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【貿易赤字拡大に貢献!】裏目に出た円安誘導①

2013-10-03 00:04:00 | 日本

 1日、安倍首相は来春からの消費税率の8%への引き上げを正式に表明しました。前回の記事「消費税増税デフレを憂える」に書いたとおり、GDPの年率換算3.8%「成長」の数字が出た時点で増税はほぼ決定していましたね。「当日の日銀短観発表を待ってから」としたのは、政府がこれをアベノミクスの実績誇示と消費増税の正当性を世間に知らしめるためのセレモニーにしたかったから。大企業を中心に良い結果(大企業・製造業の業況判断指数がプラス12)となることは事前に分かっていたのでしょう(一部には消費増税と引き替えに法人税減税を期待する企業が日銀に対して実態以上に景気が「良い」と申告した、という、うがった見方もあるようですが・・・)。

 で、前回の記事内容の半分くらいは、つらつらと書いているうちに、何だか消費増税に対する「憂い」というよりはアベノミクスの金融政策「異次元緩和」に対する個人的な疑問点の列挙になってしまいました。輸入インフレ、ドルベースでの超マイナス成長、そして成長の本質が「豊かさ」ではなく「コスト」の増分・・・といった具合です。これらの点を含め、日銀の現行の金融政策には、国家・国民の利益増進といった方向性とは逆行している面が多いように思えてならないのです。

 「円安誘導による外需狙い」―――本当にシツコクて申し訳ありませんが、黒田日銀の目的は当初からコレだった、と思っています。つまり、日銀が国債の異次元的買い入れ(新規発行債の7割を買うというもの)を通じて円のベースマネーを拡大することで輸出に有利な通貨安を促し、外需主導による経済成長を図る、といったようなものです。このあたり、たしかに円安誘導にはこれまでのところ成功し、円は昨年から現在までに約20%もドルに対して安くなりましたが・・・。

 しかし、日本経済全体で見た場合、この戦略は成功したとはいえません。輸出額・輸入額の差し引きである「貿易収支」の赤字が常態化するとともに、最近は拡大の傾向すら現れているからです

 財務省が先月末に発表した今年8月の貿易統計によると、同月、わが国は約9630億円の貿易赤字を計上しました。前年同月比で25%も増え、8月としては史上2位の大きさです。これで赤字は14ヶ月連続となっています。

 輸出をみると前年同月比で6ヶ月連続で増加しています。たしかにこのあたりはアベノミクス効果(円安誘導)と推測されるようなデータが見られます。日本貿易振興会(JETRO)のデータによると今年7月までの月別円建て輸出額は2月を除いていずれも前年同月よりプラスの伸びを記録しています(上記グラフ)。

 しかしそんな輸出よりも輸入のほうに円安の影響が色濃く現れています。同統計によると輸入は前年同月比で輸出を上回る10ヶ月連続(つまりアベノミクスが実質的に始まった昨年11月から今年8月まで)の増加となりました。そして上記グラフのとおり月別円建て輸入額のほうは昨年11月から今年7月まで一貫して前年同月比で増え続けており、とくに7月は同19.6%もの増加となっています。

(続く)


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