著:いとうみく 画:つじむら あゆこ
2012年6月30日 第1刷 岩崎書店
「妹と アイス取り合い いち抜けた」
海光
同人のいとうみくさんの新刊
先日デビューしたと思ったら、もう2作目が刊行された。出版記念パーティーで売られていた準備のよさ。こりゃあもう、売れっ子作家顔負け、その素質充分ですな。
このお作、リズムとテンポが抜群
大人になってしまった今だから分かる、ナッちゃんこと、かいじゅうと呼ばれる妹はおねえちゃんが大好きなんだ。
大好きで、大好きで、だからいつでも一緒にいたい。
思えば、齢のはなれたうちの妹も背伸びしてよくおいらのケツを追っかけて怪我をしていたっけ。懐かしいな。
あっしも、上が欲しかった。お兄ちゃんがいたらなあ。何度も夢想したことか。だから、学生の時も、社会人になっても、先輩ができると無条件に敬愛して何でも話してきた。
信じて裏切られて人間不信になったこともあった。
でも、今ではすべての出会いが必然だったと思ってる。
ココねえちゃんもホントは分かってるはず。だって、おかたんの娘だもんな。
花やしきのジェットコースターのような物語。
もっと読みたいなぁ、この続き。
絵本の面白さが満載。
これが同人のみんなが言ってたいとうみくさんの実力なんだ。
成人向け、幼年向け、ぜ~んぜん関係ないね。
面白い物語に年齢制限はないのだ。
本を楽しむというシンプルな面白さが味わえる、出来立てホヤホヤ。
読んだら一日がハッピーになりやす。
今すぐ、書店かアマゾンへGO!!みなさん乗り遅れないように
普段、政治、思想的な言動はあまり好きじゃないのだが、今回はレポートという形でご勘弁願いたい。
2012年6月22日(金)首相官邸前の大飯原発再稼動反対デモに参列してきた
駅に降りると、一種異様な緊張感がある。三大宗教の聖地イスラエルでも目に見えない緊張感を感じた。怒り、思想、願いありとあらゆる人間の魂が呼応するのであろうか。
まず、飛び込んできたのは駅付近で立ち止まらないように、と案内する女性たち。彼女たちもまたボランティアで自然発生的に集まった人々なのか。大人しく従う人々の列はどこまでも続く。坂を下った。
福島を忘れるな!
そう、たった1年前に起きた東日本の惨状。そして人災ともいえる放射能汚染で家族分断生活を余儀なくされている人々。生まれ育った土地に暮らす、当たり前が叶わない人々がまだいるのだ。人類の平和な生活には脱原発しかありえない、と宣言した菅元首相だけをエスケープゴードにして、時の政権と2大野党は道筋なき再稼動に踏み切った。
茱萸坂を下るに随い、次第に熱気に取り囲まれた。
それもそのはず、そこにいるのはどこにでもいる普通の市民たちだから。
小さなお子さんを抱っこして駆けつけた主婦、声を張り上げていたのは学生服を着た中学生、高校生たち。戸惑いながらも、「再稼動反対」とつぶやくおじいちゃんとおばあちゃん。
こんなたくさんの市井の民衆が、いてもたってもいられずに集まったんだ。
陽が傾くほどに高まる「再稼動反対!」のシュプレヒコールの連呼。
太鼓や笛、拡声器を用いての叫びは、けっして威圧的でなく、願いそのものである。
これぞ、平成の蜂起である。
主催者発表によると、4万5000人が集まったという。
民放各局、新聞社、報道機関の知った顔もちらほら見える。
いまやスポンサーが牛耳るマスコミにあって、ほぼ抹殺されてきた脱原発デモ。
落合恵子さんを筆頭にした著名人、野党からもデモに参加していた人もいる。
NHKは黙殺。海外の数百、数千のデモは報じても、国論を二分する官邸前の4万5000人の民意は報じない。新聞も週刊誌も一面を飾ってもおかしくない特ダネではないか。
