天木直人さんが、外交官を目指すキッカケは「アメリカへの憧れ」からだったという。
子供時代に見たアメリカ発のテレビドラマ。そこに出てくる豊かなアメリカの生活に目を見張った一人だという。
私は、小・中という子供時代に家にテレビがなかったせいか、「豊かなアメリカ」への憧れというのを抱いた覚えが無い。かと言って、ヨーロッパ文化のほうが上だとか、アジアのほうに親近感を持つとか、日本が一番、だとか思っていたわけでもない。
そして、中学生になった天木少年が出会ったのが英語の教科書「Jack&Betty」だった。これは私も一緒。
中学1年生で、出会ったこの教科書は、日本の少年・少女を英語という、小学校には無かった教科へと導いてくれたのだった。
1年生の時は、私も英語が好きだった。先生も丁寧に教えてくれる人だった。
ところが、2年生になって英語の教科書が代わった。
タイトルは忘れたが、スージーという、マンガちっくなイラストの女の子が主人公という構成になっていて、フランクな会話のやり取りが主流。
これで私はすっかり調子が狂ってしまった。由緒正しい「Jack&Betty」が私には合っていたのだ。先生もやる気の全然無い人に代わってしまって。
もしあのまま「Jack&Betty」だったら、私のその後の進路は英文科だった可能性が高い。
天木さんは京都の人だが、そのまま「Jack&Betty」で勉強したんだろうか。
この教科書の変更は、イギリス英語からアメリカ英語への転換だったのだろう。
しかし今で言う「タメ口」の会話文なんか、いくら習っても何も身につかない。
やはり中身がよくないと。「Jack&Betty」がすごくいいというわけでもないが、スージーよりはましだ。
天木さんは順調に英語を身につけ、京大の学生時代に外交官試験に合格して、外務省入り。
しかし、外務省に入って、アメリカへの憧れは消え、アメリカに追随することしか考えていない外交官達の実態を知るのだった。
天木さんのブログは、外務省の内部にいた人だからこそ発信できる、「無責任外務省及び現政権」への批判が展開されている。http://www.amakiblog.com/
9条ネットから参院選に立候補して落選してしまった天木さんだが、戦意は失っておらず、次は「勝てる選挙」を考えたいという。
先週から今週にかけて、社会的に影響力のあった人たちの訃報が続いた。
小田実さんは、二年前須坂市で開かれた「岩波講座」での講演を聴いた。
体格のいい元気な人というイメージだったのが、姿勢が悪くなってしまったのにはびっくりした。病気がすすんでいたのだろうか。
一貫して行動する作家だった。フルブライト留学生以来の語学力を使って、英語圏の文献を紹介しながらの講演だった。
大阪の兵器工廠近くに住んでいたために、終戦間際まで、アメリカ軍の空襲に襲われながら生き延びた体験が、「平和への発言と行動」の原点だった。
若林繁太氏は、地元篠ノ井旭高校の元名物校長。
『教育は死なず』の著書で有名だが、「どんな生徒も引き受ける」を信念にエネルギッッシュに行動した人だ。
私は、10年ほど教育の世界に身を置いたことがあるので、わかるのだが、学校ではエネルギッシュに行動する教師は、周囲から煙たがられる。
サボリたいのに、サボッていると思われるのはいやなので、一人がんばる教師は目障りとなる(何も学校現場に限らないが)。
しかし、当時の旭高校は、生徒減で、学校存続の危機にあったために、若林校長の行動力に協力するしかなかった。
危機にこそ必要なリーダーだった。
そして作詞家の阿久悠さん。
この人の作詞したヒット曲のなんと多くて多彩なことか。
70年代あたりから、勢いを増してきたのが、シンガー・ソングライターという存在。
作詞・作曲・歌を全て自分一人で、というスタイルだが、この人たちの1番の弱点は、やっぱり詩だと思う。
さだまさしとか中島みゆきとか、詩にも優れている人もいるが、たいていは「やさしさとぬくもりとふれあい」というフレーズでごまかしている。
90年代のいわゆるJポップになると、この流れはさらに増して、せっかくいいメロディーなのに詩が練れていなくて、「惜しいな」と思う曲が多い。