(前回からの続き)
これまで述べてきたような状況から、「アベノミクス」(≒円安誘導)以降の日本では、株価と経済成長(国際的な尺度である米ドルで換算したもの)が逆相関になっているといえます。で、アベノミクスは・・・「カブノミクス」(私的造語:取り柄は株のみ)つまり「後者」を犠牲にして(?)「前者」を選んできたわけです。そのとおり、この国ではアベノミクス前後で株価こそ2倍以上に膨らんだけれど、実体経済(GDP)のほうは2割以上も(大国ロシア一国分相当も!)縮んでしまいました・・・
逆相関といえば・・・このカブノミクスについてはもう一つ、重大な要素が指摘できます。それは、原油価格。先述のとおり、カブノミクスの「主役」は外国人投資家です。当然皆さん、オイルメジャー等の株価が全体に占める割合が高い米欧市場を本拠にしています。ということは、エネルギー関連企業の株価上昇がマーケット全体を盛り立てる力が大きいことに加え、株価にプラスとされるインフレをもたらしてくれること、そして「石油交換券」としてのドルの価値を高めてくれること、などから、彼ら彼女らにとっては石油の値段は高いほうが好ましい、ということに・・・
景気浮揚なんぞより株高を志向する(?)アベノミクスは主役たちのこうした思いに敏感なはずです。なので自ずと、外国人が日本市場にもっとやってくるよう、原油価格よ、上がれ~!と願う立場になります。もちろんこれによって電気代とかガソリン代が上昇してしまい、実体経済すなわち国民生活にダメージが及ぶから、安倍首相も黒田日銀総裁もそんな本心は表に出さないよう、努めてはいますが、こちらの記事でご紹介した黒田総裁コメントなどから、政府与党も日銀も原油価格の再上昇を強く望んでいることは明らかです(?)。
カブノミクスで株高こそが最優先とされる限り、こうしてどうしても石油価格が高値であることが期待、容認され、その結果、エネルギーコストの上昇を通じて日本の実体経済はマイナスの影響を被る・・・ということで株価↑で実体経済↓の逆相関が原油価格↑で補強されてしまう、というわけです。
小学生でも知っているように、わが国は石油資源の大半を海外に依存しています。だからその輸入額(外国からの輸入産品にかかる円建て支払額)は少なければ少ないほど喜ばしいはず・・・だと信じていますが、株価が上がるから、という理由があるとはいえ、これだけアベノミクス(含む与党や主要メディア)が円安インフレ万歳!≒原油代高騰万歳!つまり株高万歳!をやっていると、この支払いが増えると株価が上がって嬉しい(≒純輸出が減ると嬉しい)かもしれない、なんて気になってくるから不思議です・・・(?)