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日銀の「異次元緩和」で注目の日銀当座預金残高⑤

2013-04-13 00:02:34 | 日本

(前回からの続き)

 ということで、昨年7月に書いたように、わが国のさらなる景気浮揚のためには、この日銀当座預金口座に滞留する巨額の緩和マネーを(マネーゲームにではなく)実体経済に流していくことが肝要で、そのためには政府が国債を発行してこれらの資金を借り受け、それで公共事業を推進するという需要創出策が有効だと考えていたのですが・・・それも何だか心配になってきました。「いくらなんでも、黒田日銀は国債を買い過ぎではないのか」と感じてしまうからです。

 以前こちらで述べたとおり、日本政府は日銀に頼ることなく、公共事業の原資となる資金を低い金利で調達することができると思っています。政府が新規の国債を発行したら、適当な運用先が見当たらずにやむなく(?)日銀当座預金に積み上がっていた数十兆円ものマネーが喜んでそれを買うだろうと考えられるからです。一方で、すでにそうした良好な環境にあるわけだから、後述する「弊害」を避ける意味でも、政府の財政負担をさらに軽減すること(さらなる金利引き下げ)を目的に日銀がこれ以上国債を買い入れる必要はないはずだ、と思っています。

 そもそもわが国の長期金利は、日銀の現体制が始まる前から、0.7%前後という歴史的な低水準で安定していました。そのため黒田日銀が今後いくら国債を買い入れて、先日記録したような史上最低値付近に金利を引き下げたところで、もはやその効果は限定的といえるでしょう(繰り返しになりますが、今回の日銀による大量の国債購入には、金利引き下げが目的というよりは、円のマネタリーベースを拡大することで円安を促そうという狙いがあるのでしょうが・・・)。

 むしろ過剰な国債購入は、これからの日銀の金融政策に大きな制約を与えかねないという意味で、弊害が大きいと思います。今後、「アベノミクス」の目論見どおり景気が回復してインフレ率が目標の2%を超えてきたら、日銀は金融引き締めに動き、それまでに買い入れた国債などの資産を売却しようとするでしょう。それは当然、金利の上昇と国債価格の低下を招きます。

 一方、黒田日銀による国債買い支え(国債価格の高値維持)でわが国の投資家が抱える国債保有量はきっと膨らんでいるはず(俗に言う「国債バブル」ですね)。そんなときに日銀がちょっとでも「心変わり」のそぶりを見せたら・・・損失回避のために大手金融機関がいっせいに国債売りに走って短期間のうちに国債価格と円は暴落、さらに金利は急騰して日本経済は破綻へ・・・といった最悪の展開すら想定されます。

 だからこそ、日銀の目的「金融システムの安定」を実直に守り通した白川前総裁は、「銀行券ルール」で日銀が買い入れる国債量の上限を設定するとともに、それらの国債は償還までの年数が短いものに限定していたのでしょう。近いうちに金融緩和の停止等が必要となっても日銀として対応が可能にしておくためです(国債を抱えすぎてしまったために売れなくなるリスクを回避する)。

 こうした歯止めを自ら撤廃して「異次元緩和」に乗り出した黒田日銀は、その代償として、将来の金融政策の変更をいっそう難しいものにしてしまった---そんな気がします。

(続く)


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