世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

円安インフレ懸念で国民が気づく「円高」のありがたさ②

2013-01-29 00:03:31 | 日本

(前回からの続き)

 ここで上記の円安転換直前までの円高局面について振り返っておきたいと思います。

 2007年半ば以降、昨年11月までの5年あまりで円/ドル為替レートは1ドル約120円から約80円へと、50%ほども円高ドル安になりました。この「円高」に、欧米諸国の不動産バブル崩壊やユーロ危機などにともなう景気低迷・消費減退なども加わって、この間、自動車や機械などといった多くの日本の輸出部門のパフォーマンスは停滞しました。

 さらに、中国や韓国などの輸出企業が、円に対する自国通貨安を梃子に、世界市場における日本企業のシェアを奪う形で売り上げを伸ばしたこともあり、わが国の企業、とくに電機セクターの低迷や退潮ぶりが目に付くなかで、その最大の原因が「円高」に求められていたように感じられます。

 そんな「円高」ですが、これまでわが国では「戦犯扱い」されてきた印象が強かったと思います。半導体メーカーの経営危機や大手電機メーカーの赤字決算等のニュースが伝えられるたび、そして自動車会社幹部の「現状の為替水準では日本での製造は困難」といった趣旨の発言が大きく報じられるたび、それらの元凶として「円高」がやり玉に挙げられてきました。いずれの報道も、「超円高」とか「円高デフレ」などといった表現ぶりで、円高が日本経済にいかに深刻なダメージを与えてきたかを訴えるトーンだったかと思われます。

 政治家の政策論議でも、こうした「行き過ぎた円高」の是正が最重要のテーマのひとつとされてきました。為替介入や日銀による金融緩和策、はては日銀の外債購入論などなど、与野党を問わず、円高是正、つまり「円高は悪である(≒円安は善である)」という前提に立った経済政策だけにもっぱら焦点が当てられてきた、といっても言い過ぎではないでしょう。

 本稿前段に記したとおり、そんな空気は一変しました。

 アベノミクス」のアナウンス効果(インフレ目標2%)や金融市場の「リスクオン」の流れに乗って、わずか2ヶ月あまりで一気に「円高是正」が進みました(ここまで急とは・・・私も予想できませんでした)。それまでの著名経済人の主張や主要マスコミの論調等からすれば「日本経済が待ちに待った円安局面の到来!」といったところではないでしょうか。つまり「円安で価格競争力を取り戻した本邦企業が輸出主導で日本経済を上昇に導く!」というわけです。「日本経済の生命線『外需』の復活」という感じかもしれません・・・。

 ところでわが国は本当に「輸出大国」といえるのでしょうか。

 たしかに輸出額からみればそのとおりです。国際貿易投資研究所のデータによると、2011年の輸出額国別ランキングで日本は中国、アメリカ、ドイツに続く第4位(約8200億ドル)となっています。

 しかしこれがGDPに占める割合は約14%と、韓国(約50%)、ドイツ(約41%)、中国(約26%)といった主要輸出国と比べると、アメリカ(約10%)などと並んで世界的に見ればむしろ低いほう(96位!)。これを別な言い方で説明すると、わが国のGDPの大半の部分は個人消費などの「内需」によって構成されている、ということになります。つまりGDP全体から見れば、日本はじつは輸出大国というよりはむしろ内需の厚い国というほうが実態に近いといえます。

 このあたりは日本だけではなく外国でも「日本経済は輸出主導型」といった勘違い(?)をしている見方が少なくないと個人的に感じているところです。まあこれはトヨタやホンダ、ソニーやキャノンなどといった日本企業の存在感やブランドイメージが世界中でそれだけ際立っていることの証というわけで、それはそれで素晴らしいことではありますが・・・。

(続く)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする