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【「強い人民元」が中国の国益増進に寄与する】中国、ドル呪縛からの脱却なるか⑤

2017-08-09 00:01:52 | アジア

前回からの続き)

 中国中国人民銀行:中国の中央銀行)は、1万トンの塊を集めたら、その通貨「人民元」の価値の1/3強を金に裏打ちさせると同時に、対ドルのレートをいまの倍、元高ドル安に設定する!?―――前回、こんな超極端な(?)シナリオを描いてみました。

 ―――「でも・・・本当にこうなったら、激しい元高ドル安で中国の輸出産業はダメージを被るのでは」―――まあそうかもしれませんね。ですが、このネガティブ面を差し引いても、おもに次の2点から、強い元はこれからの中国にとってメリットの方が大きいと考えています。

 1点目は、元高の方が内需にはプラスになる、ということ。たしかに中国は、これまで通貨安を利した輸出主導型モデルを築き、貿易黒字を稼ぐことで国力を蓄えてきました。でも・・・総人口13億からも分かるように中国は本来、日本アメリカのように内需つまり個人消費が経済の主役となるべき国。そして、経常黒字の体質が定着していることなどから同国はそろそろ、この内需主導型経済に移行すべきときにきていると思われます。ここで強い通貨はたいへん有効です。元高で国民の購買力が高まるうえ、エネルギーや原材料など、中国が外国から輸入しなければならないものが元換算でいっそう安くなることなどにより、個人消費が喚起されるでしょう。これによって国富の一般国民への移転が促され、経済発展ばかりか民生そして政治面での安定も確保でき、中国はいまより強固な国になっていくと考えています(?)。

 2点目は、元が強くなれば「資本流出」が収まるとともに外貨建て債務負担が大いに軽減される、ということ。こちらの記事等に書いた資本流出と外貨の減少は、元高つまり「元>ドル等」になれば自然に止むでしょう(?)。そしておそらくいま、中国最大のリスクとなっている巨額ドル建て債務(BIS推計:現時点で総額約5000億ドル!?)ですが、ドルが元に対して大幅に・・・たとえば上記シナリオのように1/2に減価すれば、その返済負担も1/2となり、企業等の多くが救われることになります。

 以上などにより、現在の中国にとっては通貨高の環境のほうが相対的に有利だと考えます。逆にこのままだと―――いまの元安が続くと上記、とりわけ2点目の脅威が増し、インフレの激化やデフォルトの連鎖などで同国経済は危機的な局面に至り、そのときは共産党一党独裁体制まで動揺しかねません。したがって中国は元の対ドルレートの上昇を促したいはずで(?)、これに向けて劇的な効力を発揮するのが前述「アメリカをも上回る世界最大規模の金準備の保有」になります。けっしてこれ荒唐無稽な策ではありませんよ。もし中国にその気がないのなら、先述のように同国はあれほどたくさんの金を輸入したり、世界一の産金国なのに金の輸出を禁じたりする必要はないわけですからね・・・

続く

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