70歳台半ばの女性が昨夜、めまいで救急外来を受診して、今日内科外来に来るよう指示された。内科医院に高血圧症で、膝関節と肩こりで整形外科医院に通院している。肩こりがひどく、筋肉がちがちにこっている。後頭部痛はそれほど苦にならないそうだ。昨夜起き上がった時に、めまい(ふらふらというdizziness)がして嘔吐もした。頭痛はない。回転性ではなく、耳鳴り・難聴もなり。今朝はいつもより慎重に歩いているというが、特に問題はなかった。昨夜の受診時に頭部CT検査をして頭蓋内出血はなかった。めまいが改善して歩行できるので、小脳脳幹部梗塞も否定的だ。
内科医院で処方されたACE阻害薬の副作用と思われる咳が続いて、サイアザイド系に変更されていた。変更して1週間だが、まだ咳は出るという。夜間に咳が多いなどの喘息を示唆する症状はない。胸部X線で肺炎の陰影はなく・血液検査は正常だった。やはり薬のせいと思われた。もう少し経過をみると治まってくると予想された。
患者さんの姓が比較的珍しく、以前に会ったことがある気がした。姓を入力すると、10数人の患者さんが画面に出た。患者さんと同じ住所の男性がいて、年齢からみて夫と思われた。画面にカルテを開いてみると、3年前に心肺停止で救急搬入されて、心肺蘇生術で心拍は再開したものの、自発呼吸はなく、意識も昏睡のままだった。人工呼吸器をつけて入院となり、数日後に死亡となっていた。頭部CTと胸腹部CTでは特に異常を指摘できず、致死的な不整脈で心肺停止となったものと判断するしかなかった。