(前回からの続き)
日本企業に対し、内部留保としてため込んだ巨額のキャッシュ(現金・預金:2015年度で約252兆円)を企業本来の目的である設備投資等に使わせるようにするはどうしたらよいか? その答えは前述したことから自然とこうなる―――「アベノミクス」すなわち円安誘導が現出させた経済・為替環境をそれ以前の状態に戻す、すなわち日銀「異次元緩和」のテーパリング(幕引き)に一刻も早く着手する(って、本ブログでたびたび書いていることですが・・・たとえばかつての「ゼロ・インフレ」ベースをめざす、など)。
その具体的な幕引き方法等は省略しますが、これによって為替は現在よりも間違いなく円高外貨安に振れていくでしょう・・・って実際には、いまの(市場原理に則していないという意味で)不自然で過剰な円安から、実質実効的なレートで見た妥当な為替水準に戻っていく、といった感じです。
こうなれば、本邦企業の経営者は手持ちのキャッシュを投資に回していくようになるでしょう。なかでも対外投資はけっこう早く回復するかも。円高外貨安の進行で、海外直接投資とか外国企業M&Aのコスパ、そして為替リスクが減じる金融資産投資の予想利回りも高まるからです。いっぽうの国内関連投資も・・・やや時間がかかるかもしれませんが、エネルギーや原材料の円建て費用の下落で国民の可処分所得が増加し、これが各社最大の「商売相手」である個人消費を上向かせていくなかで、緩やかに回復していくのではないでしょうか。
・・・といった具合に、アベノミクスの人為的な円安誘導策が解消されれば、企業はキャッシュを自身内部にため込むしかない窮屈なビジネス環境から解放され、本来の企業活動におカネを使うようになるだろうと予想する次第です。ゆえに、安倍政権が熱心に検討している(?)とされる、企業の投資促進を意図した内部留保課税なんて不要ということになります。企業がキャッシュを抱え続けているのは、じつは自分たち(政府・日銀)のせいだった―――自分たちがそれ以外にないような状況に本邦各社を追い込んでいたからだ―――ということに気づくだけでよいのでは・・・?
それにしても、「何にも使おうとしないなら課税だ!」と脅しをかけて(?)、企業に対して市場原理や株主利益に反するリスキーな(?)投資を強いるあたりも、安倍政権の左翼的な本質が窺えるところだな~なんて感じるわけですが・・・