田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ミドロミズアブ

2015-04-09 | ハエ目(双翅目)

ミズアブ科ミズアブ亜科のミドロミズアブ Odontomyia filipjewi (Pleske, 1928)

2015.3.31鈴鹿市の深谷公園でミドロミズアブ1♂を見つけた.ユキヤナギの花をスイーピングしていたら,いつの間にか入っていた.三重県からは津市片田町といなべ市藤原町で各1頭が見つかっているだけ.本種の三重県産はこれで3頭目で,私にとっては初めての採集である.鈴鹿市ではこれまで見つかっていなかった.

京都府では要注目種にリストされている.それによると,全国的に数例の記録しかない種.自然度の高い平地の湿地に見られる.京都では深泥が池の一例のみ.
深泥が池から見つかったミズアブというので,ミドロミズアブという和名を京都の大石久志さんが名付けた.

茨城県からは市毛勝義さんが40頭以上もの採集記録を双翅目談話会のはなあぶ38号に発表している.ユキヤナギに飛来することやカエデ等の枝先でホバリングすることなども報告している.本州の分布地も埼玉,茨城,三重,京都,岡山と明示してくれている.また,休耕田や沢沿いの湿地で幼虫が育つと思われるという.

ミドロミズアブの特徴は,腹部背板第2-4節の後縁(後角)に細い赤褐色斑があること.同属他種との識別に使える同定ポイントである.

最近の記録では,神奈川県秦野市から4月21日に休耕田にできた湿性草地において,草本に静止していた体長10.3㎜の1♀を飯嶋一浩さんが双翅目談話会の「はなあぶ」39号に報告している.

日本昆虫目録第8巻には,和名は載っていない.分布は北海道,本州,ロシア極東部となっている.

ミドロミズアブの標本写真が近年の報文では掲載されるようになってきた.生態写真はインターネット上では見られるが,現在のところ本種の和名や学名が使われていないので,簡単にはヒットしない.

三重県産の既知の記録は次の二つ
 篠木善重・大石久志 (2012) 津市の双翅目(ハエ目).三重自然誌,(13):92-113,三重自然誌の会.
 篠木善重・大石久志・蒔田実造 (2014) 三重県産双翅目RDB種の記録.はなあぶ,(37):92-99.








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