クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

乗り易い足は速くない・・・?

2015-09-18 09:39:51 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
少し前に手掛けたNCロードスターのサスペンションセッティングの話です。

そのクルマのオーナーは、仲間と組んで毎年筑波サーキットの4時間耐久レースを楽しんでいました、チームメンバーには女性もいます。
チームの目標は10位以内でのゴール。

タイヤグリップの前後バランスをわずかに後ろ寄りに、かといってアンダーステア一辺倒ではなく、
ドライバーの意思で旋回姿勢を変えられて、手を止めれば弱アンダーステアーのまま旋回姿勢が落ち着くあたりにセット。
これでスナップオーバーが消え、リヤーの横グリップはドライバーのコントロール下に。

練習走行でいきなり女性ドライバーのタイムが1.5秒アップ!

他のクルマとブレーキ競争しても負けない・・・
この足だと最終コーナーが全然怖くない・・・
とコメント。

で本番の予選でチームは6番手、決勝はなんとなんとの4位でゴール。
チームの喜びようといったら・・・

突然裏切ったりしない足になったので、混走時のライン取りも自在に変えられ、
小さなミスも減って4人のコンスタントタイムがよくなったことで上位ゴールできた・・・

このケースでは「乗りやすさ」が良い結果をもたらしたわけです。

乗り易い足は速くない?と、ちまたでまことしやかに囁かれていますが、
この言葉は、本当に乗り易い足のクルマを走らせた経験のない人が流布したもの・・・ではないでしょうか。

少し横道にそれますが、WRCを走るラリーカーはルーズな路面でタイヤ性能を使いきり、ドライバー技量の限界でマシンコントロールします。
綱渡りのような走りの裏付けになるのはコントロール性です、つまり最後まで信用できる乗りやすさがあって良いタイムを出せるのです。

乗り易い足は速くない?・・・皆さんも心のどこかでホントにそ~なのかな~?と思ってなかったですか。

もっとも、そうは言っても乗り易い足の定義などというのもないのであやふやなところからは出られませんが。

もしも乗り易い足は速くないと信じているのでしたら、厚手の財布を持って来社いただければ、たちどころに本物の「乗りやすくない!」足に変更してさしあげます・・・

ドキドキ状態の程度もお好み次第!1コーナーでスピンしたいのか最終コーナーで全損にしたいのかも選べます・・・冗談ですけど。




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8 コメント

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普通、乗らないとわからない。 (くるまじい)
2015-09-19 09:19:58
日本国には、約7500万人の運転免許証を持つ方がいます。

国政さんがセッティングした車を、すでに1000万人ぐらいの方が試乗経験していれば、「その良さは素人でもわかり、世間の常識」になります。

言葉で説明しても、99.9%の方は理解不能です。強引にでも、「試乗&運転させるべき」と、思っています。

サス検定3級の車に乗って満足されている方が、ほとんどの国民&市場ですから。

お利口&進歩したい方だけに、真摯に対応していただければよいのでは、と思います。
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2015-09-19 12:59:00
もちろん乗らないとわからない、と思います。
でその言葉に続くのが乗ればわかる、だと思います、
のはずなのに乗りづらくても、そのことを口にしない人の方が多いのかもしれません
今回話題にした乗り易い車は速くない・・・は言葉の一人歩き、厄介なことにそれがまた都合のいいように使われています。
乗りづらい車は、ただ危ないだけで良いタイムなんかでやしない・・・
この言葉が一人歩きしてくれたら・・・

峠アタックで谷底に落ちても、乗りづらいのは運転でなんとかする、そうすればベストタイムが出るはず、俺の運転が未熟なだけだ・・・
こんなシーンでも乗り易い車は速くない、が心の拠り所?!?!
おかしいいですよね~
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Unknown (ナベエ)
2015-09-19 16:06:44
自分の心を見られているようで、読んでいてドキリとしました(笑)。
サーキットは走りませんが、乗り易い世界を味わってみたいという気持ちは最近強いです。
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2015-09-19 21:31:57
乗り易さという言葉は、男の子として許せないのでしょうか。

乗りづらいクルマを走らせている自分がかっこいいなんて考えているのかもしれませんね。

のりずらいクルマと速さはセットになっている訳ではないのに、いつまでたってもタイムが出ないと、サーキットアタックを続けている人を知っています。
声をかけてあげたいけど、声がけの言葉が見つかりません・・・

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某SHOPデモカー (くるまじい)
2015-09-20 18:08:00
大昔、某有名SHOPのデモカーを購入しました。
購入目的の半分が、そのSHOPの実力把握。

大変乗りづらい車でして、乗りこなすのが大変。
当方(運転手)の多大な努力により、マズマズのタイム。

たった100秒のタイムトライアル*1回で、体力消耗。
運転も楽しくなく、苦痛以外の何者でもなかったです。

数戦競技使用して、車は売却いたしました。
その有名SHOPの実力は最低レベル、という烙印を押しましたよ個人的に。

有名で金儲けの上手いSHOPとして存続中ですが。
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2015-09-20 21:39:56
あのダンパーと組み合わせてこのスプリングを入れて、LSDも装備して・・・手に入るチューニングパーツで組み立てるのが精一杯で、乗りやすさとか扱いづらさを言えるような時代じゃなかったかもしれませんね。

競技車に仕立てればあとは運転手の力でなんとかするのがフツーだったと思います。

私も自動車雑誌の仕事で、名の知れたドライバーのマシンに試乗するチャンスがありましたが、よくもまあこんな乗りづらいクルマでというのが多かったように記憶しています。

競技車は乗りづらいものというのはこの頃からの伝統かもしれません。

乗り易くタイムの出る足に仕立てるには労力と時間とお金もかかりますよね~
簡単じゃない・・・訳ですよ。
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速い人が正義の文化?? (Atom3)
2015-09-21 11:39:16
こんにちは。
気になる人が多い話題じゃないかなぁと思います。

速いタイムを出すには、まず良い車に乗らないことには道具以上のタイムは出ない・・・
サーキットで速い人の後ろについて走れば、道具の差が明確になってしみじみします。

乗りづらい・・・何故、挙動が急変するのか考えればまだ速くなるヒントになるのかも??

乗りづらい車を乗りこなすことは、身を守るための危険回避能力として身に付けて損はないですが、速さより、仕方なくセッティングのあってな
い状況で車と身を守る運転かなぁと思います。

不特定多数のドライバーが運転する耐久レース車両だと、乗りにくい車だと完走できなくなっちゃいますよね。

車を信頼できるからバトルができる・・・コーナーでフラフラしてる車には怖くて近づけません(笑)
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2015-09-21 13:09:58
誰それがタイムを出したのと同じ足、というのもあります。

そう言われると、乗りづらいとか愚痴るわけにはいきません、ひたすらサーキットに通うのみです。

全損する前に納得できるタイムに行き着くことができるといいのですが、乗りづらさと格闘しながらアタックするのは冷や汗ものです。

そこそこのタイムが出せたので、乗り心地を取り戻したい、サーキットに通うのが苦痛で・・・一般道も首都高速も走れたものじゃない。

という相談を受けたことがあります。
この時の足が、誰それがタイムアタックで使っている
といった触れ込みのもので、かなりの高額商品でした。
買ったはいいけど乗りづらいからといって直ぐに外すわけにはいきません、
タイムが出なければ腕が悪いことになるからです。
辛い話ですね~


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