中で、啜るマッコリ。

 いやあ、恐れ入りやす。

 とにかく、どこの店に行っても、安定しているのはタダで食えるキムチ。

 あっしにはそれが何より羨ましい。

 我が国日本も、ぬか漬けくらいタダにしたらどうだろう。

 最近は、日本茶や水も有料。

 徐々に生きづらいと感じるのはあっしだけやろか。

 薬品の入ったような甘い焼酎に。

 ソウルの旅はまだまだ続く。

 次回はいよいよイムジン河を渡る。 






  




 


 

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【連載】異国を旅して -韓国篇4(北村韓屋村)-

2017年04月23日 | 【連載】異国を旅して




【落ち葉踏み王様がゆく石畳】哲露


 仁寺洞でマッコリと味噌汁かけご飯に満足したので、安国駅を隔てた北へちょいと腹ごなし。

 北村韓屋村という隠れ(てもないのか)た観光名所だという。

 景福宮と昌徳宮の間に位置し、王族や権力者たちの住む居住地だったそうな。

 朝鮮時代(1392-1910)の末期から最新まで、伝統家屋「韓屋」が多く並ぶ。

 同じアジアでも日本とは違う文化。

 ここは映画のセットのようだね。







 昔ながらの韓国の街並みを見られ、面白い。

 観光の客が訪れるためだろう、お洒落なカフェや雑貨屋もあるからなおのこと楽しい。

 高台からの眺めに気分上々。







 チマチョゴリを着た女性たちもちらほら。

 韓屋を背景に絵になる。

 現存する住宅地でもあるので、こんな看板が。

 そして、ここは急坂ばかりなり。

 坂をえっちらおっちら、ええ運動になるわ。 
 






 マッコリも抜け、喉が渇いてきた

 ガイドMさんに導かれ、茶屋の佳画堂に入る。

 中庭もあり、ほっこりした雰囲気は癒しの空間。

 Mさんオススメのお茶を頼む。

 とにかく真っ赤なビジュアルがすごい。

 ラズベリーのような甘酸っぱい味わい。

 覆盆子(ポップンジャ)茶だというらしい。

 なんでも美肌の強い味方だとか。

 殺伐とした日々の仕事を忘れる瞬間。

 これぞ旅の醍醐味。






 いい具合に夕陽が落ちる。

 あとは下りだけ。

 今宵はまた違う市場へ繰り出す予定。

 口の中もさっぱりしたので、これでまた酒が進むわい。

 ソウルの台所の賑わいはまた次回。

 まだつづく。
 

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【連載】異国を旅して -韓国篇3(仁寺洞)-

2017年03月05日 | 【連載】異国を旅して






【賑わいの街を冷やかし汁に酔う】哲露


 前回、世界遺産の続き。

 昌徳宮から街まで歩く。

 鍾路仁寺洞。

 昼夜問わず、観光客に人気のスポットとのこと。

 若い人や外国人も多い。






 たくさんのお土産が売られている。

 装いは日本のそれと同じだが、韓国らしい装飾に目を奪われて面白い。

 定番のもの、縁起もの、アレヤコレヤ。





 話題の尽きない、あの人も。

 何を言いたいのか。

 観光の街にこんな風刺が置かれているのが現世韓国事情。






 明洞とはまた違う雰囲気。

 だが、ハングル文字を見ていると不思議な既視感に囚われる。

 ああ、異国を歩いているんだなという素朴で平和な幸せ。






 ツレのM嬢がサクサクと、とある路地を入る。

 知らないとわからん道。





 今、ソウルでも新しい食スポットとのこと。

 看板もソコソコに、こりゃ知らんと入れんわ。

 観光で来ていたら、まず通り過ぎる店。





 その二階へ上がる。

 ソウルのおばちゃんたち次々と入ってくる。

 目当ては・・・。





 昼から微炭酸のマッコリを。

 ヤカンから注ぐのが正統派らしい。

 わしらも地元民のつもりで頼む。

 もっともM嬢は、すでに在住で言葉もローカルだから手馴れたもの。





 とにかく、酒と料理を注文すると、キムチやら野菜の付け合わせが無料。

 飲んべには、まっこと嬉しいサービスだ。

 発泡マッコリのうまいこと。

 昼酒バンザイである。

 そして、ここの目玉がなんと味噌汁かけご飯。

 味噌がけが店で供されるなんて、信じられないでしょ?





