ツリアブ科のスキバツリアブ Villa limbata (Coquillett. 1898)
9月の後半にスキバツリアブと何度か出会った。21日は白塚海岸、24日は豊津海岸、26日は豊津海岸で再度。
この個体で体長約10ミリ、割と大きいなあと感じた、体長が7~8㎜程度の個体を何度も見ている。13ミリほどの個体も出会っているが、15や16ミリもあるような個体には出会っていない。
マエグロツリアブとクロバネツリアブは9月8日に豊津海岸で見かけて以降全く見かけなくなった。
原色日本昆虫図鑑(下)では、スキバツリアブの学名を Villa limbata Coquillett とし、
「体長・翅長とも11~15㎜。体はビロウド様黒色で、背面には黒色短毛を密生する。触角は黒く短小で顔面には黄白色短毛を密生する。前胸の全部および中・後胸の側面には黄色長毛を密生するが、その毛の色調は背面にちかい程濃色となる。あしは細く黒い。翅は透明で光沢が強く前縁部は濃褐色。腹部背面各節の前縁には黄色短毛を密生した横帯があり、両側縁部には黄白色毛を密生する。分布:日本全国;台湾。」
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは、学名を Villa limbata (Coquillett)とし、「体長10~16㎜。黒色。顔面は弱く隆起し、白毛に暗毛を混じる。胸部は前・側縁に黄毛密生し、背面に黒と黄褐微細鱗毛を疎生。翅は前縁が細く暗色を呈し、胸弁は外縁に黄色鱗毛を装う。腹部は第1節以外の各節背面に短い黄色鱗毛による横帯を生じる。分布:日本全土;台湾。」
1950年の日本昆虫図鑑によると、学名は Villa limbatus Coquillettとし、「触角は黒色、第1節は円筒形、第2節は球形、第3節は前2節の和と殆んど等長、甚だ細いが基部球形となる。末端棘は第3節より微かに長く、著しく細く、白色。胸背には黒色短毛を粗生し、橙色鱗毛を混ずる、特に後縁で顕著、前縁及び側縁に橙色長毛を密生する。小楯板は三角形に近く、後縁に橙色鱗毛及び長毛を生ずる。翅は殆んど無色、前縁黒褐。肢は細く、後腿節に白色鱗毛を密生する事が多い。腹部は比較的大、各節前縁及び側縁に黄色又は橙色の毛を密生し、側縁のものは長く、末端前2節のものは黒色。体長11~15㎜。」
学研生物図鑑昆虫Ⅲによると、学名を Villa limbata (Coquillett)とし、
「夏にあらわれる、ハチに似た大形種で、個体数は比較的少ない。生活史はよくわかっていないが、類似種の生態より類推すると、本種の幼虫はアブかハチの幼虫に寄生すると思われる。体長;10~16㎜。なお、Villa属はHyperalonia属同様褥盤(じょくばん)を欠いている。日本には本属の未記載種が他に数種いる。」
2009.9.26
スキバツリアブの右翅
「前縁部は濃褐色」とか「翅は前縁が細く暗色を呈」するとかの記述と合わないように思うが、図鑑の記述どおりの個体と出会ったことがないので、地域差なのか、別種なのか、判断が付かない。6月から9月まで見てきたが、季節的な変異はない。三重県内の砂浜海岸で私が出会っているのは、すべて図鑑の記述とは異なる個体たちである。
1950年の日本昆虫図鑑に図示されているスキバツリアブ♂
学研生物図鑑昆虫Ⅲに図示されているスキバツリアブ
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