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「さとり(差取り)」に向かう世界⑨(差取り回避策:金融緩和その2)

2013-01-19 00:01:49 | 世界共通

(前回からの続き)

 一方、欧米諸国の一般市民にとっての金融緩和ですが、個人的には、金利低下がもたらすメリットよりもデメリットのほうが大きいのではないかと思っています。その最たる理由が「インフレ」です。

 中央銀行による国債等の買い入れでマネタリーベースが拡大すれば、当然ながら通貨の価値が下がってモノやサービスの値段が上がります。そして前回書いたように金融緩和で市場にあふれたマネーの多くは債券や株式、そして石油や穀物などの投資に向かうことでしょう。金融緩和によってもたらされるこうした通貨価値の低下や商品投資の過熱化などにより、ガソリンや小麦といった生活必需品の価格が高騰し、市民生活を苦しめるおそれが高まります

 さらに見逃せないのは、実質金利がマイナスになることの弊害。以前から指摘していることですが、欧米諸国の多くが金融緩和で名目金利をインフレ率よりも低い水準に引き下げているため、実質の金利がマイナスに落ち込んでいます。つまり、たとえ預貯金をしても時間の経過に比例してお金の価値がインフレで目減りしていくということ。これでは預貯金や年金に頼る市民層はますますまず貧しくなっていくことになります(逆に巨額の借金が可能な富裕層は時間の経過に比例して借金返済負担が減るのでますます豊かになるチャンスに恵まれる)。

 なお付け加えると、この実質マイナス金利現象ですが、国家の資金調達という面からも重大な問題をはらんでいます。当たり前の話ですが、そんな状態を長い間放置している国の通貨・国債なんて、やがては誰も買おうと思わなくなるからです(そんな国にお金を貸そうと誰も思わなくなるということ)。だから結局は「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」つまり実質金利が高い「円」が買われることになるのではないでしょうか。

 といったように、いまや花盛りの観のある(?)金融緩和策は、「さとり(差取り)」回避や阻止の意味からも、低利の借金レバレッジで自らの所得や資産を極大化できる機会を得られるという面からも(その失敗は政府や中銀が肩代わりしてくれるという面も含めて)、富裕層にとっては格差をいっそう拡大するチャンスに感じられるだろうと思っています。

 その半面、ほとんどの「さとりたい(差取りたい)」人々にとっては、目先の住宅ローン金利の低下という恩恵以上に、金融緩和がもたらす「インフレ」、つまりガソリンなどの生活物資の価格高騰や実質所得の目減りなどに苦しめられることでしょう。そして資産家との格差はますます広がって「さとり(差取り)」は遠のくばかり・・・。

(続く)

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