木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

他国の戦争で経済大国になった日本

2014年05月14日 | Weblog

「見極めよう、安倍政権の正体」(斎藤貴男)市民の意見冊子2014年4月号より
「消費税」がいかに反民主的で不公正な税制であるかを、市民にわかりやすく説明してきた斎藤氏のこれまたわかりやすい安倍政権、その「黒い正体」といった内容である。
新聞や司法に介入する安倍政権。
消費税8パーセントの次は10パーセントへの増税を狙う政権に対して、新聞協会はわが業界だけは軽減税率を適用してほしいと自民党に願い出ている。首尾よくお願いを聞いてもらうために安倍政権におもねた記事で、読者の目を曇らせている。
司法界も元々権力の意に沿った形で動いてきたが、安倍政権になってさらにその度を強めていて、殺人事件などへの重罰化、厳罰化が進んでいき、憲法に照らしてもその後ろ向きの姿勢が目立っている。
こうして言論統制と司法の支配を強め「戦時体制」に持っていくのが安倍政権の狙いである。
こんな危険な政権であるが、多くの人達は「アベノミクスで景気がよくなると言われ、オリンピック東京招致でさらに景気がよくなると宣伝されて真に受けている」。
「積極的平和主義」という暴言。
平和学者ガルトゥングが提唱した積極的平和主義とは「単に戦争がない状態だけでなく、内戦中の国の中での差別、虐待を無くす努力をしよう、単なる平和ではなくよりよい平和を目指そう」というものだが、安倍総理の言うのは「日本やアメリカの多国籍企業にとって都合の悪い国々を世界から排除することで、平和が訪れる」というきわめて身勝手なもの。
財界や自民党が国益とか自衛という時、対象としているのは日本列島だけではなく、というか地理的範囲はどうでもよく、たとえば東南アジアの工場や中近東やアフリカで資源を掘り起こす権益を日本の企業が持っていて、これらが脅かされたのだからその時には日本の軍事力を発動してもよいと考えている。
日本が戦争したい理由。
日本の大企業は海外に生産拠点の重点を移している。日本の下請けも海外に移る。そのために海外における日本の資産が急増し、安倍政権になってからは海外での権益という考え方の比重が大きくなってきた。
アベノミクスの第3の矢である。第1は大胆な金融緩和、第2は機動的な財政出動、第3が成長戦略、その成長戦略の中にインフラシステム輸出がある。社会資本ビジネスの海外への大々的な展開で、新興国の都市、港、鉄道網、発電所などをコンサルティングの段階から設計、施行、完成後の運用、メンテナンスまでを手掛けようというもの。
日本国内の需要が縮小していくなかで、大企業の規模を維持、拡大するためには海外に巨大な需要を作ることが必要になってきた。
このインフラシステムの輸出はその国の政府にとってよくても地元で暮らしている人々にとっては侵略に映り、日本を敵だと考える人たちも当然出てくる。その時日本のビジネスマンの生命を保障しなければならない。軍事力がないと「インフラシステム輸出」はやりにくいというのが安倍政権の考えるところだ。
そこで出てきたのが自衛隊がもっと自由に海外で動くことができる「自衛隊法の改定」であり、解釈改憲であり、集団的自衛権の行使だ。
安倍政権の考える「インフラシステム輸出」の中心は原発である。
あれだけの事故を起こし、その収束の道筋もつけられないのに「再稼働」に前のめりになるのは「たまたま津波で原発がやられただけ。わが国ではちゃんと再稼働をして安全です」と言いたいため。
今後格差社会は広がっていき、なのに社会保障は切り捨ての対象になり、家族で助けなさいという社会では、家族は憎しみの対象にすらなっていく。そして戦争に行くしか貧しさから脱出できないという社会、そう今のアメリカのような国に日本をしてしまおうというのが、安倍政権の正体である。
経済大国は屍の上に生まれた。
敗戦でよれよれになった日本がなぜ経済大国となり、高度経済成長をなしとげられたのか。
それは戦争だ。朝鮮戦争での特需景気、ベトナム戦争の時は戦時好景気の東南アジアに日本企業が進出、資本投下し、さらに米軍に兵站基地として国土を提供、日本は「不沈空母」となり「最前線基地」になり、その見返りとしてアメリカは日本に市場を開放したのである。

斎藤氏言う。「日本には平和憲法があったけれど、憲法の精神が守られていたとは言い難い。むしろ私たちの生活は朝鮮半島やベトナムの人々の屍の上に成り立っていたのである。これからは戦争で儲けるのはやめよう。ただ9条を守れだけでは安倍政権の戦争やりたい病には勝てません。9条の精神を本物にする本質的な議論がもっとかわさなければならない」。
しかし景気がよくなるのではと危険な男安倍を支持する国民に本質的議論の道は遠い。

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