伊豆高原シニア・ライフ日記

「老い」を受容しながら自然の恵みに感謝しつつ「残躯天所許不楽復如何」の心境で綴る80老の身辺雑記 

「最後の著書の刊行」(三金会雑記夏号の原稿)

2009年05月26日 | 三金会雑記
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この原稿を「三金会雑記」に載せるのにも躊躇があったのに、さらにブログに載せていいものかどうか。

特に個人名もあるので迷ったが、これまでブログには「三金会雑記」原稿を載せてきた経緯もあり、「ままよ!」と載せることにした。




「最後の著書の刊行」

 こんなテーマで三金会雑記の記事を書くのは少々気がひけるが、ここ数年の間、絶えず私の頭の片隅にどっかと居座り続けていた課題、人生の最後に位置づけた大仕事がなんとか完結し、変化に乏しい老後生活の中で滅多にない彩りを添えることになった自分なりのイベントなので敢えて書かせてもらうことにする。

 文中にこころならずも自己宣伝めいたところがあったとすれば、なにとぞ平にご容赦願いたい。

 平成一五年五月に矯正協会から執筆依頼を受け、今日まで丸六年を費やして、なんとか仕上がったものを見たら、その内容はともかくとして頁数だけは八〇〇頁に近いちょっとした事典並みの分厚い本になってしまっていた。

これだけの頁数になったのは、文章部分を増やしたというより、情報公開、行刑の透明化といった影響もあってこれまで門外不出だった行刑に関する珍しい画像を多数挿入したためである。

私としては文章を書くのにそれなりの苦労はあったものの、画像の処理というものは、各種の文献から気に入ったものを選び出し、そのサイズやその配置場所を考えながらゲラ刷り原稿に貼り付けていくという作業で、アルバムを作るようなものだったから結構楽しく、つい頁数を増やす結果になったのである。

 当初に計画されていた頁数を大幅に超えてしまったことから、出版元が定価を五千円にしてしまったが、「行刑」という特殊な世界の専門書だけに、このような価格では人は簡単には買ってはくれないであろうと思われる。出来上がっただけで嬉しい私はいいとして、出版元に著しい損失がでないことを願うだけである。

それはそれとして、八〇歳を目前にして、この著書の完成が我が人生の大きな区切りとなるものであることは間違いない。

 三金会雑記の前号では、長年にわたり所蔵し続けてきた法律関係・行刑関係の専門書をはじめ一切の関係文献を思い切って処分したことを書いたが、これに続く本の出版で、昭和三〇年に公務員となり「行刑」にかかわってから今日まで五〇余年にわたって頭の片隅から消えることがなかった「行刑問題」をきれいさっぱり消し去ることができた。

 いまとなっては、淋しいというよりほっとした心境である。

 この本の出版で、私が書いた単行本は、共著によるものを除けば都合四冊になる。

 最初に刊行した単行本「矯正行政の理論と展開」はまだ公務員在職中のことでもあり、また博士論文の元にもなった少々理屈っぽい本だったから、本の装丁も地味なものであった。

しかし、その後、退職してから書いた行刑の歴史にかかわる本は、自分なりの好みを本の表装に反映させることができた。といっても特別に凝ったものではなく、ただ表紙のデザインを同じスタイルとし、色彩だけを「ブルー」「ブラウン」「グリーン」に変えたのである。この三冊は特に「シリーズ物」を意識したわけではないのだが、この色分け、特に今回の「グリーン」の色合いは気に入っている。





この本が正式に出来上がり、印刷会社から出版元に納品されるのは五月二九日という連絡を受けており、実は私はまだ現物は見ていないのである。

現物を見ることはできないが、出版元からは既に刷りあがった「リーフレット」が手元に送られてきている。この本の主たる読者に想定されている現役の矯正職員に対して、新刊図書案内として配布される「チラシ」(リーフレット)である。

お断りしておくが、これは出版元である矯正協会文化事業部が作成したもので、私が作ったものではない。その文面には面映いところもあるが、リーフレットには図書の「目次」すべてが掲載されており、ある程度本の内容が分かるので文末に掲げることにした。

この本が販売ルートに乗るのは六月になってからかと思われる。

とにかく、これで私のやるべきことはすべて終わった。あとは勝手気ままに自由に過ごすことにする。

「散歩」と「パソコン弄り」と「園芸作業」がこれからの生活の軸になる。この三つにかかわりながら出来るだけ肉体的にも精神的にも毀損される部分がすくないよう頑張り、残る人生を平穏に過ごしていきたい。


 
コメント (3)
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