 ところがこれが美味いのよ。

 十穀米っぽい米に、無造作に豆腐の辛い味噌汁をかけていく。

 熟成された味噌と甘味を含んだ唐辛子、青い野菜もたっぷりと入れる。

 想像より汁っぽくなく、 なんだかマッコリに合うんだ。

 どっか懐かしく、未体験のグルメ。

 ピリッとした汁飯、マッコリ、辛い野菜飯、マッコリ。

 このエンドレスのループは最強だ。

 これ、ハマった。






 仁寺洞は観光の街。

 だけど、こんな飯屋があるのがソウルの魅力。

 未体験ゾーンの連続。

 案内人に感謝。

 酒付きのお昼も済ませ、次なるスポットへ。

 韓国の旅、まだまだ続きまっせ。 



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【連載】異国を旅して -韓国篇2(世界遺産昌徳宮)-

2017年02月05日 | 【連載】異国を旅して




【権勢の面影残る紅葉かな】哲露


 ソウル滞在二日目の朝を迎えた。

 ベイトン東大門ホテルの部屋からNソウルタワーが見える。

 特別市龍山区の南山公園の頂上にあることから、かつては「南山タワー」と呼ばれた。

 タワーの高さは236.7mで、南山と合わせると、479.7mの眺望となる。

 滞在中、ソウル市の随所から見えたランドマークだ。

 コンビニの飯はマズいと、ガイド役の作家Mさんから聞いていたので、朝からカップ麺をすする。

 朝早い集合だからそれで済ませたが昨夜の市場飯との落差が激しく、やはり外で食えばよかったと後悔。

 旅の二日目の朝から学ぶこと多し。


 


 安国駅で、
Mさんと待ち合わせ。


 ハングル文字に四苦八苦しながら、地下鉄を乗り継ぐ。

 外は快晴。

 危惧していた気温も穏やかだ。





 本日の観光は、世界遺産の昌徳宮(チャンドックン)。

 1405年に建立され、約270年に渡り正宮として使われた。

 朝鮮王朝の中でも、極めて美しい景観で名高い。

 自然の地形に沿って建物が造られており、優雅な庭園と相まって癒しの巨大空間を演出している。







 外国人のための通訳サービスも充実していて、日本語で案
内をしてもらう。

 流暢な日本語で、時折ジョークを交える達者ぶり。

 王宮の歴史を、とてもわかりやすくガイドしてくれた。

 写真は、ソウルに現存する最古の正門。 

 動物の石像がのるのは、やはり最古の石橋、錦川橋。 

 都会からほど近い場所に、こんな庭園式の王宮があるなんて羨ましい限りですな。







 ご覧のように、カラフルな木々のコントラストが素晴らしい。 

 そう、東京より緯度の高いので、葉の色付きが早いのだ。

 まさに、ドンピシャで、異国の紅葉を楽しめた(註:2016.11.10) 。

 なんと贅沢の極み。




 



 地を象徴する四角い池の真ん中に、天を表す丸い島が造られたのは、芙蓉池(プヨンジ)。

 芙蓉は蓮を意味し、夏場の池には蓮の花が咲くとのこと。

 天からの眺めも蓮に見えるとも言われている。

 
蓮の天井。

 汚い水に、綺麗な花を咲かせることから、聖人君子と言われるらしい。

 「宮廷女官チャングムの誓い」で、チャングムが散策をしていたのがこの場所とか。

 韓流ドラマ好きにはたまらない聖地ってわけだ。

 わしとMさんも、チャングムになりきって眺めてみた。

 女官には、はたして何が見えたのか。





 

