sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:風よ あらしよ

2024-05-24 | 映画


前に伊藤野枝の評伝のかなり独特で熱くて濃い本「村に火をつけ、白痴になれ」を読んで以来、
わたしの中の伊藤野枝は異常にプリミティブな生き物だったので、
最初はこの吉高由里子の野枝に違和感だらけだったのだけど(声が子供っぽいのよねぇ)
途中くらいからすっかり馴染んでしまった。
いやそれ以上に良かったです。吉高由里子がいいのかキャスティングの妙なのかわかんないけど。

これって元はテレビドラマだったのかな?そんな雰囲気はあったけど、十分面白く見ました。
彼女の夫やパートナーたちとのドロドロ?恋愛ドラマのあたりは映画の方がわかりやすいけど
(恩師であり最初に暮らした夫、辻潤はここではずいぶんわかりやすいモラハラダメ男に描かれてる)
大杉栄と一緒になって子供をどんどん産みながら書きまくった日々は上記の本の方がよくわかるかな。
映画は貧乏と言いながら家も着物もすっきりしすぎてる気はしたけど
見てて面白いので気にならなかった。

この映画を見た前夜に読んでいた本が、林真理子が浅丘ルリ子のことを書いた本「RURIKO」で、
満州で4歳のルリ子に魅了された甘粕正彦が最初の方に少し出てきていました。
関東大震災の直後、流言飛語が飛び交い、朝鮮人が暴動したとか毒を流したとかのデマで
自警団が人々をいちいち捕まえて朝鮮人認定しては殴り殺すということをしていた時に、
甘粕は朝鮮人を先導しているのは活動家たちだと決めつけ
大杉栄と伊藤野枝と一緒にいた大杉の甥の6歳児まで虐殺したのですが、
「RURIKO」もそこに触れてあって、でもその後満州でそれなりの大物になったことが書かれていて
久しぶりに甘粕にムカムカしていたところだったのに
映画でまたそのシーンを改めて見て、より生々しく感じ、ムカムカ再燃。
この事件に関してはどの本でいつ読んでもムカムカする。軍国主義の鬼畜め。
甘粕は敗戦後すぐに青酸カリで自殺をしたそうだけど、
自分の過ちや悪を全く反省もせずに悲劇のヒーローとして死んだのだろうと思うと
それもまた許せないことの一つです。
ずーっと生きてちゃんと裁かれ、不名誉の中で自分の愚かさ醜さに向き合って欲しかった。
(これは安倍晋三元首相にも同じことを思います。暗殺などされずに生きて
自分の差別主義や傲慢さや経済政策の失敗に直面して反省して生きて欲しかった)

あと、吉高由里子の野枝の着物の着方が好きだわ。
木綿の着物を普段着というより日常着、作業着という感じに無造作にモコモコと着てて、
半幅帯を雑に締めてる感じが良かった。
でもその木綿の着物がいつもきれいに洗ってある清潔な雰囲気で、生地も案外良さそうで、
超貧乏だった事実とは違うだろうけど、なんともいい雰囲気。
わたしもこんな感じに着物を着てみたいなぁ。

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