フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

万葉集

2012-04-12 23:57:42 | Weblog
陽気が良くなると歌の一つも口ずさみたくなるものです。今の時代ならば歌謡曲かポップスなんでしょうが、その昔はやはり三十一文字、和歌でしょう。
和歌というと万葉集がお馴染みですが、万葉集には多くの植物が詠まれています。その植物の中で一番多く詠まれているのは何だと思いますか?皆さんはおそらく桜だと思うでしょうが、桜は梅よりも少ないのです。梅が2番目に多く3番目は松なのです。さてそうなると1番は…。1番は萩なんです。萩はその字から言っても秋の花の代表格に相応しい植物です。萩は家畜の飼料になり、垣根や屋根ふきの材料として使われ、古来より日本人の生活に深く溶けこんできた植物なんですね。私も教えて貰うまで万葉集で萩が一番詠まれたとは想像もつきませんでした。やはり梅か桜だと思っていました。
桜の散り際の潔さが持て囃されるようになったのは赤穂浪士の忠臣蔵が歌舞伎になって「花は桜木、人は武士」という台詞が使われるようになってからですから、かなり歴史上では遅い人気者なのです。
桜の和歌といえば、こんな歌があります。
「明日ありと思う心のあだ桜、夜半にあらしの吹かぬものかは」
親鸞の歌ですが、ちょうど今の時期に相応しいですね。

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