週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

蜘蛛の話し!

2013年02月24日 | ☆文学のこと☆

   
          「くものちゅいえこ」
      森川成美 作  佐竹美保 画
    PHP研究所 2013年2月27日初刊

 
 ついに、というか満を持して刊行された新刊「くものちゅいえこ

 同人、森川成美単著デビュー作である。

 ミツバチハッチのような自然界の大冒険かと思いきや、舞台は人間界のおはなし。

 柱時計、扇風機が活躍する古道具屋という設定に、昭和の香がプンプン匂う。

 世代や時代設定を選ばない筆の力はいまさら言うまでもないが、幼年ものにおいても抑えた才が全開である。

 おいらが読もうとテーブルに置いていたら、目ざとい二男に先行された。

 虫嫌いの都会っ子は、かわいいイラストを、気持ち悪いとのたまう。

 ところが、生み出された文章は、頁を捲る手を進め、一気に読み切らせてしまった。

 主役のちゅいえこ、父のちゅたるける。

 ふたりして疑問に思った。

 著者に会ったら、ぜひ名前の由来を聞かせてもらおう。そう思いながら、昨日の合評会で聞きそびれてしまった。

 その代わり、いろんな話しができた。

 向かい席の先輩、I女史のご主人は、なんと仁丹塔の前を都電が走っていた写真を撮っていたカメラマンだという。ぜひ、見てみたいものだ。

 いつか長男がてんとう虫の絵本を作った。上野の美術館に飾られたものだ。なんとなく雰囲気が似ていて、家族とも好感を持って話題にした。

 物語のなかで、前のことしか話さない(話せない)時計をかわいそうだと言うちゅいえこ。昔話しか話せない人は希望がないということだ。そうなると、本当に人は時計のように老けてしまうのかもしれない。

 これから、森川氏から希望溢れるたくさんの物語が生まれることだろう。

 大会で読ませていただいた、時代ものの傑作。

 あれは、かならず世に出してもらいたいな。

 季節風の先輩の活躍が目覚しい。みんな前の話しでなく、前を向いて書いているんだ。

 森川さんのお祝い会も待っている。

 今年の愉しみがひとつふたつ増えた。

 おいらも、マイペースで頑張ろうっと


  「向かい風 カラダつき抜け 小正月」 海光

 

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黒湯温泉、新春句会。

2013年02月17日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★

 

  

 歳をとると暇になると思っていた

 どうやらそれは妄想だったらしい。

 15歳は→時速15km、45歳は→時速45km、70歳になると、なんと時速70kmという体感スピードになるという説がある。

 人生とはそういうものらしい。

 風説はともかく、ITや通信の発達で至極便利になったのと引き換えに、 平成の世は妙に時間に急き立てられるようになってはいないか。

 現代人に必要な贅沢とは、時計を外すゆとりではないのか。豪華寝台特急が売り出した瞬時に売れ切れになるのは、まさにその渇望を埋める典型とも云える。

 そこで、そんな気分を楽しもうと、都心から出やすい〈綱島温泉〉へ向かう。

 黒湯の湧く源泉は、とろりとして丸みのある体に優しいお湯である。

 ご覧の中庭が、どこの休憩場からも観賞できるようになっている。

 これぞ、昭和のリズムなのだ。


    「綱島の 春空を往く 雲一筋」 鶴輪


  
             街道沿いの綱島温泉


   「如月に 巡る寒暖 春遅々と」 酔徹 (天賞)


 一見、流行りのスーパー銭湯のような外観だ。

 だが、中身は三橋美智也も唄い通ったという、昭和モダン建築そのもの。

 かつての三業地の名残か、周辺に淫靡なホテルもちらほらある。

 れっきとした宿泊施設の宿は、数年前に廃業したという。花街の衰退で現代は豊かになったのだろうか。

 この温泉、持ち込みOKなので、駅前の東急ストアでしこたま買い込んだ。

 大量の酒とツマミを両手に持って、旧式の自動ドアーをくぐる。

 圧巻の下駄箱が待っていた。

 入口で900円の入場料を払う。2時間以内で帰る方には、半金ほどの返金がある。

    
                銭湯の下駄箱

 建物の規模と同等の下駄箱の陳列がうれしい。

 巨大な施設は、これだけの数の人が入っても、まことに広々としたものだ。


   「寒なごり 湯けむりに舞う 春の雪」 天女 


    
          コカ・コーラの瓶の自販機

 懐かしいガムや、コーラの自販機。もちろん、牛乳や瓶のジュースが完璧だ。

 鰈の煮付けから、豚足、みそラーメンまでリーズナブルな品々が並ぶ。

 買い出しもすることないくらいの充実に目を瞠る。


  「水仙の 四五本咲きし つなしまや」 優女 (人賞)


