週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

ヴィンセントが教えてくれたこと

2015年10月24日 | ★江戸っ子エッセイ★



【秋の夜の孤独の心通わせて】哲露

 
 若い頃に観た、パラダイス・アーミーは衝撃的だった

 わたしのなかで初めて出会った、アメリカの本物のコメディアン。

 ゴーストバスターズも笑えた。マシュマロマンが怖いなんて、ダンエイクロイドとのコンビは最高。

 ジョンベルーシ亡き後、よきパートナーに巡り合えてよかったと思った。

 それが、ビルマーレーだ。

 大好きだったアメリカンドラマ、チャーリーズエンジェルの映画版のボスレー役は、いい味だしていた。

 そして、ロスト・イン・トラストレーション!

 渋みを増した演技は、俳優としても円熟を迎えたことを感じさせた。

 笑いの神が、己と世の退廃を臆面もなく演じる勇気がすごい。



 

 そして、この「ヴィンセントが教えてくれたこと」。

 ヴィンセントは、口汚く、酒浸りのベトナムの帰還兵の成れの果て。

 町の住民たちは煙たがり、匙を投げるほどの無法ぶりである。

 その嫌われ者の隣へ引っ越ししてきた少年。 

 果てしてどうなることやら。

 娼婦でヴィンセントに関わるナオミワッツがまたいい。

 久しぶりにコメディアンとしてのセンスを感じさせてもらった。

 もちろん、演技者としては突き抜けた達人の域でもある。

 鑑賞後、諦念とほっこりを混ぜた感覚を味わえた。

 この秋のオススメがまた一本加わった。





 火災から再建後、初めて来訪。

 佇まいがそれこそ味の、かんだやぶである。

 風の抜ける小上がりは健在だが、昼時にいったので野暮は承知。





 秋の風物詩、牡蠣そばを食す。

 鰹と牡蠣、海の滋養をいただく。

 おつゆまでしっかりと。

 さて、本日から東大前、本郷の古宿で、文学の合宿だ。

 100名ほどの作家が世界中から集まる。

 今年は誰が笑い、誰が泣く。

 楽しく、厳しい小説のお勉強漬けである。

 そろそろ出かけるとしよう。

 皆さん、いい週末を 
 


森のカフェ ♪

2015年10月12日 | ★映画★





【木漏れ日に豆の香りは黄金色】哲露


 また映画の話し

 銀座コリドー通りの地下で、試写を観た。

 自然科学の発達が人類に、物質的豊かを与えたのは否定しまい。

 だがこの頃、行き着いた利便が、人の営みをはるかに超えてしまったのでは?と感じる。 

 ボタン一つで街を滅ぼす爆弾ができてなお、まだ兵器を開発し製造を続ける愚かさ。

 ダイナマイトも核兵器も科学の発達からできた。

 ITの発達が、人々から仕事を奪っていく。

 偽政者は国立から文学の学びを減らすことに必死だ。

 要は哲学的思考を持つ人間が増えるのが怖いのだろう。

 So What?

 この「森のカフェ」の榎本憲男監督は実際に郊外に移り住んで発想が浮かんだという。

 現代人の失ったもの、西洋的な合理主義とは対極の何かを提起している。

 論文が書けない哲学者が森で出会ったのは、果たして本物の妖精なのか。

 マーチンのD35が奏でる音は透明感に溢れ、珈琲の香る森に沁み入る妖精、ヒロイン若井久美子の声が心地よい。

 ハリウッドの豪華絢爛でなくとも、撮り方次第で映画は面白くなるのだ。

 悩める哲学者に光を届けたヒロインの歌詞は、きっと観るものの心にも届くはず。

 その音と光は、ほのぼのと温かい。

 森のカフェは、12月12日からヒューマントラストシネマにて公開予定。





 いつかの赤坂の蕎麦屋の定食。

 10年ほど前から通う、町の蕎麦屋だ。

 気取った蕎麦屋の多い赤坂にあって、良心的で味も安定している。

 この日は穴子丼のセットを。

 肉厚のアナゴは甘すぎないタレが沁み、茄子の天ぷらとともにボリュームたっぷり。

 本日は体育の日。

 12kmほど隅田川沿いを走った。

 昼はネギどっさりのシンプル醤油ラーメン。

 晩ご飯用に、大根とツナのサラダを仕込んだ。

 こんな長閑な毎日がいちばんの贅沢なんだな
  


更年奇的な彼女☆

2015年10月04日 | ★映画★



 
【更年期カノジョもカレも冷やおろし】哲露

 
 知り合いに招待され、中国映画の試写に行く

 この作品は2001年「猟奇的な彼女」や「僕の彼女はサイボーグ」で有名なクァク・ジュヨン監督がメガホンを取っている。

 猟奇的なの、チョンジヒョンの可憐さとぶっとんだ演技は忘れられない。何度観たことだろう。

 その郭監督の作だから、かなり期待していた。

 それを裏切ることなく、テンポも、構図やカメラワークも進化していてグイグイと世界へ引き込まれていった。

 思わずホロっとしたシーンでは、隣の同行もメガネを取りハンカチをあてていた。

 感覚が同じなんだな、と共感を憶えた瞬間である。

 編集長でもあるその友人が上映が始まった冒頭、興奮しながら、このアモイ大学が出身校だと明かしてくれた。

 なんと、世間は本当に狭い。

 きっと彼は私以上に、臨場感を感じ、青春の甘さとほろ苦さを重ねて観たことだろう。

 そんな彼が日本へ来て26年。

 そんな冒険が日常になったのだ。

 私は羨ましくも、浅草から一歩も出たことのない身に置き換えて途方に暮れる。

 今年の夏は、息子の受験もあり旅どころか、海へすら行けていない。

 でも、身近にいる友人から故郷のこと、過去旅した思い出など聞くことはいつでもできる。

 何もお金をかけて移動しなくても、旅をした感覚を味わえるのだ。

 そうして、私は遠い異郷に思いを馳せた。






 主演の周迅 (ジョウ・シュン)がたまらなく可愛い。

 いまや中国のトップ女優というから、それも頷ける。

 中国映画があまり公開されない日本の現状を憂います。

 そして、相手役の佟大为(ダーウェイ)は国民的なアイドルだという。好感度の高い演技は落ち着いていた。


 世の麗しい女の子は、奇抜な題名に臆することなかれ。

 野郎である男にも、更年期はある。

 若年性更年期という妙な設定が、どのように物語を構成していくのか。

 中国本土では、公開5日間で20億円の興収を上げた。

 原題「我的早更女友(Meet Miss Anxiety)」

 疲れた日常に、心を灯すようなラブコメ。

 その目で確かめる価値は大ですわ。



        銀座「天龍」の餃子ライス
 

 ある日のランチ。

 同僚と、お互いに懐かしい思い出の餃子屋へ。

 開店50年にもなる、銀座の老舗「天龍」

 ジャンボ餃子は上野の「昇竜」に軍配があがると思っていたが、思い出の味はそれを上回る。

 噛むと肉汁が溢れる。

 このジューシーさは、小籠包の親玉のようだ。

 しかし、このデカさで8個。

 己の胃がオッサンである現実を思い出させる。

 一皿をシェアするようになっちゃあお仕舞いよ。

 映画も、餃子もオススメの逸品でござる