小川キャスターの姿に、淡い期待はかけてみた。
果たして、報道ステーションはやってくれた。開始から3番目のニュースで大きく取り上げていた。もちろん、そこには小川キャスターの熱意があった。古館さんの屈しないぞという気骨を感じた。
日本にも、ジャーナリズムは生きていたのだ。
今後、圧力はかかるだろう。屈せず、頑張ってほしい。
平成の天草四郎時貞は、ツイッターで呼びかけた介護士の若者だ。あらゆるメディアからシャットアウトされた情報も、交流を活かしたSNSは止められなかったようだ。思えば、アラブの春も新しい時代ならではの兆しであった。
消費税しかり、沖縄しかり、東北しかり、年金しかり、子育てしかり、嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれると、曾祖母から教えられて育った。
永田町も、霞ヶ関も、そう教えてもらえなかったのだろうか。
民衆は静かに怒りを蓄えているのだ。
うねりが始まった。
300人から始まったツイッターの市井の勇士たち。
この6.22は、4万5000人。来週にはもっと膨れ上がるだろう。
再稼動は止められなくとも、その後の原発の可否を問う世の中になってほしい。
偽政者の戯言に、何か一度はアクションを起こしたかった。
子どもたちに、子孫たちに、地球に住まう生き物、植物に、あの時どうして行動しなかったのかと、悔やむことはしたくない。
いまできることをしよう。
お百姓さんは田畑を耕す、漁師さんは魚介を獲る、作家は心安らぐ愉しい物語を紡ぎ、ジャーナリストは真実を表裏双方から伝えるのだ。
この再稼動反対デモも真実。一方、ほとんど報道されない日本の支配社会も真実。
手続きが便利だからと国民総ナンバー制を導入しようという、犯罪者を捕まえる最新技術だからとどこもかしかも監視カメラの目が光る。
近未来映画にみた恐怖が、ひたひたと忍び寄る不気味さ。
大切な事実を、当たり前に知ることができない真実から目を逸らすことはやめよう。
諦念、あきらめこそが、敗北なのだから。
平成のええじゃないか。
同人の前代表は封建の一揆を見事に描いた。
その本から、権力者は一揆、蜂起が起ったことを隠したがる生き物なのだと知った。
官邸前
同じ夜に、官邸では消費税や再稼動への道筋を話し合っていたようだ。
心穏やかならぬまま、高級車で立ち去る首相がこの国を導くのだ。
だが、このうねりは止められない。
何故なら、主役も主権も国民のものなのだから…。
来週の金曜日も、官邸前のデモは行われる模様。
大衆のなか知らず口にしていた言葉に胸が熱く、頭は冴え渡る。
観世音菩薩様を灯す光に、明日への希望がみえた気がした。
今夜の蜂起は、「紫陽花革命」と命名されたらしい。
ジャスミン革命のように、平和への歴史的な革命の日となることを祈る
「子どもらの 寝顔に祈る 夏の風」
海光
浅草駅ビル
「人力の 威勢で巡る 新名所」
海光
浅草駅の顔の一つ、浅草ビルがリニューアルした
これはご存じ東武が資本の東京スカイツリーの開業に合わせたもの。
80年前の創業時に限りなく似せた外観はネオ・ルネッサンス風のアール・デコ調とか。シックな昭和モダニズムが蘇ったのだ。
エノケン、深見千三郎、浅香光代、東八郎、渥美清、萩本欽一、ビートたけし、井上ひさし…。喜劇役者、作家の卵が闊歩していた浅草隆盛の画がみえるようだ。
銀座和光を彷彿とさせる、時計台がまたいい。
駅や施設をリニューアルし、東京スカイツリーはじめ日光や鬼怒川への玄関として生まれ変わった。。2階のコンコースには待合室を新設。1階には東武外国人旅行センターも移設。耐震補強工事も実施したとのこと。
