週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

初夏の匂い。

2013年05月27日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
             江戸風鈴と植木

  「風濡れてチリンの音や腕まくり」 海光

 毎年皐月と水無月のおわり、観音裏の浅間神社を中心にお富士さんの植木市が行われる

 丁度、三社祭と今戸祭の間にある、癒しの下町の催し。

 強くなった陽射しに火照る首筋の汗を拭うと、町の路地裏に風が抜ける。

 江戸風鈴の音が、一葉通りに木霊する。

  

 子供たちは、屋台が大好き。

 ばらばらに散った中学。

 地元で育った仲間が集まるのも、季節の風物詩ならではでいいよね。

 たこやきに、ヤキソバは定番だが、おいらの小さい頃になかった、タイラーメンがおいしそうだ。

 富士宮の新名物やら、チキンステーキ、シャーピン、フリフリポテト、から揚げを次から次へと頬張る姿がたのもしい。

 腹いっぱい食べられるのも、若さゆえの才能だ、とつくづく思う。

 
               浅間神社 

 三社祭で一斉にあがる夜神輿の舞台、お富士さんの浅間神社。

 この日ばかりは、ご開帳。

 一年分の御礼参り。

 二礼二拍手一礼。

 今年もいいことありますように!

 
            ツリーと東京ホタル 

 陽が落ちると、大川に人が並ぶ。

 二年目の、東京ホタル。

 朝、隅田公園を走るとはやくもカメラの場所取りをしている人もいたくらいだから、大きなイベントになっているんだろう。

 いつもの、広場に白い砂が撒かれ、白浜のようだ。見慣れない、屋台が競い、カクテルをこさえる若者の元気が気分いい。

 隅田の流れに、本物のホタルが見られる日が来るのだろうか。

  
        桜橋から流れるブルーのLED 

 約10万個の青いLEDが川面を染める。

 スカイツリーのブルー(粋)色の点灯と、夜空に輝く。

 新鮮なコラボレーションだ。 

 8時になり、ツリーの点灯が消える。

 東京オリンピック招致のための、特別な5色の灯りに切り替わったのだ。

 大勢の観客が流す、いのり星にうっとりと、夜の公園を散歩した。

 今年は雲に霞み、ビッグムーン(満月)はおやすみとな。

 あー、麦酒が旨い!

 浅草は、いま初夏の香りでいっぱいである


お祭り三昧!

2013年05月19日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
          宝蔵門前にて

 お祭り日和である

 前週には神田の新調したお神輿が4年ぶりに練り歩いたとか。雨と翌日の潮干狩りで見学こそ断念したが、2011年当時を振り返ると、祭りこそ庶民の再生の源の一つであると思う。 

 金曜のびんざら舞から始まった三社祭。

 土曜はやること多しで、朝ランニングでカラダのスイッチを入れて戻ると、仕事のトラブルの連絡がジャンジャンと鳴っていた。結局、処理しているうちに、午前中も終わってしまい、いちばんの大神輿も担げず、夜の仲間のお祝い会の台本も手を入れられずという有様。

  
               浅草寺裏手 

 それでも、こうして午後から祭りに飛び込めば、そこは江戸っ子。血が再生する。

 連合渡御といって、44町会の大中小のお神輿が、浅草神社に順々と詣り、お祓いをする儀式なのだ。そう、大人神輿から子供神輿まで分け隔てなく、神様をお運びする神輿をお祓いする。

 
              浅草神社境内 

 威勢良く境内へ入る。

 担ぎながらなのでゆがんでいる。本社前でお神輿を掲げ持ちお祓いをうける。

 天気も上々。なんと晴れ晴れしいことか。

   
           本堂前の賑わい 

 権現さまを出ると、聖観世音菩薩さまのいらっしゃる浅草寺でお神輿をさす。

 天に向かって、神輿を腕一本で担ぎ上げ、担ぎ棒を叩くのである。

 大勢のひとの見守る中の渡御は、気持ちがいちだんと高揚する。

 この日夜神輿は息子に任せて新宿へ向かう。

 季節風の仲間のお祝い会だからだ。

 主賓のお一人、いとうさんのリクエストに応え、祭り半纏のまま大江戸線に飛び乗る。

 三社祭とは無縁の人々の視線を受けつつ一路NSビルへ。

   

 いとうみくさん、「糸子の体重計」児童文学者協会新人賞を受賞

   

