週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

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学生BARからの旅立ち

2012年02月28日 | 呑み屋探訪(銀座、新橋、築地界隈)

                   
                   あるばかのスタッフたち

 2月27日(月)のこと。このブログでも何度か触れてきた、新橋のBAR「あるばか」に再訪した

 思い起こせば、2011年の夏の高尾山で出会った鶴岡君(写真中)とのご縁で知った店。

 このお店。学生アルバイトちゃうよ。学生だけで経営するれっきとした学生主体のBARなのだ。彼は二代目の代表の一人。SAKU(写真右)君と二期のメンバーとともにこの2月いっぱいでお店を卒業する。最後の見納めに立ち寄ったのだ。

 ひっきりなしに訪れるお客さんに、彼らのひたむきと人柄が垣間見られる。

           残波ロック

 生麦酒を一杯飲んだあとは、焼酎で売る店のオススメのまま、「ひとり歩き(芋)」のお湯割りを頼む。「くじら」最後は泡盛「残波」を。

           特製の燻製

 何度食べたことだろう。あるばかオリジナルの燻製は、本当にいい味を醸している。

          

 あるばかに集う人々の熱い思いが詰まった「夢ノート」。初めて来店したときに書いた文章にコメントしてくれたぜっきーこと、今関さんも同時に卒業。入れ替わりで会うことができた。聞くとなんでも食に携わる仕事に就くという。ここで学んだことが活かせる職場のようだ。その瞳が水晶のごとく輝いていた。

                出汁巻き卵

 鶴岡君じきじきに出し巻き卵を焼いてもらう。彼の焼いたものを食べるのはおそらく最後になるだろう。

 あるばかではその都度カウンターに立った学生たちが焼いてくれる。なので、個々に味わいが違うのである。

 甘くない卵焼きを注文する。トッピングのチーズやらなんやらはなし。シンプルこそ味の違いが際立つのだ。

 男、鶴君の出汁巻き。真っ直ぐな気持ちのこもった味。しみじみと滋味深い。

 彼が歩いた、あるばかの1年半が凝縮されていた。
 
         

 この春には企業家として社会の荒波にでていくそうだ。しかも内定した会社へ行く選択を断って、自ら立とうというのだ。これぞ冒険心だろう。あるばかで様々な人々と出会って、その経験が若い勇気を後押ししたようである。

 閏年の2012年2月は、明日の29日まで。

 この店で出会った4年生たちに学ぶこと多し。出会えたことに感謝する。

 今度は社会人として飲もう。

 http://ameblo.jp/bar-arubaka/page-6.html#main(鶴君の卒業の言葉)

 3月からはぎんたさん(冒頭の写真左)始め、3期のメンバーが背負って立つ。

 どんな展開になっていくのか。学生BAR「あるばか」から目が離せない



     「新橋の 地下で学生 花種を蒔く」
                          海光



     

 ◇新橋「あるばか」◆

 東京都港区新橋4-15-8 B1F
  080-5867-6722
  http://arubaka.com/
 http://ameblo.jp/bar-arubaka/(スタッフブログ)

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吹雪の赤門で!

2012年02月26日 | 呑み屋探訪(上野、湯島界隈)

             百楽門

 2月17日(金)のこと

 雲ひとつない昼の青空から一転、夕方から雪が降り出した。会社を出て、本郷についた頃は、まるでじょっぱりの国にいるように吹雪いてきた。赤門から入ると、東大第二食堂まで暗い道が寒々しくどこか異郷を旅している感覚すら憶えた。

             生協本部第二食堂のビル

 バスターミナルを越えた向かいと、教えてもらいようやく辿り着く。ホントに凍えるようだ。旧きよき石の螺旋階段を回って、2階の第二食堂へ。外の裏淋しい景色とは正反対に、会場となる第二食堂は酒飲みたちの熱気で溢れている。

        日本酒祭
        第二食堂

 3銘柄利き酒セットや、久保田セット、復興支援セット等10セットが全部完売とか。大盛況はいいが、ここまできてのとほほである。レジの横で、4合瓶を売っていたので迷うことなく購入する。

