田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

キノコに集まるヒメキイロコウカアブ

2014-09-03 | ハエ目(双翅目)

ミズアブ科(双翅目)のヒメキイロコウカアブPtecticus sinchangensis Ouchi,1938

7月中旬頃の津市河芸町の本城山公園内.地上に生えるキノコ(種類は不明)の周辺草むらを飛び回っているヒメキイロコウカアブ♂を見つけた.♀の姿はなかった.数日後に見に行くと,キノコは溶けて消えていた.キノコがなくなると,ヒメキイロコウカアブも姿を消す.
同属のキイロコウカアブに色形が似ているが,やや小型(私が見つけた個体は9~12㎜)で後脛節と後付節の基部が黒い.キノコに集まることで知られる種だ.
各地のレッドデータブックでは,埼玉県が準絶滅危惧種に,京都府が要注目種に,神奈川県が希少種にそれぞれ選定している.

この種の原記載論文を探したが,分からなかった. Ouchiさんの氏名も,どこに発表したものかも分からない.

追記:判明しました.
生物学者の大内義郎さんが戦前,上海自然科学研究所に勤務していた時に新種として発表したもので,次の文献が現在ヒメキイロコウカアブの原記載論文とされている.Section Ⅲとは第3巻の意味ではなく,Section Ⅲ. Systematic and morphological biology (Systematics, ecology, anatomy, histology, embryology) and pharmacognosy.つまりは部署名とか部門のことかと思われる.
OUCHI, Y. (1938) On some stratiomyiid flies from eastern China. The Journal of the Shanghai Science Institute, Section Ⅲ 4: 37-61.

ヒメキイロコウカアブのType-localitiesは,Sinchang;Tienmushan,Chekiang Province(E China).浙江省の天目山.




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3 コメント

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Unknown (ezo-aphid)
2014-09-06 10:47:46
茨城の市毛さんならご存知と思います.
戦時中に上海自然科学研究所に勤務されていた大内義郎さんと思います。たぶんですが、J. Shanghai Sci. Inst. (sect.3) 4 :37-61(1938年), または 同4:265-285(1940年)に載っているのでしょう。
.
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追伸 (ezo-aphid)
2014-09-06 19:16:12
正しくは下記のように表記するようです。4についてCiNiiで調べてみると、大学図書館では、(岡山大学)、金沢大学、九州大学、東北大学、名城大学にあります。
Journal of the Shanghai Science Institute. Sect. 3, Systematic and morphological biology
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原記載 (田中川)
2014-09-07 00:40:44
ezo-aphidさん,お助けいただきありがとうございます.
確認しましたところ,ご指摘の通り
OUCHI, Y. (1938) On some stratiomyiid flies from eastern China. The Journal of the Shanghai Science Institute, Section III 4: 37-61.
第3部門第4号の51ページに載っていることが判明しました.
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