 一枚の岩を削って造られた不老門(プルロムン)。

 王様の長寿と息災が願われ、この門を潜ると年を取らないという言い伝えがあるとか。

 愛蓮池の奥には、東屋愛蓮亭が鎮座。







 東屋の天井はどれも優美な色彩。

 屋根
は丸(空)天井は八角(人)と四角い建物(地上)と織りなす。

 かつての王宮の権勢を象徴しているようだ。

 どれも保存状態がいい、世界文化遺産になった一つの理由だろう。







 日よけの工夫なども、よくできたもの。

 冬の寒さから韓国の人々を救ったのが、このオンドル。

 部屋の下に火を焚いた、現代でいうところの床暖房。

 マイナスが冬の常時である厳寒を生き抜くための生活の知恵。

 ただ燃やす材料によっては、煤だらけになったそうな。

 韓流オンドル。

 一度、体験してみたいものだ。





 映画のワンシーンのような二人。

 どうやら王様とお妃になりきったアジア人。

 種明かししなければ、それっぽいでしょ。

 ちなみに、ガイドさん曰く、

 「1
番偉いのは、四代王様セジョン。ハングル文字作ってお札にもなっている。2番目は22代イサン」

 そう、あのイサンとのこと。







 建物の様式が特徴的。

 三国史記やら、過去の歴史が組み込まれている。

 また日本の建造物との対比も面白い。

 まさに文化の交流がなせる技。

 政争に明け暮れず、こうした平和な交際ができないものか。





 24代王・憲宗(ホンジョン)が後宮(フグン、王の妾)のために建築した楽善斎は、

 最後の皇太子、李垠(イウン)に、梨本宮家から方子(まさこ)が嫁ぎ暮らした場所。

 木を凝らした素朴な感じがある。

 海を渡り、異国の人に囲まれながら、方子はここで生涯を閉じる。

 何故、帰国しなかったのか。

 皇太子亡き後の、孤独に苛まれた日々を思う。

 彼女はどんな心境で晩年を過ごしたのだろう。
 





 秋真っ盛り。

 異国を感じさせない多彩色の紅葉。

 神様からいただいた大切な1日。

 柿の木に人々が群がり、笑顔が見られる。

 人種も、肌も、言葉も、文化も違えど、四季が織りなす造形美への畏敬は普遍だろう。

 その感覚が世界を取り巻く不穏を、払拭することを願う。

 異国の旅、まだ続きます。

 

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【連載】異国を旅して -韓国篇1(鷺梁津水産市場)-

2017年01月22日 | 【連載】異国を旅して

 

【忘却の異国を胸に秋の朝】哲露


 職場の移籍を機に、再びの国を目指す。

 海外は11年前、前職占い本のバブル真っ盛り、社員旅行で行ったラスベガスが最後。

 そして、前回韓国を旅したのは、15年ほど前だったか。

 明洞の早朝、旨そうな匂いに誘われて入った韓国語だけのローカルの店。

 オムニの笑顔、優しいコムタンの味を鮮明に憶えている。

 後のことは大概忘れてしまったから、五感の中でも味覚、嗅覚というのは侮れない機能なんだと思う。

 12年勤めた会社とおさらば。

 新たに10年パスポートを手に入れた。

 束の間、神様からの休暇。





 成田へ向かう途中、同行するはずの友人からキャンセルの報。

 予期せぬ、ひとり旅に、ちょっぴり心細さを憶える。

 ええい、ままよと、限定恵比寿で乾杯。

 しばし、グッバイ、わが祖国よ。

 いざ、イムジン河の国へ。






 玉突きの滑走路を飛び立つ。

 霞ヶ浦を一望し、気流の安定しない千切れ雲を抜ける。

 果たしてそこは、眩いばかりの雲海。

 雲上の愉悦、久しぶりの海外。

 乱気流に機体は上昇下降を繰り返す。

 気弱が徐々に消え、かつての無鉄砲、突進ぶりが蘇り、胸の高ぶりが始まる。

 エジプトから陸路でイスラエルに向かった、あの感覚。

 不安より期待。

 旅が始まったのだ。


 


 空港であらかじめ、DLした簡易韓国語、ソウルの地下鉄MAP、翻訳アプリを眺める。

 アラフィフのメモリーは、すぐに機能しない。

 通路側に寝ていた女性が化粧を始めた。

 脱いだ靴の上に、マリオの靴下が載っている。まさか阿部さんのファンではあるまいな。

 イミグレーション用紙に記入するのに、その女の子にペンを借りる。

 機内では、韓国語、日本語のアナウンスがある。

 感覚を取り戻せ。





 空港から市街への直通列車に乗る。

 15年前にはなかった未来がそこにある。

 ソウル駅で乗り換え、東大門へ向かう。

 仁川空港で借りたwifiは、快調!

