江戸前の盛り合わせ
この秋のこと
山手線内のドアーの上にあるTV映像に、恵比寿のCMが流れたそうな……。全そ連の天女姉さんがポツリと、いきたい!
てなわけで、新吉原も近いあっしの地元でありんすが、全そ連の面々とねぎま鍋で有名な「一文」の暖簾を潜った
サッポロ黒ラベル生
まずは一杯、ぐびっと黒ラベル。グラスがいいと生は美味しいね
こちらが一文銭
この店の特徴がこちらの木でこさえた一文銭、十文銭。一文=100円のレート。飲み食いに現金は通用せず、すべてこの木銭で支払うのだ。おもろいでしょ
竹酒器にいれた冷酒
岩手の辛口純米を、冷やした竹筒にはいったものでいただく。野趣の香りに、こころも芳醇になる。酒がすすむ
朝獲れ魚の盛り合わせ
盛られた穴子に、コハダなどはこの日の朝、江戸湾で獲れたもの
うしろに見える赤い身は、マグロの中落ち。ハマグリでしゃくって取るかんじ。
当時の江戸っ子は酒ばかり食らっていたから、昼日中からほろ酔いで喧嘩も多かったとも云われる。
竹笊豆腐は天然塩で、一文シュウマイは秘伝のタレで食す。
くじら料理もこの店の自慢。くじらの刺身に、くじらの煮込みを木銭で頼む。酒の発注が止まらない
店のなかは江戸情緒たっぷり。厠を出たところにある、お手水も風流でしょ
行灯
暗めの照明の店内に行灯が燈り、ぼんやりと浮かぶ仲間の顔がまたいい
名物江戸ねぎま鍋の大トロ
江戸の頃、マグロと云えば赤身を指した。冷蔵設備のない時代だけに、脂の多い大トロは当時の料理に適さなかった。現代は高級ネタの大トロがほおって捨てられた。
そこで、考案されたのが、この「ねぎま鍋」なのだ
大川に程近い、千寿(千住)で採れたネギはなんと糖度15度。この太くて甘いネギが、大トロの脂をまとうと驚くほどに様変わりした。また、濃い口の醤油で味付けされた大トロも鍋に入れることで、脂臭さが抜け、絶妙な弾力を残したことに柔らかい歯応えとなるのだ。
この味を堪能したあっしたちは、言葉も少なに、手と口を動かし続けた。シメの特製うどんは稲庭系のもっちり。濃い口が沁みた小麦の細きりが、ふんわりと玉子でとじられる
江戸のねぎま鍋。江戸の町人たちの贅沢を雄弁に物語っていた
銅製の鍋
シメの特製うどん
浅草の六区まで小雨のなか、歩くと俄かに晴れてきた
気分も陽気に、六区街のJAZZ BARへ立ち寄った。今宵もいい夜だ。
一日一生。今日も悔いなし
「小ぬか降る 落ち葉踏みしめ ねぎま鍋」
海光
浅草 酒膳「一文別館」
◇浅草 酒膳「一文別館」◆
東京都台東区浅草3-12-6
03-3875-6800
http://www.asakusa-ichimon.com/bekkan/info.html
2011年TOTAL RUN 1971.5km 11月29日現在