フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

御隠居

2008-05-23 18:10:12 | Weblog
株式総会の季節が近づいています。新聞の経済欄には新社長の横顔なる記事が頻繁に登場しています。新しくトップになる人がいるとなれば引退をして悠々自適な生活を送ろうとする人もいます。
世間では懐古的な興趣を盛り上げている○○横丁が健在です。例えば石畳の路地が昔ながらの風情をみせてくれる大阪道頓堀の路地裏にある「法善寺横町」 伊勢神宮内官の門前町「おはらい町」の中程にある「おかげ横丁」 札幌の「ラーメン横丁」などは、相変わらず大勢の人が訪れます。
ところが横丁は横丁でも、落語によく登場する横丁の御隠居さんとなるとすっかり姿を消してしまいました。
私は地域社会が機能せず空洞化が目立つのもこうした御隠居さんが存在していないのが原因の1つと思っているのです。昔はちょっとした住民同士のトラブルがあると必ず御隠居さんの知恵が間に入ったものでしたが、今ではそんな仲裁も考えられず、すぐ警察へとなってしまいます。暮らしにくいですよね。
横丁での御隠居さんともなると、必ず昔からの格言や箴言しんげんを口にしながらアドバイスしたものでした。最近では格言や論語自体を知らない人も増えているでしょうね。
で、話は戻りますが、第一線を引退した人達には是非横丁の御隠居さんならぬ、地域の御隠居として町内での活躍を期待したいものですね。あくまでも誤隠居にならない様に。