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消費税軽減税率の適用を要求する新聞のエゴイズム③

2012-11-01 00:00:03 | 日本

(前回からの続き)

 というわけで、消費増税にともなう新聞発行の減少等が活字文化の衰退や言論の多様性の喪失につながるとする新聞業界の理屈には相当な無理が感じられると思うのですが、いかがでしょう。

 なお、逆進性のある消費税の税率が上がるにつれて、低所得者救済の観点からの軽減税率の導入が大きな課題となってくるのはもっともだと思います。とはいえ、軽減税率の適用が検討されるべき分野としては、国民生活に最低限必要な衣食住に関わる財やサービス、具体的には水道・電気・ガスなどの公共料金や食料品などの必需品が優先されるべきでしょう。

 一方、情報インフラ整備の進展と多彩なメディアの浸透で、とうの昔に生活必需品とはいえなくなった新聞への軽減税率の適用は安易に認められるべきではないと思っています。本稿冒頭に記したように、新聞業界は以前から消費増税を声高に主張してきた以上、その増税を主導する財務省に大いに協力する意味でも、自らが模範生となって消費増税を受け入れる姿勢を示すのが筋というものだからです。

 さらにいえば新聞各社は、消費税率がアップしても、各自のコストダウン努力によって新聞価格の据え置きが十分に可能だし、場合によっては値下げする余地すらあるものと思っています。多くの公共料金に先駆けて価格を引き上げたことで、新聞各社は長年にわたって過剰な利益を享受し、蓄積してきたと考えられるからです。

 以下のグラフは1982年から2011年までの30年間の公共料金(電気、ガス、水道、通信、新聞)の価格推移をみたものです(1982年の価格を100[携帯電話は2000年を100];総務省消費者物価指数より作成)。これを見ても分るとおり、水道を除く各公共料金は1980年半ば以降の規制緩和等の影響で価格が下がってきています(ガス料金は2000年代半ば以降からのエネルギー価格の高騰を受けて少しずつ値上がりしてきている)。



 これに対して新聞価格は1980年代半ばから1990年代末にかけて50%あまりも上昇し、その後は現在に至るまで高止まったまま・・・。最近では電気料金の値上げを厳しく非難している新聞ですが、コストダウンに限ればその電気料金に大いに見習う必要すらありそうです。

 バブル崩壊から今日までのわが国は緩やかなデフレ傾向が続いています。この間、通信費や電気代といった、新聞各社の経費に大きなウェートを占めるはずの公共料金のいくつかは消費者平均物価以上に下がっているはずです。にもかかわらず新聞代が高い価格を保っている大きな理由は再販制度(再販売価格維持制度)にあるとみるべきでしょう。この日本特有の規制のおかげで新聞各社は、長年のデフレにもかかわらず、独占禁止法の適用除外のカルテルによって新聞代の値下がりを免れています(個人的には、新聞以外の一部書籍等の再販制度の意義や必要性は認識しています)。

(続く)

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