フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

歩く旅

2008-05-16 23:59:24 | Weblog
昔から「旅はみちづれ、世は情け」とか「可愛い子には旅をさせろ」などことわざが沢山あった様に、旅は生活の一部であったようです。
そして今日は「旅の日」です。というのも1689年(元禄2年)3月27日、つまり陽暦で5月16日に松尾芭蕉が『奥の細道』に旅立った日なのです。
日本の歴史の中で旅行ブームが訪れたのは、平安時代の熊野参りからといわれていますが、これとて貴族の旅行でした。
庶民の旅が一般化したのは江戸時代で、東海道53次が整備されブームに拍車をかけたのがお伊勢参りでした。もちろんわらじを履いての徒歩が交通手段で、記録によると1日に歩く距離は男性が40キロ、女性でも25キロぐらいだそうですから健脚でしたね。平均時速が約4キロだとしても何と1日8~10時間も歩いたのです。こうした旅行が多くなると、人の行き交いと同時に多くの情報も行き交う様になりました。
歩く旅のメリットは景色の変化をゆっくり味わう事ができます。歩いて知る自然の力強さ、そして歩き終えた達成感も魅力の1つでしょう。お伊勢参りという信仰の部分だけでなく、道中を歩くことで何かが見えてきたり、感じ取る事が出来たのでしょうね。
現代はまさに車社会。「歩いて旅行」なんて殆ど考えられませんが、もう一度歩く事そのものを考えてみてもいいですね。
歩く行為は体に優しく、自然や環境にも優しい行為です。それだけに歩く専用道の整備も考えてほしいですね。