麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

太陽が遠くなる

2005年10月17日 | 鑑賞
は~。
週のアタマから溜息ですみません。
何なんだ、このグズツイた天気は…

さて、昨夜は下北沢の駅前劇場へ。
(財)東京都歴史文化財団の支援事業にも選定された
「しずくまち♭」の『太陽が遠くなる』を観た。

タイトルとは対照的に、砂嵐舞うコロニーが舞台。
(ああ遠いから…って捉え方もあるか?)
まあコロニーが出て来ちゃうってんだから、
未来なわけで、地球なんかはなくなってます。
人間もメチャクチャ減ってまして…。

こー書くと、ウワっと思う方も多いでしょうが、
前回公演で一皮むけた感のあるナカヤマカズコ
(劇団主宰・作演出、さらに出演も)の筆は
今回も冴えて、おかしみも含んだテンポ良い運びで、
底にある「不安」を覗かせながら進む。

特に老人と老女の・・・
このコロニーでは契約で「夫婦」や「親子」となる
    ルールで、この二人もこのコロニーで結ばれたのでけれど、
    これが見事に「長い間夫婦でござい」ってな風情で
    喧嘩ばかりしてて、もう最高に笑えて愛らしく…
    一人の男によるクーデターにより「結婚」が無効になった際の
    大喧嘩は、涙さえ誘う・・・。
    この作品の一つのピークとして心に残った。
ホンもさることながら、しずくまちの看板女優・岡島仁美と、
客演・中谷大介(演劇雑貨店)の演技に大拍手を送りたい。

ナカヤマ作品でも最高の出来と思えた本作は、
けれども上記のシーンを境に一気に失速・・・
話自体のボルテージは、いよいよ佳境!
ってな盛り上がりをみせるのだが、
その道具立てが、あまりに陳腐で
残念な収束をみることとなる……

人を縛る行為と、社会における「拘束」を
舞台上で本当に縛ることで二重に表現したり、
記憶など「データ化」して取り除くことで、
失うモノ、保たれるモノを明示してみせたり、
面白いアイデアは盛り沢山なので・・・
後半を練り直して、大幅改訂すれば、
とてつもない作品になると思うのだけれど・・・。

群雄割拠の小劇場にあって、冒頭のように歴史財団から、
また他の作品ではUFJ文化財団の助成も受けるなど、
カンパニーの売りである「生演奏」による音楽との融合に加え、
制作力でも力をみせる「しずくまち♭」・・・
(ちなみに制作は、女優も兼ねる伊藤美紀)
要注目の劇団のひとつだ。
次回作にも、高い期待を持っています
                          【文中敬称略】
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