週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

大川の大輪

2017年07月30日 | ★江戸っ子エッセイ★




【腹響く大輪の花夏の雨】哲露


 お暑うございます。

 大川(隅田川)の花火大会が復活し、今年でもう40回とか。

 月日の移ろいは本当に早いもので。

 朝からどんよりと台風雲がちらほらと。

 ランニングしてると、シートを引く、浴衣姿の人々がいる。

 起きてから仕事の原稿を書き、イベントの打ち合わせをはしごした。

 案の定、夕刻になり、雨がパラパラと降ってくる。

 花火を打ち上げる時間になって、本降りに近く。

 四年前に中止になった悪夢が舞い降りる。

 ところがどっこい。

 7時5分定刻より、終いまで花火師たちは頑張った。

 TV中継見てると、外の観客も頑張ったと思う。

 夏の花火はもちろん、夏の雨もいいもんだ。

 うちはベランダからだから快適に見られた。

 ありがたや。





 今週は怒涛の6連ちゃんの飲み。

 こちらは、高田馬場のひなた。

 各部位ごとに、コースで食せるとんかつ屋とな。

 いい歳になり、揚げ物を敬遠する中、その概念を覆す衝撃があった。

 宮城の無菌豚なので、半生でも食える。

 これからウクレレを聴きに。

 熱く燃えたい、今年も。

 みなさん、ご自愛のほどを。

  


青いスタートライン in 茅ヶ崎

2017年07月22日 | ☆文学のこと☆


     「青いスタートライン」
       高田由紀子著  ふすい画
                ポプラ社刊 


【陽を浴びて海の神も夏休み】哲露


 夏真っ盛りである。

 早いもんで、海の日がきた。

 海の日の三連休におとなしく都会でうだっててはいけないのだ。


 




 上野駅から湘南ラインに乗り、一路茅ヶ崎へ。

 たった一時間。

 海好きのあっし、ビールも飲めるこの利便性に毎度感謝。 


 




 今年の海の日は、浜降祭の日でもある。

 相当数のお神輿が海に浸かり、禊をする。水の力、水の霊力によって御神威新たな神々を奉迎する神事とか。

 白装束を身に纏った茅ヶ崎の担ぎ手たち。

 夏の日差しにも負けず眩しい。

 とっても歴史あるお祭りなのよ。





 サザンビーチに打ち寄せる波の音。

 照りつける太陽の下のビール。

 波が強いから、ボディサーフィンだけでも楽しい。 

 潮騒に身を任せて、ボォーとしてるだけで癒される。




 同人の高田由紀子氏の新刊。

 平日に読み出したら海に行きたくなっちまった。

 読みかけを茅ヶ崎のビーチで読む。

 なんて贅沢な休日。

 そんなん思うのは俺だけか。

 秋の合宿で、この原型を生原稿で読んだ。 

 主人公は小学五年生の男の子で、都会っ子の颯太。

 妊婦のお母さんは体調を崩し、静養が必要という。

 夏休みを利用し、おばあちゃんが暮らす佐渡島へ旅する。 

 去年まで和気藹々と喋ってくれた、一学年上のあおいが妙によそよそしい。

 網戸から吹く風、真っ赤なスイカ、蜩の声。

 佐渡の夏に押されるように、ひょんな勢いで一キロの遠泳大会に臨む。

 心に傷を抱える夏生との出会いが、登場人物それぞれに微妙な変化をもたらす。

 よく喋り、良い子過ぎる颯太に違和感も憶えた。

 だが作者のキャラクターを思うと、なるほどこれも一つのリアルだと頷く。  

 忖度やら、裏側の空気まで察するようになった汚れちまったあっしには、

 眩し過ぎる佐渡の海である。

 直球ど真ん中の高田氏の作風が好感を持って読まれる世であってほしい。

 日本の正しい夏がここにある。 





 都会に戻り、元祖中村屋のチキンカレーを食す。

 戦時下の配給時、米の券を中村屋へ持っていくと、なんとカレーライスを振舞ってくれたという。

 お米も当時では信じられないほど美味しかったとか。

 幼い頃の記憶は増し増しだろうが、そんな追憶ならいくつあっても良い。 

 合宿で読んだ物語を、ここまで仕上げた作者の努力を想う。

 その真摯にたじたじとなりながら、心の中の海へ出かけたくなった。

 それにしても美しい絵だ。

 少年少女たちの若い記憶に、一人でも多く残って欲しい物語である。 


ほおずき市

2017年07月16日 | ★江戸っ子エッセイ★




【鬼灯に扇子の風をそよそよと】哲露

 

 朝から植木やら観葉植物に水をやる。

 ついでにベランダに水を撒いたら気も涼しい。

 文月、一年も最も大好きな季節。

 ランニングして、飛び込むプールの気持ちよさ。

 先週は、浴衣を羽織り、鬼灯市へ出かけた。







 