        純米「百楽門」と学食のおつまみ

 この奈良の純米酒が当たりであった。さすがに酒屋さんが持ち込んだだけある。「百楽門」という純米。名もまたいいではないか。250~300円の立ち呑み屋によくありそうなおつまみをチョイス。ビンゴは外れたが、この会場の熱に触れられたのは正解だった。 

            日本酒祭の案内状

 200名の来客を想定したところ、300名を超えてしまったという。そりゃ酒のセットも足りないわな。学生に教授、一般人までこの悪天候にこれだけ集まるのだから、日本酒愛好の同志たちに親近の情がわく。

 横殴りの雪で前が見えないほどだ。

 東大生を取材していた先輩が合流し、根津に下った。いつもの、なじみの湯島へ移動。

 終電前に店を後にする時は、雪がやんでいた。

 風変わりな天気と趣向にまみえた、愉快な週末であった。

 パワーアップすると云っていた、2013年の日本酒祭に期待しよう    


       「銀世界 集う呑んべえ 300人」
                         海光

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観音裏の愉悦!

2012年02月24日 | 呑み屋探訪(浅草、根岸、本所界隈)

            かしら焼き

 馴染みってほどでないが、たまに行きたくなる地元の名店がある

 ザ・居酒屋然といった佇まいは、観音裏にあって一種独特の風格を漂わせている。新しい旧いではない。常連や地元民と女将さんたち、店と客の永年の付き合いがそう見せるのだ。

 鉄串に刺した、かしら、ハツ、舌を焼く女将の視線は真剣そのもの。烏賊やトマト、糠漬けといった注文に応じ、手をこね、包丁を入れる様を見ているだけで、すっかり安心して酒が進んでしまう。

 注配道場という名を掲げるほどだから、その種類と奇抜さ、こだわりは特筆ものである。わざわざドリップした珈琲を持ち込む常連もいるというから面白い。梅酢、黒酢に始まり、ミルク、珈琲、番茶、蜂蜜、コーラと続いて、三色割。どれも丁寧に仕事をされた割ものなのだ。もちろん、生のレモンやかんきつ類も豊富。チェーン店で供される薄いのを想像するとガツンとやられるよ。ここのはめっちゃ濃い原酒が並々と入っているのだ。

            抹茶割り

 昼のぬる燗でべっとりした口中には、さっぱりと麦酒と抹茶割りが程よい。

 
                ハツ焼き                              タン焼き
 
焼き物は切り分け皿に。ステーキのように盛り付けてくれる。唐辛子でなく、辛子にレモンがまたうれしい。注配が頼みたくなる。

        もつ煮

 一人前頼んだら、小鉢に二人分分けてくれた。こんな気遣いも下町の女将ならでは。素朴な味付けに、白ネギがたっぷりと盛られているのがまたいい。     

        馬刺し

 綺麗なサシが入った馬刺しは生姜でいただく。


        糠漬け

 この店のよいところ。目の前で捌き、叩き、焼いてくれるところ。

 ご覧の糠漬けも、その場で糠味噌から出して、丁寧に刻んでくれる。女将の手先を見ながら、味の素のかかった漬物で一杯やるのもたまにはよい。本来は味の素は無用なんだが…。郷に入れば郷にいるのだ。

 程よいといいながら、結局何杯飲んだことか。あ~これだから、のん兵衛はいやだ。でも親しく辛辣、喜怒哀楽のネタを肴にした連れとのおしゃべりに、酔い心地は醒めないのである。最後は、我々の話が気になっていた常連さんとも交わり店を後にした



       「ばあちゃんの 糠漬け恋し 春の宵」
                            海光


  

 ◆浅草観音裏「御来屋(みくりや)」◆

 台東区浅草3-25-2
 03-3875-0626
 http://gourmet.livedoor.com/restaurant/23303/evaluation/detail/216717/183301/


 
 

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吾妻橋の藪!

