鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第1100回】 野生の勘

2014年01月04日 | 住宅コンサルタントとして
このオフの間に、これまで発注はしていたのに読むことが出来ていなかった本を何冊か読んでいました。

その中で「今更ですか???」と突っ込まれそうなのですが、じっくりと読み込んだのが、
一橋大学の楠木建教授の「ストーリーとしての競争戦略」。

約2年前に買っていたのに、なかなか読む機会がなかったので、
ずっと本棚に飾ってあったものをオーストラリアに持参して読んでいました。

この中で、私が「ホンマ、その通りやな~」と思ったのが、

「経営は二割の理屈と八割の野生の勘」

という、著者の本音が出ている部分と、

「戦略ストーリーは動画のように伝わることが重要」

という二点でした。

住宅業界に、思いっきり当てはまるなぁ、と思いながら、読み進めていました。

そもそも住宅ビジネスは、建物(=商品)だけで勝負がつかないのです。

その理由は、建物は土地が無ければ建てることが出来ないからです。

土地の価格は、例えば東京や神奈川の一等地のように坪単価100万をラクラク超えるエリアから、
地方の都市のように坪数万円から数千円まで、あまりに差がありすぎるのです。

一方、お客様の世帯所得は首都圏でも1000万円を超えているケースはそれほど多くありません。
600万~1000万未満、というケースが多いです。

また土地が安い地方都市の世帯所得は、300万~500万のゾーンが多いです。

当然、35年の住宅ローンでは、年収の5~7倍が、無理なく返済出来る上限ですから、
主力のお客様ターゲットの年収から、建物にかけられる予算の上限は決まってきます。

更に地域によって平均的な宅地の大きさはことなりますから、
その土地の大きさに合わせた商品開発が必要になるのです。
(ちょっと住宅業界ではない方には分かりにくいかもしれませんが・・・)

地域の平均的な土地、更にメインターゲットが買える予算枠に
収まる商品を開発することが住宅会社にとって欠かせません。

更にそこに競合企業が存在するのです。
ある程度のエリアになれば、分譲マンションやローコストの建売がライバルになりますから、
それらと比較した差別化も求められるのです。

このように住宅における商品開発は、複数の要因が複雑に影響しますから
どんな商品がお客様に支持されるのか、理屈だけでは判明しないのです。

ある種、野生の勘とも言うべきものが、とても重要になるかと思います。

だからこそ、住宅会社の経営者・経営幹部・営業マンは
日頃からいろんなところに足を運び、いろんなモノを実際に見て感じ、
直感を磨いておくことが欠かせないのです。

皆さんは、自分の勘を磨く行動が出来ていますか?
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