フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

ペーソス

2012-10-30 21:04:30 | Weblog
今年の文化勲章の受賞者の一人に映画監督の山田洋次さんが選ばれました。山田監督の代表作品といえば何と言っても「男はつらいよ」シリーズです。タイトルは忘れても渥美清さんの寅さんシリーズだと言えば、誰もが思い出す作品ですし、一度は観たことがある映画でしょう。
山田監督が描く渥美さんの寅さんには、笑いの中にも物悲しい情緒がありました。ペーソスのある作品でした。普通の生活の中に起きるさまざまなエピソード。それを解決していくための方策はすべて優しさという柱がありました。相手のためにという気持ちが満ち満ちていました。いまから思うとよき時代だったのでしょうか。
いや、私はそうは思いません。根本には誰もが優しさを持っています。しかしその優しさをどう表現するのかが判らないのか、また優しさを表すだけの余裕がないのかも知れません。あえていうならば、かつては自分の事よりもという思いが強かったのも確かです。現実は、自分が人生を歩んで行くのに精一杯過ぎるのかも知れません。
皆が支えあっていた時代、やはり皆貧しかったからですかね。お金のせいにしたくないですが。

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