 近江屋一朗さん、「スーパーミラクルかくれんぼ!」集英社みらい文庫大賞優秀賞を受賞

 近江屋さん、いとうさん、改めておめでとうございます。

 また、サプライズで、せいのあつこさん、「パン食い」児文協長編児童文学新人賞佳作を取られたということで、親分高橋秀雄さんから花束を祝辞を述べてもらった。

 おめでたつづきですな。

 それなのに、おいらは慣れぬ司会に台本を読んで心を落ち着かせていたが、同人の冷やかしを受けアドリブにしてみた瞬間、ご担当のお名前を間違える始末。とほほ。

 それでも、晴れやかで、おめでたい同人の顔を見て、花束に包まれた祝辞に耳を傾ければ、刺激を受けること多しでござる。

 祭り半纏をまとい、近江屋さん、いとうさんのロングセラーを祈願した。

 お二人とも、新作がつづくとか。祈願するまでもなかったかと、感心しきり。

  

 ここでこの夜は完全に電池切れ。二次会をドロンした。

   
            浅間神社前

 翌朝は比較的のんびりと過ごす。

 ここのところ、息つく暇がなかった。

 たまにはこういう時間がたとえ1時間でも必要なんだな。

 10時半から大人神輿を担ぎ、午後の本社神輿に備える。

 浅間神社と浅草警察署の前で、象三の半纏が勢ぞろいして待ち構えた。

 二之宮の頭は擬宝珠。そう天ぷらを脂を擬宝珠にこすりつけの、擬宝珠の形である。

 本物のお馬さんが登場し、地に響く熱気と人の怒声が飛び交うといよいよお出ましなのだ。

    
           本社神輿 二之宮 

 最初は押し合いへし合い、一つのケーキを取り合う様である。

 その殺到も、10分もすれば落ち着く。

 おいらもたっぷりと担がせていただきました。

 中学に上がったばかりの息子も、気合十分、何度もトライして友だちと本社神輿を見事担ぎ上げたのでござる。

 いつまでこうして息子と神輿が担げるものか。

  

 景気のいい、三本締めでことしも無事に渡御を終えたのだ。

 担ぎ手の皆さま、青年部の皆さま、ほんとうにお疲れさま。

 喧嘩もあった。

 三社権現さま、来年も担ぎます。

 どうぞよろしゅう


海だッ!潮干狩りだ!

2013年05月15日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
             木更津の海

 どピーカンの日曜日

 木更津まで足を伸ばした。

 前日までの低気圧もなんのその。よくぞ晴れて暑くなってくれた。

 近来稀に見る皐月晴れに、心も浮き立つのである。

   
          みまち通り商店街

 木更津駅に降り立ったのは、昨年の第一回アクアラインフルマラソン以来のこと。

 干潮の10時を前に、野口情雨の詞で有名な證誠寺に向いて裏通りを歩くと、みまち通りに出る。

 さっそく、たぬき殿がお出迎えだ。

 
            塩浜公園前の漁港

 漁船が立ち並び、南国のやしの木が旅情をかりたててくれる。

 奥にみえるは、中ノ島だ。

   
             中の島大橋

 中の島大橋は、拙ブログでも何度か取り上げてきた。

 高さ27m、全長236mは、日本一の高さの橋だという。風も穏やかなこの日でも、頂上につくと強風に見舞われる。

 夕景には、富士山を望めることから恋人の聖地の異名もある。

 映画やドラマにもなった「木更津キャッツアイ」のロケ地としても有名で、男女がおんぶして渡ると、永遠の恋が叶うというから可愛い伝説ではないか。

 永遠の恋。こんな願望を持てる若さが羨ましくも、懐かしい。

   
            木更津海岸

 遠く、はやくも干潟になった潮干狩り場がみえる。

 この晴天、到着する10時過ぎの時点で、大賑わいだ。

 かつて江戸時代にも、対岸の品川では春の浅利狩りが季節の風物詩であったそうな。浮世絵に見る庶民の暮らしぶりに頬がゆるむものである。

   

