クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

モーガン

2018-06-20 13:03:06 | 試乗レポート
クルマのサスペンションは揺動軸をもってタイヤが上下ストロークするので、トレッド変化かキャンバー変化を伴う、
というのが一般的(例外もあります)です。

それと、揺動軸に向かってタイヤからの力がアームないしはリンクを通して伝わってくるので、
角度が変わると力の方向も変わり、それがジャッキアップだとかジャッキダウンの分力を生みます。

レーシングカーで車高を変えるのが非常にシビアだと言われれるのは、
この分力の大きさとそれが生まれるタイミングのせいなんです。
(分力のせいでドライバーのコントロール下にない車高変化だったりタイヤ荷重変化が起きて、
グリップバランスが維持できなくなる)

ハイグリップタイヤをはいてダウンフォースが大きいマシンになればなるほど車高、つまりはアーム角を
どの位置に待機(1G車高)させるかがサスペンションセッティングの要になるということです。

じゃあ揺動軸を持たなければいいんじゃない⋯⋯その通りです。

というのがモーガンのフロントサスペンション。

スライディングピラー方式と言われるもので、オートバイのフロントフォークのように固定軸に沿ってハブナックルがスライドするタイプです。

アームとかリンクに該当するものがありません。柱ががっちり車体に固定されています。

これならどのストローク位置でタイヤの力を受けても「分力」の発生はありません。

旋回Gを受けて外側に荷重が移ったら、荷重が増えた分スプリングがたわむだけです。

という理屈まではなんとなく考えられるとして、乗ったことがない⋯

と思っていたらモーガンに乗れるチャンスがありました。

でその印象は、スライディングピラーの印象よりも、センターピックアップ方式のステアリング機構の癖だとか、
転舵軸の外側にタイヤがあって(カートのフロントタイヤと転舵軸の位置関係と同じ)路面変化を拾い上げやすく、
雑味がハンドルに伝わってきて、好印象とは言い難かったのと、これで限界特性云々はあまり意味がなさそうだったので
静かに走らせて終わりにしました。

しかし、ロールセンター理論から始まった車両運動をめぐる長い旅の途中で、スライディングピラーに触れる、
とメモされたポストイットを⋯剥がすことができました。



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4 コメント

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スライディング・ピラー (おおくぼ)
2018-06-25 21:55:22
先日は、お話しをする時間が無くてとちょっと残念でした。
ところで、このメカ、ランチア・ラムダが採用していて、フロントを独立懸架にするための独創的なアイディアかと漠然と思っていたのですが。(アピアあたりでも使っていた?)国政さんがドライブフィールの上でメリットが感じられないとのインプレですから、むしろ、フロントを安価に独立懸架にするための手法ということだったのでしょうか。
モーガンでオートバイのパーツを使って3輪・4輪のクルマを作る際に採用したのは、むしろ当然の帰結と言うことでしょうか。
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2018-06-26 13:30:40
中座してしまいました、すみません。
さてスライディングピラーの話、河口湖自動車博物館にそのランチアが展示されていますね。
採用されている例が少ないことからして、問題があったのか、優位性が見出せなかったのかよくわからないところです。
揺動軸を持たないことで車両運動の限界特性が限りなく安定するので、タイム命のフォーミュラカーに採用すればいいのにと前から思っているんですけどね〜
サーキットの中をグルグル回るだけだし、耐久性も問われない⋯後はその理由を考えられるサスペンションエンジニアがいるかどうかです。
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WEB CGの記事 (おおくぼ)
2018-08-11 11:27:35
森 慶太さんが書かれたモーガンのインプレッション記事が載っていました。モーガンの「味」ということで、「皮の香り」などと同様、お好きな方にはこたえられないフィーリングなのでしょうか。(^_^;)
http://www.webcg.net/articles/-/39244?cid=mail_180811
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2018-08-14 14:07:25
お知らせありがとうございます。
森さんの楽しい試乗記いいですね。
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