2012年02月21日 | 呑み屋探訪(浅草、根岸、本所界隈)

          藪のもり

 さる週末の土曜日。やぶに行った

 リニューアルした並木に行くと案の定の行列…。とっさに機転を利かせて、駒形橋を渡る。

 そう、通の方はお分かりだろう。吾妻橋の藪が駒形橋の本所側に引越ししているのである。越してからは初めての来店。RUNNING中に前は通りかかっていたものの、真新しい暖簾をくぐるのは気持ちいい。

     
            菊正宗上撰                   蕎麦味噌

 橋を渡った角にある新店舗は、白壁に白木で統一されて清潔感がある。店の中に入ると、外光が燦々と明るく開放感があって、居心地がすこぶるよい。大切な客人を連れていたので、並木の列に並ばないでよかったと安堵する。

          とりわさ
 
            山葵漬け                     白菜漬け

 実が入った濃い目の蕎麦味噌があれば、ほかにつまみはなくともいいくらいなのであるが…。

 とりわさに、いたわさに、山葵漬けと山葵づくしに、午酒がすすむ。昼に飲むのは罪深い分、至極酔いやすいのである。

          もり小
          蕎麦湯

 醤油ほど濃い色をしたつけ汁だが、かえしの鰹風味が鼻を通る。細めで緑がかった蕎麦は健在。まつやの角が立ったそばに近く、硬さが好ましい。やぶの中でもあっしはこの蕎麦切りの食感を贔屓にしている。

 銅製の急須も冷めにくくよい。

 リニューアルでちと心配したが、変わらぬ老舗に幸せを感じた午(ひる)のひと時である


          「そば切りに 春をたぐるや 吾妻橋」
                             海光



   

 ◇吾妻橋「やぶそば」◇

 墨田区吾妻橋1-11-2
 03-3625-1550
 http://r.tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13007981/


  2012年TOTAL RUN  266km    2月21日現在  

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戸隠の夜!

2012年02月17日 | 呑み屋探訪(恵比寿、渋谷界隈)

                    戸隠そばのざる

 とある週末、学生時代の同期と恵比寿に降り立つ

 今宵の目当ては、久しぶり信州そばの「なゝ樹」である。

 本格的な戸隠のそばに、信濃の地のさくら肉、野沢菜や山菜が味わえる名店だ。

 寒冷地ならではの風味豊かな素朴は、洗練とは対照的に、発作的に食いたい衝動に駆られるのだ。

 古民家の寛ぎ。

 まさに、都会のオアシス。迷える大人の安全地帯なのだ。。

              

 この時季は熱燗に限る。なめたけのおろしのお通しが添えられている。うれしいねっ。

          馬刺し
          公魚の天ぷら
          蕎麦コロッケ
 
 さくらと呼ばれる、馬肉の刺し身が分厚い。極寒の湖を泳ぐワカサギの白身はどこまでも脆く、淡い。塩の加減を愉しめる酒飲みの供である。熱々の蕎麦粉は重量感たっぷり。

 見事な色の出汁巻きや厚く切った板わさと山菜、馬のもつは歯応えがあり、あくまでも淡白である。噛むと信濃の草原を駆ける駿馬の爽快がみえるようだ。

          出汁巻き
          ご存じ地鶏の…
          馬のもつ煮
          かまぼこと山菜

 5年で居酒屋を6店に広げた友、生え抜きで奮闘するメーカー勤めの友等の苦悩と賞賛、研鑽と歓喜をつまみに飲る盃は、なによりの安堵をもたらしてくれる。過去にどっぷりとゆり戻されながら、現在進行形の己を俯瞰で見られる好機でもあるのだ。

          ざざ虫とイナゴ

 親御さんの出が信濃の友が虫の佃煮を頼んだ。こうした滋養を味わう歳になったのだな。ぬる燗にことさら合う黒い食感に笑顔がこぼれた。

          香の物

 「なゝ樹」の愉しみの野沢菜と沢庵、ごぼうのお新香は再三お代わりした。

 シメの戸隠のざるまで、いったい何本徳利が空いたことか。

 トロッと濃厚なそば湯まで飲み干して、女将さんにさよならする。

 やっぱり、いい店だなあ


       「田舎そば 冬にもざるは 心意気」
                            海光

  