一時、灯の消えかけたわが町浅草だが、単なる懐古主義だけでなく、新しい伝統を作ろうという動きが嬉しい。これもスカイツリー効果様様か。
このビルに入る松屋デパートは銀座店と似て異なる趣だが、さびれて淋しい。長年続いた屋上遊園地も閉鎖されてしまった。いまや、ビアガーデンで気勢を上げることくらいか。
銀座線改札から新仲見世に続く怪しい地下街。戦後を残した呑み屋は健在である。
紳士諸兄、どうぞご安心を。。
生まれ育った新吉原の見返り柳の電線を取っ払って、百目蝋燭を燈すことができるだろうか。かつてのように山谷堀に猪牙舟を渡すことが叶うだろうか。
せめて、創作の世界にその輝きを灯せたら本望である
先週のこと。同人「季節風」の3つのお祝いがあった
1つ いとうみくさんの「糸子の体重計」が初出版したこと。
2つ 高橋秀雄さんの「地をはう風のように」が青少年読書感想文全国コンクール課題図書になったこと。
3つ 堀米薫さんの「チョコレートと青い空」が児童文芸新人賞を受賞、さらに高橋さんと同じ課題図書に選ばれたこと。
1,2についてはこのブログで感想を書いたので省くが、堀米さんとは初顔合わせ。この日著作を購入できたので後日読んで感想を述べてみたいと思う。
いとうさんにいたっては、初出版記念なのに、もう2作目「おねえちゃんって、もうたいへん!」が会場で並んでいた。これも購入。二次会後、サインをもらい損ねたと思って開いたら「いとうみく」と直筆があった。
ラッキー
左から高橋秀雄さん、堀米薫さん、いとうみくさん。
ひと仕事やり終え、達成したあとの晴々としたお顔がまぶしい。
晴れやかな先達たちのお姿の後ろに見え隠れするのは苦しんだであろう研鑽の日々。
物書きという同じ土俵に立ち、こりゃ怠けられねえな、とおずおずと衿を正すのである。
越水さんの挨拶から延々とつづく祝辞に、季節風を取り囲む絆の深さを思う。
高橋さん、長年の苦心が報われましたな。おめでとうございます。
堀米さんには初めてご挨拶させていただいた。処女作が本になる類稀な才能の持ち主。震災を乗り越えた強さで力作を書き続けてくださいまし。おめでとうございます。
そして、いとうさん。季節風に入会した時から先を走っていた先輩。同人のなかの名うての実力者も、これだけ年数を経て、熟成させてのデビューなんだ。まっこと勉強になりやす。
いとうさん。ホント、書いてきたものが本になってよかったね。
夢が努力で目標になり、ついに作家として踏み出した日に立ち会えた。
発起人、実行委員の皆様、どうもお疲れさんでした。
同人の皆さんと絵描きさん、編集者たくさんの業界の方々にエネルギーを注入された。
こりゃ、負けてられねえ。
同人仲地さんにアドバイスされたことを実践してみようと思う。
やるしかない、やるしか
「入梅や 祝う笑顔の 目出度咲き」
海光
「軒先に 初夏を感ずる 祭りかな」
海光
6月2、3日は4年ぶりの熱田神社のお祭り
雨の予報も吹き飛ばす、担ぎ手たちの日頃の行状。神様ありがとうごぜえます。
鎮守熱田神社の宝刀として大切に保管されている、陰陽丸(おんようまる)。
全長368.5cm、刀身長280cm、茎長88cm。弘化4年(1847年)に、刀工、川井(藤原)久幸が製作したと伝えられる刀である。
安政5年にコレラが流行した際には、疫病除けのため浅草鳥越町を巡行した。
祭りのこの日、特別にお披露目された。お日様を浴びて光る、大太刀のなんと見事なこと。
神主さんの御祓いに、祭りの役員、青年部、担ぎ手や観客まで祭りの間の無事を願う。
町内神輿 子供神輿
大、小の神輿が境内に鎮座している。熱田さんのお神輿はこのように立派なのだ。子供神輿は、三社の本社神輿のようにサラシを巻いている。これぞ喧嘩神輿!!