 四万六千日のお利益があるというありがたい日。

 鬼灯の売り子の姐さんに見惚れつつ、カラコロと会津桐の下駄を鳴らす。

 市井の民の平穏を祈る。 





 文扇堂の団扇が目に涼を与えてくれる。

 金魚すくいに興じる後輩。

 お江戸の夏の風物詩。

 旅の異国の人の目にどう映っているのだろう。

 日本を、浅草を愛してくれたらいいな。



 


 シャンパンにキャビア、穴子天に吟醸純米。

 飲んだ帰りに、また寄った。

 ライトアップされた夜の市もまた格別だ。

 頬に紅が射した女っぷりの上がることよ。

 こんなとき、川辺に住まう優越を感じる。






 平日の日本橋。

 往時の江戸では、トロは捨てるもの。

 そのトロを寿司として流行らしたのがこの吉野鮨さん。

 トロ発祥と言われるお店の昼にひと時の癒しを持つ。

 酢飯に砂糖を入れない、昔ながらの握りこそ、江戸前といえよう。

 川風が心地よい、夕下がり。

 この連休には各地で祭りも。

 皆さん、どうぞ夏の良き思い出を。


 


元祖冷やし中華

2017年07月08日 | 呑み屋探訪(九段下、飯田橋、神保町界隈)




【涼麺に心躍らす本の町】哲露


 朝顔市の季節がやってきた。

 この蒸し暑さには、鬼子母神も恐れ入るどころか茹っていらっしゃるかもしれない。

 同時期に、かっぱ橋本通り商店街では、七夕祭りをやる。

 こちらの方が浅草から上野にかけて、延々と続く露店が出て面白い。

 そして、夏といえば、ご覧の冷やし中華が食いたい。

 かの池波正太郎が通った、揚子江飯店だ。

 巨匠は上海風の焼きそばを好んだようだ。

 何を食べても旨いが、あっしは何と言っても元祖冷やし中華派。

 この芸術的な盛り付け。

 まるで富士山を制覇するように、麺をたぐる。

 江戸っ子はやはり練り胡麻じゃなく、酸っぱい醤油味だな。 

 これに自慢の焼売がつく。

 あとはビールがあれば何もいらない。

 今宵は立川談慶師匠の国立演芸場がある。

 打ち上げで連載の話もできたらいい。

 会社では初のCM撮りも行った。

 何かとイベントごとの多い夏である。

 鬼灯、花火とあっという間なんだろうなぁ。

 みなさん、暑中お見舞い申し上げまする。 


【連載】異国を旅して -韓国篇7 熱狂-

2017年07月02日 | 【連載】異国を旅して




【七夕の短冊代わり願い込め】哲露


 イムジン河から戻る。 

 若者の街、明洞。

 楽しげに買い物している一方で、政治に関心のある若者たちが集まる。

 ここはソウル。

 日本ではない。






 朝の広場に戻ると、すでに大勢の市井の民が結集していた。

 ものすごい数だ。

 反原発の国会前どころではない。

 この国民性の違いはなんだ。

 逞しくもあり、そのパワーの源を知りたいと思った。







 


 とにかく、ソウルの街の中心部のあちらこちらで集会が行われている。

 楽器が鳴り、呼び声が高らかに、プラカードも様々だ。

 夕暮れが近づくにつれ、みんなの祈りを込めたLEDの明かりが灯る。





 わたしは幾つもの駅に渡り、歩き、立ち止まり、この目と体で人々の熱を感じた。

 広場や川辺、どこへ行っても朴政権への抗議。

 群衆を突き動かすエネルギーは怒りか。

 東西南北、360度。

 人、人、人。

 全方位からも人の波が押し寄せる。

 若者も多いし、老若男女切れ間ない。

 それは日が落ちても止まらない。







 この騒ぎがあっても、朴政権は反省の弁を述べて、地位に止まる発言を繰り返した。

 それはかの国の政治家と同じ。

 違いは、わたしが咋秋帰国後も、大規模のデモが続けられたことだ。

 そして、民衆は政治を動かした。

 継続することの重要性を目の前で突きつけられた。

 わたしは何をしているのか。

 諦めたら終わり。

 けだし、代わりはいない。

 だったら、私たちで作っていくしかない。

 諦めたら、真にお終いなのだ。





 この日は一人、北へ行き、大挙のデモの熱を浴びた。

 激烈な人々のエネルギーを肴に、一人静かに酒を傾ける。

 国民性の違いをまざまざと感じながら、我が国の、子供たちの行く末を想う。

 過去に学び、自分で思考し、毅然と行動する。

 このことの大切さを、異国で学んだ。

 ソーメンのように細い、牛骨スープの冷麺を啜り、感傷を噛みしめる。

 付け合わせのキムチはどこまでも旨い。

 店だけでは飲み足りず、発酵マッコリをひと瓶買い、宿で飲み続けた。

 酒だけは以前飲み続けている。

 はて、文学とはいかに。

 デモの喧騒から離れるほど、心の襞にその焦燥が襲って来る。

 白濁の酒精をチビチビと舐めながら、異国の夜が静かに更けていく。

 7月2日。

 今日は都議選だ。

 未来への一票を欠かしてはなるまい。

 平和を願う皆にとって、良い日曜になるといい。

 心からそう祈る。