 
◆恵比寿「なゝ樹」◇

 渋谷区恵比寿西1-13-2
 03-3496-2878
 http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13002064/


  2012年TOTAL RUN  239km    2月17日現在  

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語り芝居

2012年02月13日 | ☆文学のこと☆

           

 2月4日のこと。竜泉の一葉記念館にいく。朗読サロンで語り芝居が行なわれた

 題目は「にごりえ」。

 云わずと知れた、酌婦お力と車夫に没落した源太の無理心中の話である。

          

 ラジオドラマ、朗読と同じく、この芝居も耳で聴く文学の勉強である。

 平田京子氏は、男はつらいよシリーズ、大河ドラマ、浅草ふくまる旅館でご活躍中のあぶらののった女優さん。

 廓菊の井の酌婦、お力を演じ、物語の全篇を語られていた。

                

 演じながら長い語りをこなすのは、大変な修練だろう。明治初期きっての文章が流れてくる。句読点のない、流麗な言葉の城壁がたちどころにサロンを埋め尽くしていくようだ。

 記念館では平成22年1月に続いての第2回目。

 3月には「千代田区内幸町ホール」で公演が予定されているという。

 TVドラマJIN-仁-や水戸黄門、語り芝居等で活躍されている斉藤和彦氏が、お力への溺愛のため、蒲団屋から車夫に身を落とすろくでなしの源七を、ひとり息子太吉を抱える健気な女房お初を、教育TVやラジオ、CMナレーションを舞台にしている橋本あゆみさんがそれぞれ演じていた。演出された高城淳一氏は、11年8月に逝去された。この舞台を観られた幸運に感謝し、ご冥福を祈る。

                

 映画「にごりえ」は来週記念館で上映される。幕末太陽傳しかり、このところ、旧い銀幕の世界からこころに映る往時に魂が奪われてしまう。

               

 記念館では一葉周辺の人々にまつわる展示がされている。

 まだ見ぬ奈津に会えるやもしれない


             「春の雲 うつつに見ゆる 夢芝居」
                             海光

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江戸居酒屋! 

2012年02月07日 | 呑み屋探訪(浅草、根岸、本所界隈)
          

 2月3日(金)、節分の日に根岸の里「鍵屋」へ向かった

                 現代の行灯

 鶯の谷で仲間と待ち合わせ、言問の通りを裏の小路に入る。行灯のごとく趣のある灯りに吸い寄せられて、大振りの暖簾を潜る。

          暖簾も粋な紺染め

 江戸は安政3年(1856年)酒問屋として創業した老舗である。昭和に入ってから酒を出すようになったとか。この建物は大正時代のものを模しているという。旧い建物は、武蔵小金井の「江戸東京たてもの園」に移築されている。(http://www.tatemonoen.jp/index.html

          店主

                 カブトビール看板

 入ると、礼儀正しく女将さんと赤いセーターの店主が出迎えてくれる。壁には、懐かしさを通り越した調度品が銘々飾られていた。この雰囲気だけで、酒の旨いことを担保してくれたようなものだ。

          さらしくじら
          煮こごり
          みそ田楽三種

 ビールを一本もらいつつ、まずは喉を潤す。くじらの脂を味噌につけていただく。関東風の味の濃い、煮こごりは辛子で一層引き立つのである。

          銅製の酒燗器

 レトロな酒燗器で、湯銭をする「菊正宗」はまた格別であった。木造建築だけに、暖房もなんのその、どこかやはり隙間から冷える。とにかく熱燗が止まらないのだ。

          墨で書かれた品書き
          合鴨塩焼き
          とり皮焼き
          とりもつ焼き

 合鴨の塩焼きには七味がいいが、とりもつには山椒が似合う。うなぎのくりから焼きがこの日はなかった。無念であるが、頼んだものは一品一品、丁寧な居酒屋の定番の仕込みがなされている。