曾ばあちゃんが生きていたら目を瞠っただろう。
昔は、女が神輿を担ぐとヤクザものと叱られたものだ。
太古から女性が強いのは変わらないが、現代では表だっても男は威勢で適わなくなってきたのじゃないか。
いやいや、男衆。気張ろうではないか。
そして、同日行われていたのは今戸焼きで有名な今戸神社の祭り。最近では縁結びの神様として女性の参拝者が後を絶たない。
この神社は沖田総司の終焉の地とも云われている。
4町会の連合渡御
先に紹介した「吉原御免状」の書き出しにもある日本堤。
土手こそ平らに馴らされてしまったが、この日本堤の本町会が新吉原育ちのあっしの幼い頃から親しんだ町会である。
スカイツリーと本町会神輿
こちらは日本堤の夜神輿。提灯が灯って、幼心に憧れをもったものだ。
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祭り最終日。いよいよ熱田神社の大人神輿。
三社祭に続いて、前棒の先頭を担がせてもらった。
気合が入るねえ。
祭りのクライマックス、宮入りである。
熱田さんはご覧のように鳥居の幅が狭いため、外側の棒を担いでいる者は、肩を内に入れ替えて宮入りする。
あっしも、左手前の担ぎ棒を担いでおりやす。
祭り好きに育った二男が頼もしい。
この時季は家のなかでも神輿を担ぐ真似をして、掛け声を張り上げている。
微熱もあったが、神輿を担ぎ、御祓いをしたら吹き飛んだようだ。
ご利益、ご利益である。
神様、今年はたっぷりと担がせていただき、ありがとうございました。
お祭り関係者の皆様、お疲れさまでした。
よお~~、 ← 三本締めっす
本神輿
熱田さんでは、再来年に大きな祭典を予定しているという。
神社の蔵に、見事な本神輿が納まっていた。
来年は今戸さんも本祭りだという。
これぞ、祭りごと、先々が愉しみである
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/3e/c56836945af93cc7bc2ae4750299d0be.jpg)
2012年3月31日付の拙ブログにて紹介した、熊澤南水さんから小包が届いた。
樋口一葉の朗読音源がつまったCDを頂いたお礼に、いくつか商売道具の本を送った。そのお礼にしては嵩があると思いきや、懐かしいアナログテープが入っていた。
嬉しいことにあっしの拙い創作を吹き込んでくれたのだ。
ところが、肝心のハードがない。CDラジカセも使わないと捨ててしまって久しい。
しばらく友人、先輩に聞いてみたがやはり時代の変遷激しく、なかなかに聴けない。
そこで、アナログテープからデジタル音源に変換する機器を購入したのだ。
メタルとか懐かしいですな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/6f/2acb094f9afb6557a3f7468e3a77ee7c.jpg)
◇拙作『下町長屋物語 -おかよの恋-』 by 熊澤南水朗読
http://www.myspace.com/1005079018
音質は雑音が交じっているが、それが時代を感じさせてまたよいように思う。
拙い文章も、プロの朗読にかかると魔法のように変じるから不思議だ。
ひとりベッドに横になり、目を閉じる。
文化文政の江戸新吉原の清掻の音、色街の嬌声が部屋を満たしていく。
空気が湿り気を帯び、心が広がり豊かになった。
南水さんとのありがたい出会い、粋な計らい。津軽女の江戸住まいの極み。
人は所詮孤独なもの。でも、一人で生きているのではないのだ。
ありがてえな。
ご愛読の皆さんもよろしければ聞いてやっておくんなさいまし。
『江戸住まい 長き苦労も 芸の肥え』
海光
熊澤南水作品CD『十三夜と大つごもり』
3月の朗読会