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【よその国の通貨に裏打ちしてもらっている人民元・・・】中国、ドル呪縛からの脱却なるか②

2017-08-03 00:00:41 | アジア

前回からの続き)

 以前「日銀の外債購入論を排す」と題した記事で、日銀はドル等の外貨とか外債を買って円貨を発行するべきではない、と論じました。その大きな理由は、外貨(とか外貨建ての国債等)はその発行国の政治経済情勢で円に対して乱高下、というよりは下落するリスクが高いうえ、最悪の場合はデフォルトとか新通貨に切り替えられたりしてこれらが無価値になるおそれもゼロではないため。そうなったらこれに裏付けていた日銀券(つまり円のお札)の価値もそれだけ切り下げざるを得なくなり、国家国民が大きな損害を被ってしまう、ゆえに日銀・・・のみならず世界の中央銀行は自国の法令等で通貨とか資産と規定できるものだけを自身の資産とするべき、と考えるものです。

 現に世界のおもだった中銀はそうしているわけです。主要な資産について日銀は日本国債、米FRBは米国債不動産担保証券、イングランド銀行は英国債・・・といった具合です(って、これらに問題がないわけではない・・・どころかどこも実質的な財政ファイナンス[中銀による政府債務の直接引き受け]に陥っているわけですが・・・)。ところが中国の中銀である中国人民銀行(人民銀)だけは(?)違っています。そのメインが自国債などではなく、ドルやユーロなどの中国からすればヨソの国のおカネで換算される資産・・・

 実際、人民銀の貸借対照表(今年5月時点)を見ると、その「資産」の2/3(約65%)が海外資産であり、そのほぼすべて(21.5/22.3[兆元]=96%超)が「外貨」となっています。いっぽうの「負債」のうち、通貨「人民元」に該当する準備通貨はおよそ30兆元・・・ということは、人民元とは実質的には外貨、ぶっちゃけ「ドル」・・・の現金とか米国債に裏付けされた通貨、ということになりますね。このへん、FRBが米国債等に基づいてドルを発行するのに近いという点で、人民元はいわば「疑似ドル」とでもいえそうだと思っています(上記数値出典:BTMU[China]レポート)。

 自国通貨をこのようにドルの信認にペッグさせてしまうと、人民銀としては人民元の対ドルレートを一定のレンジに保つために人為的な市場介入をせざるを得なくなります。ドルの変動が自国にとって都合の悪い状態をもたらすのを回避するためです。そのあたりは人民銀が人民元の対ドル標準値を日々、設定していることからも窺えます。

 人民銀とか人民元の上記の現状からいえるのは、中国の通貨・金融政策がFRBとかドルの動静に振り回されているということです。これは自分たちにとって望ましくはない・・・というわけで、これら政策の独立性を確保するべく、ドルに替わる通貨裏付け用資産を・・・となればゴールド)だ!となるのは中国にとっては自然な流れかな、と思います。

続く

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