 なるほどこれが老舗の居酒屋というものなのだなと思う月夜の晩である。

          とりもつ鍋
          お新香

 寒い夜はこれに限る。とりのもつと野菜を炊いた醤油ベースの鍋だが、出汁の江戸味が酒にもってこいなのである。お新香もさっぱりと、でもしっかりと漬かっていて結局お代わりした。

 小上がりで落ち着いて飲んでいたから、帰りしなご主人と会話する。気のいい感じで、ダンディなお人柄だ。

 仕事を終えた職人がふらっと立ち寄る、そんな町人のための店である

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 根岸から、鶯谷に戻って、花街ならぬホテル街の手前にある、昭和のスナック順子さんにお邪魔する。

          

 おっとりと、ふてぶってい猫が出迎えてくれる。小鍋で沸かしたお湯で作る「熟成サーバー、黒霧」は、熱いもんはとことん熱いのが好みの江戸っ子には至福に旨味。

 ママ手製のおでんはお代わりし放題ってえのもうれしいサービスだなあ。

         
         

 あっしの流行り病のせいで、延びた新年会。無事に終了。

 江戸の近場の別荘地、根岸の町は懐の深い町でやんす。会社辞めたら、開拓する店もたくさんあるわな。

 立春も過ぎた。梅もメジロも見ごろの春はもうすぐだ
       
         「熱燗や 馴染んだ鍵で 春を開け」
                            海光


  
     

 ◇根岸「鍵屋」◇

 台東区根岸3-6-23-18
 03-3872-2227
 http://r.tabelog.com/tokyo/A1311/A131104/13003743/
 
         
         
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豆撒き!

2012年02月03日 | ★江戸っ子エッセイ★

     
                 合羽橋「萬藤の大豆」と赤鬼の面

 2月3日(金)、本日は節分なり

 朝起きると、外は氷点下という今年一番を更新する寒い夜明けである。

 昭和40年代の東京は水を撒くと氷が張った。

 今は無き、待乳山小学校(ご他聞に漏れず、統合し東浅草小という味気のない名に)へ通学するときに、その氷をパリパリと踏んで、歩くのが愉しかった。ある時は、膝まで雪が積もったこともある。そう、わっちの知るかつての東京は寒かったのだ。江戸時代はもっと寒かったに違えねえ。

 大なり小なり、飲食業を始めるにはまずここへ来れば何でも揃うという、合羽橋道具街。そこにある老舗「萬藤」の大豆を買う。鬼の面がついている。

 吐く息も氷りそうな静謐な大気に向かって、福福しい豆を撒いた。お決まりの「鬼は外、福は内」。幼い頃に聞いた父の声に習って、子どもたちと大声で輪唱する。邪気を祓い、家族の無病息災を願う。

 地元の神社仏閣では、各所で盛大な豆撒きが行なわれる予定。熱田神社、鷲神社、鳥越神社と数知れず。

 浅草寺では、アニマル浜口さん、歌舞伎役者、落語家、関取等が毎年豆撒きをする。

 その際の号令が、「千秋(せんしゅう)万歳、福は内」である。なるほど、観音様には鬼も邪もいないということでやんす。

 そういえば、明治4年生まれの曾祖母が健在の頃は、倉庫の扉に、鰯の頭を刺した柊を飾っていた。こうした慣習も、核家族化、マンション暮らしとともに、忘れられていくのだろう。そう思うと、忙しい日々に流され面倒に思っていた行事が、なにか肝心なものに思えてくる。

            

 生まれ育った新吉原で、こんなイベントが企画されている。

            

 仲の町通りにある、あっしの実家の店も掲載されていた。

 この週末は一時的に温かくなるという。節分にちなんだイベントに足を向けてみようと思う。

 一葉「にごりえ」の朗読会もある。しばし学びの時。

 室町の古来から続く、伝統に身をゆだねるのもいいもんだ。

 暦のうえでは明日は立春なのである
 

        「薄氷や 割れんとばかり 鬼は外」
                                        海光

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四丁目の夕日!

