来年4月からの「消費税増税」が予定通り実施される政治状況だ。
マスコミ(テレビ・新聞)は、一応消費税増税が年金生活者や個人商店などの庶民の生活を直撃することには言及しているが、それは「もう仕方ない」というあきらめを報じているだけだ。
前回このブログで書いたような「輸出戻し税」のような詐欺といっていい仕組みが日本の消費税には仕込まれているということに触れた報道はいわゆるマスコミ報道には一切ない。
地方新聞である信濃毎日新聞の10月2日の社説では「企業優遇が過ぎないか」とタイトルを掲げているが、「輸出戻し税」のカラクリには触れていない。
だいたい大企業の団体である経団連は「消費税は上げろ、だけど法人税は下げろ」というのだから、これでは税収は増えず、財政の赤字は減らない。消費税増税が増え続けているとされる社会保障や医療費を保証するものでないことは、少し考えればわかる理屈だが。
輸出大企業は消費税が増税されればされるほど「還付金」が増えるのだから、この仕組みがある限り政府に消費税増税を要求し続けるだろう。
マスコミがそこに切り込まないのは、輸出大企業が大スポンサーであり、楯突くとスポンサーを下りられしまうことを恐れてのことだ。
だから普通の人の目に触れる機会の少ないマイナーな「週刊金曜日」であるとか、政党の機関紙である「赤旗」などが正論を掲げてもなかなか主流になっていかない。
しかしいくらお人よしの日本国民も、大企業・富裕層を過大に優遇し、権力から遠い庶民からなけなしの金を奪う強盗のような税金の徴収の仕組みと使われ方の事実を知れば大抗議に立ちあがり、政権を追及する動きを始めるだろう。
その時、その動きを封じようと先手を打とうとしているたくらみが「特定秘密保護法」。
政府は防衛や外交の秘密を漏らした公務員らへの罰則を強化するのが目的としているが、フリージャーナリストの青木理氏によれば、この法案制定に熱心なのは外交・防衛の当局者よりむしろ警察官僚だという。
かつての「治安維持法」の現代版を狙っているということだ。
公務員だけでなく、公務員に接触して情報を得ようとした者も処罰の対象になる可能性が多いにある。
治安維持法が跋扈した時代には、警察にこれは国体(天皇制軍国主義)を維持する上で危険だと勝手に判断され、社会主義や自由主義関係の書籍を持っていただけで警察に引っ張られ、厳しい追及を受けるという例もあった。
国民を監視し、時に脅すのは昔も今も警察がになっている。
戦時中の標語に「黙って働き、笑って納税」というのがあったという。