   
              2階大広間の一つ

 温泉場や調理場がある1階から2階にかけて、無数の広間とテーブルがある。

 1階の広間では、ステージで懐メロを披露するお歴々の目が輝き、厚く皺の刻まれた手から乾いて重厚な手拍子が鳴る。

 いまや会の要、T女史が北海の幸と酒精を差し入れてくれた。

 恵比寿ビールで新年を祝った後、冷えた金沢の銘酒〈常きげん〉で乾杯。

 ニシンの粕漬けやら、山海の珍味が鄙びた風情にぴったりと合う。

 常連らしき、和服の踊りも見られて、言うことない。


  「運命(さだめ)だと 踊る女や 春浅し」 草露 (地賞)


 〈常きげん〉で上機嫌になって!?、つい俳句も忘れてしまうほど。

   
      ホースラディッシュと山廃純米

 皆さん、真面目に詠みましょう、と天女さんから一言。ごもっともでありんす。

 そこで、めいめい思索に耽る。

 黒湯に浸かったのは、会長とおいらのみ。鉱泉の効果か、体の芯からポッカポカ。すこぶるいい気分でござる。

 館内の合図とともに、温泉場を後にする。

 幹部たちだけで、買い出し前に綱島古墳を散策しがてら下見した、やきとん屋へ直行。

   
          やきとん〈川柳〉

 小体な造りは、ちょっとした料亭の趣。

 三業地が急行も止まる新興住宅となって小洒落てお高い店の多い中、庶民的な料理を財布に優しく味わえる店である。

   
          一尾丸ごと唐揚げ

 初めて訪れた、綱島温泉。

 いまや失われつつある、昭和にどっぷり浸かれる空間は貴重だと云える。

 川柳では、各々が詠んだ一句一句を、合評した。

 下の句をちょっと改編するだけで、想像の世界が広がった。

 詠みっぱなしでない、文学への探求が、最上級のツマミなのだ。

 気取らない愉快な仲間たちと、セピア色に飲めた。

 このとっておき、行かない手はござんせんて


  「街道の 春風感ず 黒湯かな」 海光

 
 
 〈次回予告〉

 4月6日(土) 大川の水辺ライン&築山の花見句会が決定

 ご参加希望の会の皆さん、奮ってご参戦くださいまし。
  


  

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豆まき

2013年02月10日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
            竜泉町 鷲神社の大鳥さま


  「豆飛んだしゃがむ頭がゴッチンこ!」 海光

 
 節分とは、季節の節目〈立春、立夏、立秋、立冬〉のそれぞれ前日を指したのが由来とある

 暖も炭以外の手法のなかったその昔、陰気に閉ざされた冬はことのほか春が待ち遠しかったのだろう。厳寒の冬から暖かな風の吹く春にかけて、まさに1年の境という思いが強かったように思う。そんなわけで封建の豆まきは年の瀬に行われていたようだ。創作にあたって、こんなことも判る。旧暦、新暦、風習の違いに、古来の習わしを浮かべることができるのだ。

 そうしたわけで、先週末、節分の豆まきが行われた。

   
          熱田神社の豆まき

 わが町浅草は、神社仏閣が多い。氏神さまの熱田神社の豆まきから回る。ご縁がありますようにと、五円玉が入ったお豆をありがたくいただく。

  
             今戸神社の豆まき

 続いて、実家の氏神さま、今戸神社に向かう。

 神主さまとご息女の神官さま、氏子の町会の方々が順々に豆やお菓子を撒いていく。

 地方によっては、落花生を撒くらしい。落ちても拾って食べられると聞いて、なるほど勿体ない精神、大和人の知恵だな。

  

 熊手で有名な神社だけに、大鳥さまの面を被った神官が運をかっこめとばかりお祓いに興じてくれる。

 豆まきの後は、富くじを配ってくれた。

 当たり、外れもまた嬉しや悲しや。外れても、カップ麺やらえびせんやら入った袋をくれる。

 寒さも忘れる豆まきの行事は、大人も子供も楽しめる浮世の笑顔。

 ちなみに、入谷鬼子母神では、鬼を祀ることから、鬼はそとは禁句。悪魔~外というらしい。

   

 歳の数、プラス一つ多く食べる習わしに従って、ビールのともにつまんだ。

 立春も過ぎ、大陸から化学物質の偏西風が吹いてくる。春はもうすぐだけど、こんな大気汚染こそ、外に追いやりたいと思うのである

 鬼は~外 

 福は~内


 

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マラソンと坦々麺の関係!