 現地の友人にLineで到着の旨を伝える。

 全く便利になったもんだ。






 地下をかなり歩き、宿泊ホテルの出口へ。

 帰宅ラッシュに遭った。

 不意に韓国の日常に飛び込んだ感覚が微妙に嬉しい。 





 ホテルでシャワーを浴びて、街へ出る。

 交差する駅近で待ち合わせした友人が連れてきてくれたのは、鷺梁津水産市場。

 巨大な海のマーケットは、新旧入り混じり、どこまでも続く。

 ベテランとニューフェイスが隣り合わせの市場ビルを歩くと、築地の移転を連想してしまう。

 昭和のおっさんは、歴史を感じる旧市場に惹かれた。






 大きな水槽から海が溢れ、宇宙人のような生ダコのえぐい迫力に視覚を奪われる。

 いやー、食好き、料理好きはいつまで見ても飽きないね。

 大小の魚をアレソレと、売り場のおっちゃん、おばちゃんと会話を楽しむ。

 大ぶりの生牡蠣、生ダコ、アイナメを一尾買う。

 ここで買った海の幸を、切り分け、調理して、二階の食堂で味わえるのだ。







 二人では多すぎる牡蠣、山盛りの丸ごと一尾のアイナメの刺身、踊る生ダコ。

 醤油わさびもあるが、韓国流に、辛子味噌が通っぽい。

 Hiteビールで喉を潤し、ソウルでの再会に乾杯す。

 市場の喧騒以上に、食堂のサラリーマンたちの咆哮がすごい。

 呑んべえは、万国共通、新橋と変わらんね。






 この国で嬉しいのが、どこでも付け合せのキムチがサービスなことだ。

 そう考えると、日本の居酒屋でも、漬物サービスが欲しい。

 ノロなどなんのその、海のミルクたっぷりの生牡蠣にかぶりつく。

 舌に吸い付く生ダコの吸盤、捌きたての白身の新鮮に酔う。

 これに甘すぎない微炭酸のマッコリがよく合うのだ。 





 マッコリに飽きたころ、合成酒のチャミスルに。

 やはりあっしは、甘味の入らない酒が好ましい。

 けだし、郷に入れば郷に従え。

 へえ、心得ておりやす。





 さすが市場だけにアラも無駄にしない。

 ほっちゃる骨、頭を入れたアイナメ鍋で、脳が停止するほどお腹がいっぱいに。

 その辛いスープをメウンタンという。

 酔い覚ましに、夜の街をぶらつく。

 東京の治安の良さはよく言われるが、一見隠微に見えるこのあたりも平和そのものだ。







 結局、呑んべはダメね。

 夜灯りにつられ、今、韓国で人気という店へ。

 あんだけ飲み食いして、二次会は揚げたチキンで飲むという。

 韓国人のタフさに悲鳴をあげつつ、今度はCASSという銘柄のビールへ突入す。

 なるほど、見た目よりあっさりした胸肉のスパイスに、酒が進むのね。

 財布に優しい韓国の食材、訪韓初日にすっかりハマった。

 夜は更ける。





 ホテルに戻る道すがら、街のイルミネーションが美しい。

 眠らない街、ソウル。

 明日からどんな出会いが待っているだろう。

 ホテルのTVに、韓流スターのドラマやバラエティーが流れる。

 ハングルをBGMに、沢木耕太郎の深夜特急を読む。

 アンニョハセヨ、ソウル。

 再会に乾杯!

 韓国の旅はまだ続く。


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