「友だちをやめた二人」
著:今井福子 絵:いつか
文研出版 2019.8.30初版
「縁側の猫が伸びして祖母の味」不埒
メール、SNS全盛の時代。
時折、家に届く葉書や封書は嬉しいもの。
今井さんから届いた封筒を開けると、真新しい一冊が入っていた。
毎日小学生新聞の連載が形になったものらしい。
タイトルが意味深だなと感じつつ、ページを捲った。
七海と結衣。
幼馴染でいながら、クラスでのグループは別だ。
活発ではっきりと物言う結衣に対し、引っ込み思案な自分は正反対の性格と信じる七海。
七海の祖母を媒介に、お互いに似た者同士と気づくまでの、七海と結衣の葛藤、そして人間味が丁寧に紡がれている。
ストーリー性に引っ張られる自分にはできない、人を描くと言うことを、
とてもしっくりと理解できる改作だった。
友だち以上、親友未満。
傷つくことを恐れてしまう傾向は、昔より手軽に繋がれるSNS時代だからこそ強いのかもしれない。
一歩前に踏み出す勇気。打ち明けた後の関係性の変化。
十分おっさんになった今でも、本音を、勇気を振り絞る瞬間は怖い。
心の内を解き放てた時の心細さと爽快さを、つい最近も味わった。
いくつになっても人間とは弱いものだとおもう。
同人に入会し、書き始めてから9年になる。
そろそろ形になるよう動かないと。
今井さん、素敵なご本をありがとうございました。
次回浅草で呑みましょ!
海光哲拝