2013年02月03日 | 呑み屋探訪(上野、湯島界隈)

   
     睦月19日大雪の日の雪だるま


 今日は節分

 わが町では、神社仏閣が多く、有名無名の紳士淑女の豆まきがあちらこちらで行われる。
 
 今年の睦月は寒かった。
 
 昨日は花見でも出来そうな麗らかな陽気。その暖気に誘われるように、梅の開花が伝えられる。春は確実に近づいているのだ。

  
              国立競技場スタート

 先週、そんな1月の終わりの冬晴れに、都心を走るマラソンに参加してきた

 東京に住んでいながら、何度申し込んでも外れる東京マラソンの悔しさから、〈新宿ハーフマラソン大会〉に応募して当選したのだ。

 前回は10kmの部、今年はようやくハーフに出られた。

 国立競技場がスタート、ゴールの贅沢なレースなのだ。

 9時の号砲とともに、出発する。

   
            新宿通り

 10kmでは走れなかった目抜き通りを走る。

 新宿通りを四谷方面へ。全車線とはいかないのが残念だが、これでも十分都会を抜ける爽快は味わえる。考えてみれば、神奈川、千葉、栃木のレースばかりで、都心を走るレースははじめてなのだ。

   
              防衛省前

 走りながらなので歪んでいる。すみません。

 数年前、タイアップ撮影でお邪魔した防衛省を正面に坂を下る。

   
             靖国通り

 靖国通りを坂を登りながら進む。丸井が見えてきた。

   
             伊勢丹前

 都会マラソンの醍醐味だ。

 ランナーたちのカラフルなウェアを見て走るのも一興である。

 信号付近で、住民の方、旅の方、係りの人と口論していた。

 告知不足か、信号を横切れないので、文句をつけていた。

 新宿区主催、オリンピック招致の宣伝もしているのだから、もっと告知をしておくべきだったのではないか。

 その後、要所で止められて、通行者を通していた。苦肉の策か。ランナーはその度に止められる。東京マラソンほど徹底されていないことが、走るものへのストレスだ。

   
   
         高島屋タイムズスクエア

 高島屋では、沿道の人がハイタッチで迎えてくれる。

 気を取り直して、渋谷区に入る。

 このコースを変則的に2周、外苑を含めて3周する。

   
         四谷-御苑のトンネル

 平日は渋滞のメッカ、御苑トンネルも、この日ばかりは貸切だ。

 景観は望めるべくもないが、馴染みの幹線路を走れるのは、気分がいい。

   

 車は一台もない。なので、排気ガスとも無縁。トンネル先の光を求めて、ひた走る。

 ランナーの足音が坑道内に響いて、走る気を充填させられる。

  

 再び、外苑に戻り、公園まわりを3回目のRUN。

  

 そして、競技場を周回。

 陸上選手でも、サッカー選手でもないのに、国立を走れる優越は代え難い。

 最後の力を脚力に込めて、駆け抜けた。

  

 家人がゴールシーンを撮ってくれた。

 よくオイラだって、わかったな。

 2011/5177(ハーフ総合) 841/1570(ハーフ40歳以上男子)

 あとで、判ったのだが、ラストスパートしなければ、2013位賞をもらえたようだ。

 年末の病諸々での走り込み不足で、記録は振るわない。

 アクアラインで痛めた膝はどうにか持った。はじめてハーフを走った記録より遅い、1h55min.

 こりゃ、歳だな(笑)

   
 
 ランナーの皆さん、どうもお疲れさま。

 沿道や競技場で声援を送ってくれた皆さん、励みになりました。ありがとう。

 走った後でも、11時と競技場の陽が暖かい。

 赤坂の希須林が休みなので、湯島まで戻ることにする。

  
             坦々麺 湯島〈阿吽〉

 幸いなことに、行列はない。

 荒川でサッカーをしてきた長男と待ち合わせて、湯島の名店〈阿吽〉へ。

 二男を誘うのは、マラソンより食い物だからなのだ。

   

 自分で動かす自動ドアーを開けて入る。

 こんな駄洒落を仕掛けるのは、横浜中華街で修行した店主のセンス!?

 息子たちには受けていたから、よかったね。

   

 21.1kmを入った自分へのご褒美に、生ビール!!

 汁あり、汁なしと悩むことなく、この店では汁なし坦々麺を発注する。

 何も言わなければ3辛、オイラは4辛を頼む!

  
             汁なし坦々麺 4辛

 本場四川では、汁なんて入っていない。それがスタンダードなのだ。

 この店でも、ほとんどが汁なしだという。

 クチコミを信じて、汁なしを家族で食す。

  
           汁なしをかき混ぜたところ

 中太の麺はもっちりとした触感で、存在感がある。

 箸をレンゲで持ち上げようとすると、見事に摺られたゴマペーストが腕にズシッと感じられた。

 かなりの濃厚。まるで、生クリームたっぷりのカルボナーラか胡麻パスタか、といった感じ。

 麺にふりかかっているのは、ゴマではない。四川特有の花山椒である。

 辛さも、唐辛子というよりは、山椒の痺れる辛さ。

 ビールに合う以前に、30分は痺れた舌が物語る、初体験をさらに刺激する。

 水菜とゴマペースト、小麦のよく練られた太麺があって成り立つ絡みの極み。

 横目で見る限り、汁なしが正解だと思う。

 癖になる坦々麺であることは間違いない。

 マラソンの後の疲れた内蔵にはいささか刺激に満ちた味。

 されど、オススメの汁なしである。


  「駆け抜ける都会の味はピリリとし」 海光


 さぁ、アニマル親子の豆まきでも見物に出掛けよう

 

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