2012年02月01日 | ★映画★

                     

 今年に入って4本目の映画

 「ALWAYS 三丁目の夕日’64」。

 映画のシリーズの続編はほぼ第1作を上回る内容のものが少ない。それは初回の新鮮さ、インパクトが期待度を高めるためでもあるが…。それだけでもあるまい。

 しかし、昭和39年が舞台の本作は、シリーズの中でも高い評価を与えていいのではないだろうか。

 西岸良平、山崎貴、吉岡秀隆は期待を上回る傑作を作った。

 昭和40年代生まれのあっしだが、地元浅草の人情と雰囲気はまさにこの映画と同じ空気感であった。脚色は多いけど、昭和の一こまの情景をよく写していると思う。役者の配役もよかったが、昨今のCGはすごいですなあ。

 あっしがまだ幼い頃、いたずらしちゃあ、隣の八百屋のおばちゃん、おじちゃんに叱られた。駄菓子屋でも、屋台でも子ども同士で喧嘩していると、両成敗とばかり、こってり叱られた。懲りずにいたずらは繰り返すものの、大人も神様も見ているのだ、必ずどこかで誰かの目が光っているのだ、という意識を教わった。その内、それは自分自身の中に節度というものを植えつけてくれたのだ。それを教える躾けが、この当時の大人にたしかにあったのだろう。そこへいくと、今のあっしなどは親として、大人として、胸を張れず、相変わらずの とほほ、である。

           

 思えば、あの頃は、夕方の隣家から、
 
 「かよさん、かつおぶし切れたから貸しとくれ」
 
 「ふくちゃん、お安い御用だ。あいよ」

  ってなもんで、その翌日。
 
 「昨晩は助かったよ。竹の子の煮物こさえたからよかったら食べて」
 
 「まあ、いいのに。かよさん、どうもご馳走さま」

 下町、長屋文化が残っているこの時代が妙に懐かしい。そういう人と人の温かい交流を書きたいと思う。

          

 茶川竜之介は小説家。それも芥川賞候補になったほどの純文学派なのだ。それが、ヒロミと淳之介を養うことから、「冒険少年ブック」という雑誌の連載をすることになったのだ。夢を抱えながら、現実を生きるには夢に突き進めない、その葛藤こそが文学なのだな、と映画を観ながらそう思った。

 茶川林太郎、竜之介、淳之介。この3代に渡る親子の感情の起伏、思いやる心が、幾たびもあっしの涙腺を緩めさせる。どこかで親の愛情と判っていても、素直に感謝の気持ちを表現できない、その不器用さが、昭和の親子関係でもあったのだ。

 作者の仕掛けが判っていても、心が揺さぶられた。林太郎が残した、竜之介の著作を読んだ際の一言一言エールを書いた付箋の数々……。これでもあっしも人の親。重松清の「流星ワゴン」以来に、やられてしまった。歳をとったのかもな。

 間違いなく、シリーズ最高傑作だろう。

 2012年、東京スカイツリーが開業する。(残念ながら業平橋駅は改名してしまうが…)

 現代に生きる平成時代の親子も、新しい物語を紡いでいくはず。それが、少しでもこの時代のように物質の豊かさだけでない、本質の豊かさの物語であって欲しい。

 たとえわが子に憎まれても、本気で子どものために行動できる強い心。慈愛に満ちた物語であることを祈る。

 淳之介に、売れっ子作家の地位を譲った竜之介だが、このままでは終われまい。なぜなら、己に真摯に生きていく姿勢こそ、わが子に伝える最高の贈り物なのだから…。
     
                


                    「猫柳 夕陽に染まる 四丁目」
                                 海光

 
 幼い記憶には、かつて新吉原であった四丁目の夕日が残っている。

 幕末太陽傳とは一味違った、熱いモチベーションをもらうことができた

 

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