京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

東京美術館めぐり

2016-05-13 05:30:27 | 美術・博物館

昨日京都駅を始発の新幹線に乗り、東京(上野)に向かいました。
前日までの悪天候がうそのような快晴です。

新幹線からの富士山




上野駅に到着したのは8時41分。
今回の東京は上野公園内の美術館に絞りました。
すぐに向かったのは東京都美術館『生誕300年記念 若冲展』です。
大人気で混雑するとは聞いていましたが、予想をはるかに超える大行列です。
東京恐るべし、 若冲恐るべしです。
一瞬怯みましたが、今回の美術館めぐりのメインです。大行列に並びます。





展示会場内も非常に混んでいます。
伊藤若冲(1716-1800)の初期から晩年までの代表作が展示されています。
若冲が京都相国寺に寄進した「釈迦三尊像」3幅と「動植綵絵」30幅が東京で一堂に会すのは初めてです。

「孔雀鳳凰図」

この一対の花鳥画は83年ぶりに発見されたものです。
絵師になって間もない40歳前後の作品と考えられ、色の鮮やかさは見事です。





「鳥獣花木図屏風」

これほど前衛的な作品は美術史上例がないとも言われています。
70種類以上の動物がひしめいています。
驚くのはモザイク状の画面です。1cm四方の升目を塗って絵にしています。










「南天雄鶏図」

真っ黒な鶏の鮮やかな鶏冠、南天の実の燃えるような赤に目が奪われます。




「果蔬涅槃図」

とうもろこしの葉や蕪の下に大根が捧げられるように置かれています。
若冲はこれを釈迦の姿「涅槃図」になぞらえました。





本当に素晴らしい出来映えに感激です。
私たちが美術館を出るときには3時間待ちの表示です。

次に向かったのは 東京国立博物館『生誕150年 黒田清輝日本近代絵画の巨匠』です。
日本美術の近代化に力を尽くした 黒田清輝の大回顧展です。
師コランやミ レーなどフランスで出会い導かれた作品と留学時代や帰国後の代表作が展示されています。





会場に入るまでの待ち時間はなかったのですが、やはりこれも人気の展示会です。
会場内はいっぱいです。





「読書」




「湖畔」





重要文化財「智・感・情」




このあと、東京国立博物館のもうひとつの特別展『黄金のアフガニスタン』です。
古くから『文明の十字路』として栄えシルクロードの拠点として発展したアフガニスタンですが、古代遺跡から発掘された貴重な文化財は、ソ連による軍事介入やそれに続く内戦で崩壊の危機にありました。
その危機からアフガニスタン国立博物館の職員たちは必死に守り続けられていました。
人類の貴重な遺産・秘宝231件が展示されています。
見事な金づくしにビックリです。










最後は国立西洋美術館『カラヴァッジョ展』です。
カラヴァッジョ(1571ー1610)は 16世紀の終わりローマに彗星のごとく現れ、
西洋絵画の歴史を一変させた天才であり、さらには驚くべきに殺人者です。
今回日本で初めて公開された、闇のなかに画かれた聖女の絵「法悦のマグダラのマリア」は必見です。





「女占い師」1597年

手相を見るふりをして指輪を盗んでいる光景




「バッカス」1597ー98年頃

ローマの神話に登場する酒の神です。
熟した果物の前に怪しい表情を浮かべる青年は カラヴァッジョ自身だと言われています。





「法悦のマグダラのマリア」1606年

キリストの死と復活を見届けたと言われる聖女です。
それまでカトリックでは娼婦であったという伝承から罪深い女性とされながら、
魅力的な肉体をもつ怪しげな美女として表されてきました。
カラヴァッジョは祈りの果てに神と繋がった一瞬を闇に溶けていくように画いています。
まるで闇に救いを求めているようです。





この後西洋美術館常設展の作品を見て帰宅の途につきました。
慌ただしい日帰りの美術館めぐりでしたが、とても充実した一日でした。