 今年も出版健保組合の歩け歩けイベントにのっかってやってきた。

 熊手と網、タオルまで用意してくれる。

 潮干狩り好きとしては、これを利用しない手はない。

  
           中の島公園

 いやァ、大漁、大漁でござる。

 大粒揃いの貝がザクザク採れる。

 足掛け10年以上通っているが、こんなに愉快な漁はない。

 天候も幸いして、獲物を横目に、天然芝で飲むビールが格別なのだ。

  
         陸上自衛隊のヘリコプターの編隊

 昨今のきな臭い国際情勢の影響下、陸上自衛隊のヘリが頭上を飛び交い恐ろしいほどだ。

 そう思って、帰宅後調べたら、航空ショーが開催されていたらしい。

 会場ではファンから歓声があがったそうだが、模擬戦闘、機動飛行とはいえ、駐屯地のデモ飛行でさえ、素人目には不穏を感じる。

 沖縄や基地が日常にある人々の不安が計り知れないとおもった。

    
            内房線の車窓

 そんなことをツラツラと考えたり、史実の資料を読み耽る。

 限定の赤いホップに喉を潤しながら、今晩の潮出しと料理を想像する時間が貴重なのである。

  

 ハマグリは二個、あおやぎは三個、大粒の浅利はご覧通りの大漁でござる。

 一晩中、触覚を出して、ピューピューやってるアサリはかわいい。

 命をいただくからには、心していただこうとおもう。

 ボンゴレに、スンドゥブ、味噌汁に、潮汁、クラムチャウダーetc。

 白をキンキンに冷やしておこう。

 潮干狩りは、狩りから潮出し、料理と片付けまで、まさに男のスポーツなのである

 
 


浅草十二階

2013年05月06日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
            白髭の鯉のぼり

 世はゴールデンウィークという

 三日、四日重なっただけで、ゴールデンとは日本人とは根っからの貧乏性なのだろう。

 もっとも、お江戸の頃は休日というものがほとんどなかった。 

 その代わり、陽が上り働き始めたらすぐに休憩、昼餉を取ったらすぐ御八つの時間と。お店ものんびりとしたもの。お武家も時計やスマホに振り回されることもなく、悠々と職をこなしたことであろう。

 生産者である農民だけは働き詰めだったということか。お百姓さんは昔から偉かったのだな。

 写真は、東白髭公園の350尾の鯉のぼりである。

 消防車も出張って、フリマも大賑わい。大川の向こうではこんなイベントもあるのだ。

  
          真崎稲荷の見える隅田土手

 四連休ということであるが、子供たちは連日のフットボール。

 遠方へ出掛けるでもなく、朝は大川土手を走った。

 日々座りっぱなしの仕事で重たい躰だが、四日目には実に軽くなった。

 人間、躰を動かして働くことのほうが、いたって健康を保てるということだ。

 いつもは、河口へ向かうRUN。このGWは、上流へ向かって普段走らない隅田川の両岸の土手の上と下をゆく。

 面白いもので、神田で手に入れた、清親や広重などの浮世絵などをみつけた。

  
               浅草瓢箪池

 大正7年作の浅草公園の画である。

 十二階も見える往時の活況が伝わってくる。

 そう、浅草は日本中の活力の中心だったのだ。

 双発機が飛んでいるのはご愛嬌か、そんなこともあったのかと想像するのも楽しい。

 昨今、戻ってきた感のある賑わいがつづくとうれしい。

 来週には神田祭の本祭が四年ぶりに、17日から三社祭、25日はお富士さんに、消防殉職者慰霊祭で江戸火消しの梯子乗りが見られる。http://members2.jcom.home.ne.jp/ichikondo/05%20shouboujunshokushaireisaiyayoimatsuri.html

 また、大川がブルーに染まる東京ホタルとわが町の魅力が尽きない。http://tokyo-hotaru.jp/


   
              凌雲閣

 浅草に威風を誇った十二階。

 当時のお人は、そこから何を眺め、思ったことだろう。

 差し詰め、この連休に列をなす、スカイツリーのごとし名所であったことは間違いない。

 関東大震災で崩れ、最後は軍に爆破された。

 荷風大人もそこに立ったとある。

 それを模した、仁丹塔なるものが、雷門通りにあった。

 つい最近まであったのだが、いまやそれを知るものも減っている。

 全そで唄ったカラオケ屋もそこにあった。



 手柄岡持の狂歌を一つ。

「水ごゝろなければ質もながされて袷のぬきできるもきられず」

 朝夕と昼の温度差が激しい。それは江戸の頃も同じだったようだ。

 (袷にしようと綿入れから綿を抜き取ったまではいいが、袷は質流れになってしまった。まさか綿を纏うわけにもいかず。水ごゝろとは、水練の心得。抜き手と掛けてこの季節柄を詠んだ見事な歌である)


 当たり前が、当たり前でなくなるのは世の常。

 せめて、浮世を心に留めておきたい。

 そのために草紙に紡ぐのでござる