羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

巡り合う小舟たち

2011年06月26日 | Weblog
大好きなあの映画から名前をちょっと借りてアマゾンに古本店を開いてから、
二年以上は経ったかな。
せっせと出品して管理しているときもあったが、ついそのままにして何ヶ月か・・・。
でも、責任は認識しているので、注文が入ってないかどうかチェックだけはする。

注文があればキレイにして梱包して発送する。
忘れた頃に思いがけない本が売れる。
詩集「山芋」という注文があったので慌てて書棚を探す。父の遺した本だった。
初版本で貴重な本かもしれない。お父さん、ごめんね、と思わず胸の内で呟く。
(よく分らずに最初の頃、出した本だった)

教育者寒川道夫氏が編集した学童の詩集だった。
父が遺した本は当初、長女の退院と重なってバタバタと処分してしまった気がする。
狭い書斎の隅にも手がまわらない場所があり、父亡き後に寝室とした長女も、
その後自室にしたわたしもそのままの状態だったが、ふと眺めてみた事がきっかけだった。

ずっとここにあった。
お父さん、これ大切な本だった?
でも叩き売ったわけじゃない。それなりの価格を設定して、ずっと「巡り合う小舟」に
積んでおいたのだ。それを見つけてくれた人に貰われていった。
ここにあってずっと息をひそめているよりは、
必要としてくれた人のところに行ったほうがいいよね?

父に語りかけるひとときだった。
そしてやっぱり父のささやかな蔵書は(本当にごく僅かだけれど)、
もうどこへもやらずにわたしの手元に置いておこうと決めた。